「源氏物語」は千年昔に紫式部が

書いたとういう恋物語だが、現在

に通じ、朧月夜という女性を知る

と、朝方に恋し契りを結ぶという

夢枕をよく見るようになった。

 

 

弘徽殿の朧月夜

 

<朧月夜と源氏>

朧月夜は、光源氏の異母兄の朱雀帝

と結婚(多くの妻がいるひとり)し、

宮廷の弘徽殿に住み、暮らしていた。

朧月夜は、宮中に入る以前から、源

氏と恋仲になり契りを結び、帝の后

になってからも交際。

その後かの女は病になり、親元(父

・右大臣)の二条邸で療養していた

とき、源氏に手紙で知らせ、朧月夜

は、闇の中、忍んでやってくる源氏

との恋を確かめ合っていた。

 

 

花宴の日、朧月夜がいる几帳の中に入る光源氏

 

<源氏と朧月夜>

ある日。雷が鳴り響き、忍んでやっ

てきた源氏が屋敷の警護が固く、朧

月夜の部屋から出るに出られなくな

る。

このとき右大臣は心配して、娘の部

屋にやってきた。突然のことで、源

氏と一緒に寝ていた朧月夜は父に大

丈夫と言い、几帳から出てくる。

父は、娘の頬が赤くその足元を見る

と、男物の帯が出ており、周りに紙

が落ちていている。

父が几帳を覗き込むと、源氏が寝て

おり、彼はみやびかに、あわてるわ

けでなく、顔を隠している。

父の右大臣は憤慨に絶えかね、足音

も荒らかに室を出た。このあと、右

大臣は、宮廷の朱雀帝の母・弘徽殿

の大后のところへゆき、このことを

伝え、弘徽殿の大后は、光源氏が宮

中の朧月夜をかすめとったと怒りを

つもらせる

 

源氏と朧月夜

季節は移り、ときが経ち時代もかわ

る。

源氏は39歳。秋、夕霧(源氏と葵上

の子)は中納言に昇進し、源氏は准

太上天皇になる。

異母兄弟(朱雀帝と源氏)

桐壺帝の第一皇子の朱雀帝は、源氏の

異母兄で、病がちのため出家を考えて

いたが、心残りは女三宮であった。

源氏と女三宮

女三宮は藤壺の妹の女御の忘れ形見で、

裳着の儀が豪華に行われたその三日後

に、朱雀帝は剃髪した。

源氏は、女三宮を北の方として迎える

ことになる。

源氏は、藤壺の面影が残るかの女に

心動かされる。このとき女三宮14歳。

源氏と紫上

源氏の唯一の正妻であった紫上の嘆き

は深く傷ついてしまう。二月に六条院

に輿入れしたものの、源氏には女三宮

が幼く、紫上の良さを知ることになる。

 

<源氏と朧月夜(若菜)>

長寿を祝う会で若菜を贈られた朱雀院。

朱雀院は、西山の寺へ入られたのち、

朧月夜の君は、里の二条邸に暮らして

いた。

それを聞いた源氏はほっておけなかっ

た。源氏は、その昔、派手な恋愛事件

起こし、須磨、明石とさすらうことに

なった。

源氏は人を介して朧月夜に会うことを

申し込む。とんでもないと朧月夜は断

る。そこで源氏は前の和泉守の知り合

いに手引きを頼む。

 

源氏は、一日中自分の着物に香をたき

しめて朧月夜の邸を訪ねる。

かつての右大臣の邸で、弘徽殿の大后

が存命の頃は人々の出入りも多く賑や

かであったが今は荒れ果てている。

突然訪れた源氏に、朧月夜は襖(ふす

ま)の掛け金をはずそうとはしなかっ

た。

源氏の「近くに寄ってお話したいだけ、

ここを開けて」のささやきに、拒んで

いた朧月夜も掛け金をはずした。

「ほら雷の鳴った夜、恐ろしかったね

…」と想いでが蘇り、朧月夜の心がと

けてゆき、源氏と朧月夜のふたりは15

年ぶりに契りを結び、愛を交わす。

 

 

 

その後、源氏47歳のとき、朧月夜が

出家したと聞き、源氏は衝撃を受け

る。

源氏はかの女に「私もいつか世を捨

てようと思っていたのに、あなたに

先を越されてしまった。須磨、明石

をさすらったきかっかけを思い出し

ます」としみじみした手紙を書く。

朧月夜の返事の手紙は、

「須磨、明石へのきかっかけも夢の

夢でございますわ、回向は一切衆生

のためのもの、どうしてあなたのこ

とを祈らないことがありましょう」

と、短かった。

 

源氏の青春を彩った朧月夜。

源氏と恋し、契りを結んだ女人たち

は、これまで朝顔が、朧月夜以後も

次々に出家し、仏道修行に励み、世

を捨てていく。

 

参考

光源氏と朧月夜

朧月夜は色好みであっても、色の諸わけ

を心得て、おとなの才覚をもち、現代に

通じるさきがけの女性だった。

源氏の異母兄弟(父・桐壺帝)

朱雀院ー光源氏ー八宮ー兵部卿宮

光源氏

桐壺帝と桐壺更衣の子:光源氏

桐壺帝と弘徽殿女御の子:朱雀帝

光源氏と妻・葵上(頭中将は兄)

光源氏と妻・女三宮(朱雀院の娘)

藤壺と光源氏の不義の子:冷泉帝

朧月夜

右大臣の子:弘徽殿女御と朧月夜

弘徽殿女御の夫:桐壺帝

朧月夜の夫:朱雀帝

藤壺:桐壺帝の女御

藤壺と光源氏の不義の子:冷泉帝

桐壺院の妹弟

桐壺院ー大宮ー前東宮

桐壺院の正室:麗景殿女御ー

桐壺院と弘徽殿女御(皇太后)

(子:朱雀帝・兵部卿宮・四宮)

大宮の子:葵上、頭中将

葵上と光源氏の子:夕霧

頭中将の子・雲居雁(夕霧の妻)

頭中将と夕顔の子:玉鬘

 

 

 

2023.2.4

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