『missing』
脚本・監督:𠮷田恵輔
企画:河村光庸
プロデューサー:大瀧亮、長井龍、古賀奏一郎
アソシエイトプロデューサー:行実良、小楠雄士
音楽:世武裕子
撮影:志田貴之 照明:疋田淳
録音:田中博信 装飾:吉村昌悟
編集:下田悠 音響効果:松浦大樹
衣裳:篠塚奈美 ヘアメイク:有路涼子
VFXスーパーバイザー:白石哲也
キャスティング:田端利江
スクリプター:増子さおり
助監督:松倉大夏 制作担当:本田幸宏
題字:赤松陽構造
出演:
石原さとみ(森下沙織里)
中村倫也(静岡テレビ放送記者・砂田裕樹)
青木崇高(沙織里の夫・森下豊)
森優作(沙織里の弟・土居圭吾)
美保純(沙織里の母・土居真知子)
柳憂怜(刑事・村岡康二)
小野花梨(新人記者・三谷杏)
小松和重(デスク・目黒和寿)
細川岳(カメラマン・不破)
山本直寛(砂田の後輩記者・駒井力)
カトウシンスケ(圭吾の同僚・木村宗介)
有田麗未(沙織里の娘・森下美羽)
阿岐之将一(キャスター)、高田衿奈(同)、難波圭一(報道局局長)、矢野竜司(報道局局員・水谷)、佐藤友佳子(デスク)、仁科咲姫(みかん農園新人・ミキ)、内藤トモヤ(捜索ボランティア・仲本洋平)、宮咲久美子(捜索ボランティア)、大須みづほ(さくらの母親・宇野久美)、橋本羽仁衣(小学2年生・宇野さくら)、齋藤英文(コンクリ会社・古藤田商店社長)、佐久間あゆみ(圭吾に気づく不良)、黒川大聖(不良)、井上蓮(同)、宮田龍樹(同)、杏奈メロディー(同)、三島ゆたか(漁師・田辺)、松原正隆(蒲郡の刑事)、中澤功(蒲郡の警察で抗議する男)、粕谷吉洋(蒲郡の警察官)、徳留歌織(ホテルのフロント係)、和田葵(ホテルの少女・ひなた)、福田温子(ひなたの母親)、恵田侑典(ひなたの父親)、吉澤憲(豊にライターを借りる男)、三村伸子(ビラを受け取る女)、廻飛呂男(坂口市長)、玉置優允(市長の息子・長浜元気)、氏家恵(みかん農園従業員)、岩本賢一(漁業組合組合長)、久松龍一(漁業組合幹部)、持田加奈子(路上で口論する女)、平塚真介(路上で口論する男)、長田涼子(水難事故に遭った子供の母親)、石崎竜史(水難事故に遭った子供の父親)、小倉聖矢(後任カメラマン)、伊藤凌太郎(ゲームセンターの不良)、今井柊斗(同)、木下紗菜(同)、入沢光陽(同)、岩見美映(クレームを入れる主婦)、和気龍太郎(スーパーの店員)、日高ボブ美(片山千絵)、伊藤杏(娘・片山サキ)、佐倉孝治(印刷工場社長)、水野直(久美の元交際相手・井形守)、鉾田智子(印刷工場社長の妻)、浅見史歩(砂田に質問される少女)、安楽将士(団地の不審な男)、由井さくら(男に連れられる少女)、矢野昌幸(バキューム車作業員)、岡本篤(弁護士)、植吉(スクールガード)、藤原絵里(スクールガード担当者)、入江龍樹(沙織里をおばさんと呼ぶ小学生)、中條サエ子(団地の住人・隆の母)、旺輝(隆)、志水心音(団地の少女)、G1(Blankメンバー)、8K(同)、SAY(同)、長屋和彰(報道局記者)、小川諒(同)、湊川えみ、長尾敦史、水口優輝、中野克馬、綱島えりか、桑原愛海、いしかわひとみ、閻子丹、永瀬文萌、大羽良克、月凪、松坂さく、菅生直也(斎藤祥太)、高山隆一、戸村結花、箕浦美稀、宮脇美咲、田村祐貴(レポーター)
STORY
とある街で起きた幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま3ヶ月が過ぎていた。娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。そんな中、娘の失踪時に沙織里が推しのアイドルのライブに足を運んでいたことが知られると、ネット上で“育児放棄の母”と誹謗中傷の標的となってしまう。世の中に溢れる欺瞞や好奇の目に晒され続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じてしまうほど、心を失くしていく。一方、砂田には局上層部の意向で視聴率獲得の為に、沙織里や、沙織里の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材の指示が下ってしまう。それでも沙織里は「ただただ、娘に会いたい」という一心で、世の中にすがり続ける。【公式サイトより】
5月に公開され、気になりつつも見逃していた𠮷田恵輔監督作品をNetflixにて。
突然子供を奪われた親を主人公にしている点やじけんら事故後のマスコミの報道のあり方やネットでの反応を扱っているという点において、2021年公開の『空白』の姉妹篇とでも言うべき作品。
ちなみに愛知県蒲郡市が出てきて、三島ゆたかさんが田辺という漁師を演じるのも共通項。
『空白』の添田とのいちばんの違いは、美羽の生死は不明であるという点。沙織里はもちろん生きていることを信じて懸命にビラを配ったり、ありとあらゆる情報にすがったりもする。その思いの強さゆえか空回りし、時にそれが周囲の者を不快にさせてしまう。
添田が自分の中である程度折り合いがつけられるのに対し、沙織里の苦しみは美羽が発見されるまで終わることはない。自分がその立場に立たされたと思ったらゾッとしてしまうな。
また、テレビ局の記者をしている砂田を登場させることで、マスコミの描き方は『空白』よりも深掘りされたものとなっている。とりわけテレビのようなメディアにおいては常に新しい、視聴者の耳目を集める何かが求められる訳で、腰を据えて1つの事件・事故を追いかけるのも難しい。日本にもニュース専門チャンネルとかあればいいのだけど…。
公開当時から石原さとみさんの演技が高く評価されていてが、個人的には特に感情をむき出しにするような演技はやや過剰に感じられてしまった。
ただ、美羽と似たような経緯で行方不明となっていたさくらが無事に保護されたというニュースを見て、安堵の表情を浮かべるシーンの演技はとても素晴らしかった。
美羽の話をしながら、「何でもないようなことが幸せだったと思います」と言うシーンも(カメラマンにしっかり「THE虎舞竜?」とツッコまれてるし)。
中村倫也さん、青木崇高さん(特に男泣きするシーン)、森優作さんらの好演も光る。