「家康どうする(12)」は『氏真』。

氏真と糸の婚儀にはじまる戦国の世の

男と女の物語。

 

ー今川義元・氏真ー

今川義元は、遠江・駿河2国を支配して

いた。

今川は、織田氏とのあいだで人質交換す

ることになったのが松平元康(のちの家

康)で、元康は駿府の人質となり、この

ときに今川義元の嫡男・今川氏真と暮ら

す。

 

(今川氏真)

その後桶狭間の戦い(1560)で、今川義

元は敗死し、今川氏真(1538-1615)は

今川家を継ぐ。

一方、家康(1543-1616)は今川家から

自立し、岡崎に入る。この間家康(15歳)

は、今川義元の姪である関口親永の娘(瀬

名:のちの築山殿)と結婚する(1557)。

 

 

ー今川氏真と糸(早川殿)ー

糸こと早川殿は、相模国の戦国大名北条氏

康の娘(出生年・実名不詳)。

北条氏康と今川義元の父・氏政の娘で、今

川氏真とはいとこ婚になる。

三国(甲相駿)同盟(天文23.1554年)の

ときに糸は今川氏真の正室となる。

 

<三国(甲相駿)同盟と糸>

駿河の今川氏と相模北条氏(小田原北条氏)。

 

相模北条氏の始祖伊勢盛時(北条早雲)の

姉(北川殿)が今川義忠(義元の祖父)の

正室で、同盟関係にあった(駿相同盟)。

ところが、天文6(1537)年武田・北条・

今川氏のあいだで三国(甲相駿)同盟が結

ばれる。

 

天文23(1554)年7月相模北条氏の糸は

その婚姻政策の一環として今川義元の嫡子・

今川氏真の許に嫁ぐ。

 

 

今川氏真(溝端淳平)と糸(早川殿:志田未来)

 

北条家から供奉した家臣は、煌めく武具で

婚姻行列を飾り、沿道の見物人で前代未聞

の賑いを見せたという。花嫁の受け渡しは

三島にておこなわれる(勝山記)。

 

 

<今川氏真・早川殿「掛川城」>

永禄11(1568)年12月甲斐国の武田信

玄が駿河侵攻し、今川氏真は早川殿ととも

に遠江国掛川城へ逃れる。

 

これに早川殿の父・北条氏康は激怒。

北条氏は武田との同盟を破棄し、長年の宿

敵だった上杉謙信との同盟にきりかえる。

 

<家康どうする>

家康は、今川家には恩義がある。

ところで氏真はかつて家族を人質にし瀬名

を責めた。

人質になった瀬名と父・関口氏純(渡部篤

郎)、妻・巴(真矢三木)。

巴は「この上ない話ではないか」と言い。

瀬名も「氏真は、立派なかた」という。

ところが父は「妻でない」そして「側室で

もない」と、「御伽噺(みおとぎ)役じゃ」

という。

 

 

今川氏真(溝端淳平)と瀬名(築山殿:有村架純)

 

遠江国懸川、掛川城へ逃れた氏真・早川

殿、娘と家臣ら(永禄11年)。

 

家康は、今川家には恩義があり、裏切れ

ない。ところが氏真はかつて家族を人質

にした。家康どうする。

 

 

翌年永禄12(1569)年5月今川・北条

家と徳川の間に和睦が成立し掛川城は開

城。

 

 

家康(松本潤)と今川氏真(溝端淳平)・早川殿(志田未来)

 

今川氏真は早川殿と長女、家臣とともに

北条家に迎えられる。

駿河の支配は、義父・北条氏政に任せら

れることになる。

早川殿の甥の国王丸(のちの北条氏直)

が、北条氏真の養子として、今川家の名

跡が譲渡される。

 

<今川氏真・早川殿と家康>

今川氏真と早川殿は沼津に移った後。

元亀2(1571)10月伊豆国境の大平城を

築き、ここを拠点とし、妻のいる早川郷へ

移住。

同年早川殿は長男・今川範以を産む。

甲相同盟が復活し、北条家が駿河を武田

領国と承認し、今川氏真の駿河帰国は頓

挫し、氏真夫妻は、浜松の徳川家康を頼

ることになる(天正元年・1573年)。

 

天正14(1586)年家康が本拠を駿河に

移したとき氏真夫妻も駿河に移る。

天正18(1590)年

家康小田原攻めに参加。

包囲軍による内部攪乱で、小田原城が落

ち、秀吉が北条氏直に切腹を命じる(天正

18年7月5日)。

 

このとき家康どうする。

家康は秀吉に北条氏直の助命を願う。

北条氏直は義父の家康の助命嘆願で、高野

山に蟄居。

家康の娘・督姫(側室・西郡局との子)は

のちに赦免された夫・北条氏直のもとへ赴

くも、翌天正19(1583)年に氏直が死去。

このため督姫は父家康のもとに戻り、督姫

(29歳)は、秀吉の肝いりで、文禄3(15

94)に池田輝政に再嫁。

 

 

家康(松本潤)・築山殿(有村架純)、督姫と西郡局(お葉:北香那)

 

一方、今川氏真と早川殿。

小田原攻め後。秀吉の命で家康は5ヶ国

から伊豆、相模、武蔵、上野、上総の6

ヵ国に国替えになる。このとき今川氏真

と早川殿は京都に移った。

その後慶長17年京都を離れ次男・高久

が徳川秀忠に出仕していた江戸品川に移

る。

 

<今川氏真と早川殿>

氏真と早川殿はのあいだに4男1女ができる。

京都から江戸に移った翌年慶長18(1613)

年、早川殿は、今川氏真に先立って江戸で

死去(2月15日)。

翌慶長19(1614)年今川氏真12月28日没。

ふたりの墓は、今川家知行武蔵国多摩郡井草

村(現在東京都杉並区今川2丁目)の宝珠山

観泉寺にある。

 

 

ー「どうする家康」(12)ー

脚本:古沢良太

今川義元   :野村萬斎

今川氏真   :溝端淳平

糸(早川殿) :志田未来

松平元康   :松本 潤

瀬名(築山殿):有村架純

武田信玄   :阿部寛

 

 

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