ヒトハダ『旅芸人の記録〜あるいは、ある家族の物語〜』 | 新・法水堂

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年間300本以上の演劇作品を観る観劇人です。ネタバレご容赦。

ヒトハダ 第2回公演

『旅芸人の記録〜あるいは、ある家族の物語〜』



【東京公演】
2024年9月5日(木)〜22日(日)
ザ・スズナリ

脚本・演出:鄭義信
音楽:久米大作 舞台装置:池田ともゆき
照明:増田隆芳 音響:藤田赤目
衣裳:宮本宣子 演出助手:山村涼子
舞台監督:丸山英彦
大衆演劇監修:一見好太郎(一見劇団)
大衆演劇コーディネート:國實瑞惠
着付:藤川まさみ ヘアメイク監修:高村マドカ
音響操作:畑岡楓
大道具:箱馬倶楽部(鈴木太朗)、美術工房拓人
小道具:高津装飾美術株式会社
トランポ:マイド
衣裳協力:松竹衣裳(冨樫理英、村越由香)
かつら:一見劇団
宣伝デザイン:阿部寿 宣伝イラスト:尾上寛之
宣伝協力:川辺鉄矢、原田七海
制作:藤本綾菜、佐々木弘毅
協力:一見劇団 企画・制作:ヒトハダ
製作:レプロエンタテインメント、nora

出演:
大鶴佐助(蝶子の息子・夏生)
尾上寛之(清治の連れ子・冬生)
浅野雅博(蝶子の再婚相手・清治)
梅沢昌代(座長・二見蝶子)
櫻井章喜(伯父・草野亀蔵(天野鶴姫))
山村涼子(蝶子の娘・秋子)
丸山英彦(山本)
清水優(裏方・竹田)

STORY
太平洋戦争まっただ中、大衆演劇の劇場、映画館は、大勢の観客で賑わっていた。劇場の外は戦火、けれど、中は笑いと涙が渦巻いていた。人々は演芸に興じることで、ひととき、暗い世相を忘れようとしたのだ。一九四四年(昭和一九年)、関西の地方都市にある小さな大衆演劇の劇場。女剣劇を看板にする二見劇団が、十八番の「ヤクザ忠臣蔵」を上演している。主役の藏造を演じるのは、座長の二見蝶子。その子分を、蝶子の息子の夏生と、中堅の山本、亀蔵が演じている。台本を書いたのは、蝶子の再婚相手、清治の連れ子である冬生。音響係を、蝶子の娘の秋子。蝶子の夫、清治は喘息持ちということで、舞台には立たず、炊事を担当している。それぞれが、一座の仕事を分担して、家族で支えていた。ある日、夏生が役者を辞めて、川西飛行機工場で働きたいと、宣言する。清治の反対にもかかわらず、夏生は一座を離れ、一人暮らしを始める。そして、秋子も婚礼をあげ、山本も徴兵され、一座から、次々、人がいなくなってしまう。そんな折、冬生の書いた台本が検閲に引っかかり、上演できなくなってしまう…【公式サイトより】

2022年に旗揚げされたヒトハダ、第2回公演。
テオ・アンゲロプロス監督作品の舞台化ではない。笑

舞台は芝居小屋。前から4分の3のエリアが板敷きで、境目に幕(最初は定式幕、劇中劇では雪景色の川沿いの町並み)。左右に出入口。幕の後ろには下手側に布団が積まれ、中央に出入口。上手側には壁に備え付けの長椅子、水屋箪笥。上方にも棚があり、神棚が置かれている。

旗揚げ公演『僕は歌う、青空とコーラと君のために』は戦後間もないキャバレー舞台にしたコーラスグループの話だったが、今回は戦争中の大衆演劇の話。
当然のことながら、戦争が暗い影を落とし、劇団も巻き込まれていくのだが、少々新鮮味が感じられなかった。「僕たちの苦しみが100年経ったらのうなって〜」もこれまでの鄭さんの作品で幾度となく繰り返されているしなぁ…。

尾上寛之さんが本番中に左足を負傷したため、8日〜12日の公演を休演、座長・大鶴佐助さんと配役を変更して13日に再開した今回の公演。尾上さんは松葉杖をつきながらの演技。
思わぬアクシデントといったところだけど、佐助さんも尾上さんも元からその役だったのではと思うほど。台詞もほとんどトチることなく、一から覚え直す訳ではなかったとは言え、この短期間でよくぞここまで仕上げたなと感心する他ない。

とは言え、3日間のみの披露に終わったオリジナルバージョンも観てみたいので再演してほしい。


他の劇団員お三方も安心して見ていられ、演出助手の山村涼子さんと舞台監督の丸山英彦さんもご活躍。


上演時間1時間48分。