物語は光源氏の生涯とその子どもや孫

世代に渡ってのドラマで、恋愛を中心に

人生の浮き沈み、喜びや苦悩を女性の視

点で描きだされ、これが現代

み継がれてきている。

 

ー源氏と玉鬘(運命)ー

玉鬘(たまかずら)は、源氏物語(第22

帖から31帖)に登場する人物。

玉鬘は、幼名は瑠璃君といい、頭中将と

夕顔の間に生まれ、長い髪の毛の美しい

女性だった。

 

(玉鬘と母・夕顔)

母・夕顔は頭中将の正妻に脅かされ、

姿を隠していたとき源氏と出逢い、

氏は、夕顔のもとへ忍び、かの女と契

りを結ぶ。

その翌日8月15日の名月の夜に夕顔を

街の喧騒を逃れて古びれた荒廃した河

原の院に連れ出す。ふくろうの鳴き声

がするばかりの院。ここでふたりは愛

のときを過ごしていた。夜中、源氏は、

はっと目を覚ますと、枕元に女人が立

ち、こんな女を愛してと、夕顔の首元

に手をかけ引き倒していた。みると、

夕顔はすでに息絶えていた。

ところが乳母たちはこのことを知らさ

れず、玉鬘は、乳母に連れられて九州

へ流れる。

 

(玉鬘と乳母一家)

そこで美しく成長した玉鬘。

肥後の豪族・大夫監の強引な求婚に困り

果て、次男、三男までが大夫監に味方し、

乳母一家は二つに分裂。

長男の豊後介にはかって船で京に逃げ帰

った。

 

京での玉鬘。玉鬘は母・夕顔を探すあて

もなく、神仏に願掛けし、長谷寺のご利

益を頼み、参詣の旅に出たところ、椿市

の宿で偶然、もとは夕顔の侍女で今は源

氏につかえる右近に再会した。

右近から「源氏の大臣が自分のことよう

に心配し、探している」と知らされ、夕

顔が亡くなったときのいきさつを聞いた

乳母一家は驚く。

 

ー玉鬘と源氏ー

右近の報せで、源氏は玉鬘を自分の娘

というふれこみで六条院に迎え、花散

里を後見に夏の町の西の対に住まわせ

た。

 

年の暮れ、源氏は女性らに贈る正月の

晴れ着を選び、紫の上は、複雑な気持

ちでその様子を見ていた。

紫上は、源氏の妻・葵の上が子ども(

夕霧)を出産した後亡くなり、その年に

14歳の紫上(藤壺の妹の子)と結婚。

 

(玉鬘と六条院)

光源氏(35歳)の新しい御殿の六条院

が完成。

春夏秋冬の趣向を凝らし、それぞれ女

君を住まわせる。

六条院は地上の理想郷、極楽の誕生と

なる。

新年を迎え、源氏は明石姫君、花

散里、玉鬘、明石君、未摘花、尼姿の

空蝉、とすべての女君の部屋を巡り、

お祝いの言葉をのべる。

 

なかでも玉鬘には、源氏の弟宮の蛍兵

部卿宮をはじめ、髭黒、柏木(異母兄

弟)など多くの公達から玉鬘に想いを

寄せる文が送られてくる。

源氏もまた、玉鬘に惹かれて親代わり

をいいことに、言い寄っている。

 

 

 

(玉鬘と髭黒)

「行幸(29帖)」で裳着をすませ、実

父・内大臣(頭中将)と対面を果たす。

玉鬘の熱烈な求婚者・髭黒(ひげくろ

大将は柏木の上役になる。

宮中に出仕すると手にはいらないと、

焦った髭黒大将は玉鬘の閨(ねや)に

忍び込み、契りを結んでしまう。

 

 

髭黒には北の方と娘・真木柱、若君た

ちがいたが、彼の玉鬘への執着はなり

ふり構わなかった。

内大臣は喜び、源氏は養父として婚

儀の支度をしてやる。北の方は精神

に変調をきし、髭黒に灰を浴びせ、

子らとともに実家に引き取られる。

 

玉鬘は冷泉帝へ尚侍としての入内が決

まるが、出仕直前に髭黒と突然結婚。

その後髭黒との間に男児(侍従の君)、

大君(冷泉院女御)、中君(今上帝尚

侍)をもうける。

新年に参内した玉鬘だが、髭黒はほど

なく、玉鬘を退出させ、自邸に迎える。

玉鬘を奪われた源氏の後悔は限りなか

った。

 

 

 

 

ー玉鬘(源氏恋契結)ー

源氏は玉鬘が、田舎での生い立ちなが

ら母より聡明で、美しく、出所進退や

人への対応の見事なことを感心させら

れる。

「玉鬘」は毛髪の美称辞。毛髪は自分

の意に反して、再び伸びつづけること

から、どうにもならないこと、運命を

象徴。玉鬘のかの女は、自らの美しさ

が招く運命に翻弄され続けた女性であ

る。と、紫式部は「源氏物語」で小説

にする。

 

 

2023.2.4

空蝉(源氏恋契結1)ー男と女の物語(340)

2023.2.7

軒端萩「源氏恋契結2(軒端萩と空蝉)」ー男と女の物語(343)

2023.2.8

夕顔「源氏恋契結3」ー男と女の物語(344)

2023.2.10

六条御息所(源氏恋契結4)ー男と女の物語(346)

2023.2.11

胡蝶蘭(光源氏「胡蝶」)―男と女の物語(347)

2023.2.13

末摘花(源氏恋契結5)ー男と女の物語(350)

2023.2.14

源典侍(恋契結物語6)ー男と女の物語(351)

2023.2.15

朧月夜(源氏恋契結7)ー男と女の物語(352)

2023.2.16

Enjoy Golf(梅契結「夢枕」)ー男と女の物語(353)

2023.2.17

朧月夜(源氏恋契結「密会」)ー男と女の物語(354)

2023.2.18

朧月夜(源氏恋契結「出家」)ー男と女の物語(355)

2023.2.18

朧月夜と源氏(雷)と枕絵(鳴神)ー男と女の物語(356)

2023.2.19

花散里(源氏恋契結8)ー男と女の物語(357)

2023.2.28

神君伊賀越え(本能寺の変)ー男と女の物語(361)