時代により男と女の関係もかわって

ゆく。ところでひとは、美顔に憧れ

たり、人がらを好きになり、さらに

恋して契りを結ぶ。

 

千年昔に書かれた「源氏物語」の美

麗の若き光源氏は、都の京都を舞台

に、恋しては契り結んでゆく。その

相手は十人を越える。

 

ー源氏と軒端萩ー

(源氏と空蝉、軒端萩)

同じ邸内にいる軒端萩(のきばのおぎ)。

軒端萩は邸の紀伊の守の妹。空蝉は父・

伊予の介の後妻で、軒端萩の義母になる。

父・伊予の介と空蝉とは親子のような歳

の差があり、軒端萩と空蝉のふたりは同

じような年頃で、伊予介は伊予国に赴任

中だった。

 

光源氏(17歳)は、紀伊の守の邸でのそ

の日の夜、酒宴をもち、夜が更けた頃に、

夫のある身の空蝉(うつせみ)に惹かれ、

部屋に忍び入り、あながう美しい空蝉を

、自分の恋する想いを遂げる。

 

(源氏と軒端萩)

源氏は空蝉に会いたく、空蝉の弟・小

君を使い、文を届けるが空蝉は会うこ

とを拒む。このなか紀伊の守が任地へ

下ることになったと聞き、女ばかりの

邸にゆく。西の対の姫君(軒端萩)が

来て、ふたりで碁を打っている。のを

几帳の垣間から見る。

 

(軒端萩と空蝉)

灯が届かないが、ひねたほう女が空蝉

で、もうひとりは瘦せすぎで、美人で

もなく、色っぽい感じもしないが、な

んとなく慕わしく情趣があり、若い源

氏は我を忘れ見入る。

二人は碁を打ち、話もつきないので、

軒端は萩空蝉と一緒に寝ることにした。

 

(源氏と軒端萩)

みんなが寝いるのを待ち、源氏はそこ

へ近づいてゆく。軒端萩はすぐ眠って

しまったが、空蝉は寝つけずにいた。

そこへ人の気配を感じ、いい香りが漂

ってくる。あの源氏の君のもの。空蝉

は単衣を一枚羽織っただけで、床から

すべり出た。

 

女がひとり眠っている。源氏は空蝉だ

と思い、まさぐってみると、大柄な感

じでもうひとりの女性だと気づく。

軒端萩は驚く。源氏は、「静にしてく

ださい、私は前からあなたをすきだっ

たのです」といい、軒端萩は、美麗の

光輝く源氏に抱かれ、浮世の夢のなか

したってゆく。

 

 

結局源氏は、軒端萩と心ならずも契を

結ぶが、空蝉に心が残り、残された薄

い衣を持って帰る。軒端萩は源氏から

便りがいつ来るかと待つ。

 

伊予の介は10月、娘・軒端萩を相応な

ところへかたづけ、空蝉をつれて伊予

に下ることになるという。

軒端萩は、蔵人の少将と結婚すること

になった。

源氏17歳の夏から秋、軒端萩と空蝉は

源氏のもとを去る。源氏と女性の恋契

結物語はつづく。

 

源氏物語(軒端萩と空蝉)ゆかりの地

軒端萩と空蝉の居た紀伊守邸は、「中

川のわたり」にあった。

 

 

梨木神社(京都府京都市上京区染殿町)

 

中川は、現在の東淌院通りの北から流

れていた川で北小路(現今川通)で二

つに別れ、紀伊守邸の庭にはこの水を

引き入れていた。

西隣は藤原道長の土御門殿、北には紫

式部の祖祖父・藤原兼輔の邸宅があっ

た。紀伊守邸は今の京都御所東隣、梨

木神社、蘆山寺あたりになる。

 

 

 

 

 

2023.1.28

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