男なら、だれもが惹き付けられる、

美貌で若き未亡人。

この高貴な皇太子のお妃(御側所)

と光源氏の「源氏物語(恋契結物語)」。

 

 

ー六条御息所と光源氏ー

源氏が17歳のとき。

六条御息所は、もともと大臣(おおとど)

の姫君で、ときの皇太子、桐壺帝の弟君

(皇太子)に嫁いだが、その皇太子が亡く

なる。六条御息所は24歳。当代きっての

美女で、教養人。以来宮廷の貴公子らが、

高峰の花のかの女と想いを遂げたいと競

い合う。

源氏より7歳年上のかの女。はじめ源氏が

いくら言い寄ってもなびかなかったが、あ

る日、かの女と契りを結ぶことになる。

 

源氏は、秘かにかの女のもとに通っていた

が、はじめの頃の大きかった喜びがしだい

に、かの女のことを堅ぐるしく想いはじめる。

 

 

桐壺邸が退位され、源氏の兄の朱雀帝が即

位することになり、賀茂の斎院に弘徽殿の

女三宮が立たれ、源氏は御禊の儀式の勅使

として仕えることになる。その行列を見る

ために一条大路は見物の人で混雑を極めて

いた。

 

このとき源氏の妻・葵上は妊娠していたが、

女房たちに「せっかくの(源氏の)晴れ姿、

北の方がご覧にならなくては」と促され出

かける。

 

一方、源氏の足が遠のき、恨めしくおもっ

ている六条御息所。

ここで葵の上と六条御息所の下人同士の車

争いが起こり、左大臣家の下人らが狼藉を

はたらき、衆人がみるなか、御息所は辱め

を受け、その無念はたとえようもなかった。

 

(六条御息所「生き霊」と葵上)

妻の葵上は出産を前に物の怪に憑りつかれ

て苦しんでいた。

正体は六条御息所の生き霊。葵上は、左大

臣家総力を尽くし、甲斐あってようやく男

児(夕霧)を出産するが、葵上は物の怪に

襲われ命を落す。

六条御息所は葵上に憑りついて詠む歌。

嘆きわび 空に乱るる 我がたまを

  結びとどめよし たがひのつま

 

悲しみに耐えかねて抜け出した私の魂を

結び留めてください、下前の褄を結んで

と、歌に詠む。

 

 

 

<紫上>

忌明けて参内した光源氏は、帰りに二条院

へ赴き、美しく大人びた若紫と会う。

10歳の紫上をひきとった源氏。

武蔵野の草をかきわけていくように、なか

なか会えない藤壺を思い、その血縁である

紫上を見て歌を詠む。

ねは見ねど あはれとぞ思ふ 武蔵野の

  露わけわぶる 草のゆかりを

まだ一緒に寝てはみませんがいとしく思わ

れる。武蔵野の露に難儀する紫草に縁のあ

るあなたを。と、詠む源氏。

若紫14歳。いっそう藤壺に似てきた。

結婚を意味する三日夜の餅を取り寄せる。

このあと若紫は「紫上」として源氏の最愛

の人となる。

 

 

<六条御息所「野宮の別れ」>

六条御息所は、自分の生き霊が源氏の妻・

葵上を憑り殺し、浅ましいことだと恥じる。

この想いを断ち切るために、伊勢斎宮に選

ばれた娘とともに京を去り伊勢にゆくこと

を決める。

9月初めの夕、源氏は嵯峨の野宮に六条御

息所を訪ね、京に留まるように口説くが、

はじめ耳をかさなかった彼女は、源氏が訪

ねてくれたということで、心がほぐれ、京

を離れる決心がつく

 

<六条御息所・前斎宮>

御代が改まり、伊勢の斎宮も代わる。この

ため六条御息所と前斎宮が帰京した。

六条御息所は病床につき出家する。

源氏が見舞うと、あと前斎宮を頼むが、け

っして恋人にはしないようにと言い残し、

数日後、御息所は息をひきとる。

 

ー六条御息所ー

源氏は六条御息所の宮廷を改築し、四町四

方の広大な六条院を造営。春夏秋冬の趣向

を凝らし、それぞれ女君を住まわせる。

六条院は地上の理想郷、極楽の誕生となる。

 

<六条御息所「死霊」と紫上>

紫上には六条御息所の死霊が憑りついて

いた。紫上はいったん息絶えかけるが、

祈祷の甲斐あってどうにか回復する。

 

 

<六条御息所「死霊」と女三宮>

そして女三宮が妊娠。不審に思った源氏。

源氏は六条院の女三宮を訪れる。このと

き、柏木からの文を見つけすべてを知る。

すべてを知った源氏は宿命の恐ろしさに

うちのめされる。

 

あらためて源氏は、義母・藤壺との密通

を想い、父・桐壺院の心中を思う。

女三宮の不義を見て見ぬふりをするほか

ない、と心に決める。

恋文を見つけられた宮は、犯した罪の大

きさにおののいていた。

 

女三宮の不調も六条御息所の死霊の仕

業だった。紫上は源氏の愛情が深く、

命を奪えなかったため、女三宮に憑り

ついて出家させる。柏木との密通の隙

を与えたとされる。

 

恐ろしいことだ。六条院は、もとは六条

御息所の旧邸を源氏が改築し、贅をつく

した春夏秋冬の地上の理想郷・極楽のは

ずだが…。

 

六条御息所の死霊は、すべてが女性に。

恨みで命を奪い、また愛し合っていた

かをもとに、死なせたり、命を救って

いる。

愛の苦しみに意味があるのか、闇のな

かで、光輝く源氏を紫式部は、理想の

男性に描いているのか。

不可解な「源氏物語」は、さらにつづく。

 

 

 

ー「源氏物語」の相関関係ー

<桐壺院と光源氏>

桐壺院(の妹・弟)ー大宮ー前東宮

 

桐壺院=桐壺更衣

   |

  光源氏

 

桐壺院=藤壺女御

   │

冷泉帝(光源氏と藤壺の不義の子)

 

前東宮=六条御息所

   |

梅壺女御(秋好中宮)=冷泉帝

 

 

《源氏の異母兄弟》

朱雀院ー光源氏ー八宮ー兵部卿宮

 

(朱雀院の子)

女三宮ー女二宮(落葉宮)ー今上帝

女三宮と柏木の不義の子が薫。

今上帝と源氏の娘・明石中宮の子

、源氏の孫が匂宮。

匂宮は、夕霧と雲居雁の子・六君と

結婚。

(光源氏と女性)

桐壺帝と桐壺更衣の子・光源氏

光源氏と藤壺女御→冷泉帝(不義の子)

光源氏と妻・葵上(頭中将は兄)

光源氏と女三宮(朱雀院の娘)

光源氏と夕顔

 

<桐壺院の妹弟>

桐壺院ー大宮ー前東宮

(桐壺帝と女性・子)

桐壺院の正室:麗景殿女御ー

藤壺女御→冷泉帝(不義の子)

桐壺院と弘徽殿女御(皇太后)

(子:朱雀帝・兵部卿宮・四宮)

(大宮の子)

葵上ー頭中将

(葵上と男性)

葵上と光源氏の子:夕霧

頭中将の子・雲居雁(夕霧の妻)

(頭中将と女性)

頭中将と夕顔(子:玉鬘)

(前東宮の子)

前東宮と六条御息所の子が梅壺

女御(秋好中宮で冷泉帝の后となる)

 

<今上帝>

今上帝と明石中宮の子:匂宮

今上帝の娘・女二宮は薫の正室。

<八宮>

八宮と中将君の子:浮舟

八宮と北の方の子:大君、中君

 

 

2023.1.28

藤壺(源氏艶女物語1)ー男と女の物語(334)

2023.1.31

紫上(源氏艶女物語2)ー男と女の物語(336)

2023.2.1

葵上(源氏艶女物語3)ー男と女の物語(337)

2023.2.2

明石君(源氏艶女物語4)ー男と女の物語(338)

2023.2.3

女三宮(源氏艶女物語5)ー男と女の物語(339)

2023.2.4

空蝉(源氏恋契結1)ー男と女の物語(340)

2023.2.7

軒端萩「源氏恋契結2(軒端萩と空蝉)」ー男と女の物語(343)

2023.2.8

夕顔「源氏恋契結3」ー男と女の物語(344)

2023.2.9

Enjoy Golf(小倉・恋契結)ー男と女の物語(345)