かつて京都は平安京の都があった。

その頃からか、すでに染料を使い、

着物に絵が描かれてきたのだろう。

 

最近、雨がよく降る京都だ。

手描き友禅で、黒色の雨傘の裏

に胡蝶蘭の絵を描いていて、浮世

の夢のなかにしたっていた。

 

 

<胡蝶蘭>

胡蝶蘭はギリシア語で、ファレノプシス

(属名)と呼び、見た目が蝶に似ている

とから付けられたという。

日本では蝶が舞っているように見え、幸

せが飛んで来て、縁起の良い花として思

われてきたようだ。

 

ー「源氏物語」(「胡蝶」)ー

紫式部が書いた「源氏物語」には、この

「胡蝶」という帖(題)で物語られてい

る。「源氏物語」は平安時代の中頃、長

年に渡り書かれ、物語は54帖からなり、

1008年頃に出来上がっている。

 

物語は光源氏の生涯とその子どもや孫

世代に渡っての大河ドラマで、恋愛を中

心に人生の浮き沈み、喜びや苦悩を女性

の視点で描きだされ、これが現代

み継がれてきている。

 

物語の展開は大きく三つの部分に分けら

れる。

第一部は光源氏が恋を重ね、一門が栄え

ていく姿。(1-33帖)

第二部は光源氏40歳からその死が暗示さ

れ描かれている(34-41帖)

第3部は光源氏の死後、子や孫の恋や運

命が描かれている(42-54帖)

 

<「胡蝶」(源氏物語)>

「源氏物語」の「胡蝶」(24帖)。

このとき光源氏がまさに生涯絶頂の時代

のときだった。

光源氏は、33歳のときに長男の夕霧が

12歳で元服し、光源氏自身は太政大臣

(太政官の最高位)にまで上りつめ、

養女の斎宮女御(前東宮と六条御息所

の子:梅壺女御)が冷泉帝の中宮(秋好

中宮)になる。

 

光源氏35歳のとき、新しい御殿の六条院

が完成する。

8月、六条院の造営が終わって移る。

西南の町は秋好(あきこのみ)中宮がお

住まいになるはず。

東南は源氏の君、北東は二条院の対の

お方(花散里)、北西の町は明石の御

方(主人の相手)と、お決めになって

おられた。

 

もとからあった池や山なども具合いの

悪いところはあるものは崩して場所

をかえて、遣水(やりみず)の流れや

形、山の造りを改めて、町にお住にな

る女君たちのご希望にそう趣になるよ

うにお造りになった。

 

新年を迎え六条院はいっそう華やいで

いる。源氏は明石姫君、花散里、玉鬘、

明石君、未摘花、尼姿の空蝉、とすべ

ての女君の部屋を巡り、寿(ことは)ぐ。

 

弥生の20日あまり。柳、桜、藤、山吹

がいまを盛りと咲き誇っている。

源氏は六条院の御殿で、龍頭鷁首(げ

きしゅ)の船を池に浮べ、楽人を召し

て、船楽を催した。

 

 

翌日は秋好中宮(六条ご息女所の娘)の

春の御読経の日で、紫上は供養の志とし

て、鳥や蝶の装いした八人の童を遣わし

た。

鳥の装束の童には銀の瓶に桜を、蝶の装

束の童には山吹を差しだした。

 

装いを懲らした女房たちも美しく、夜に

なっても篝火(かがりび)を焚き、宴は

明け方までつづいた。

 

 

 

なかでも玉鬘(たまかずら)に想いを

寄せる公達は多く、文がひきもきらず

にくる。源氏もまた、玉鬘に惹かれて

親代わりをいいことに、言い寄ってい

る。

 

<胡蝶蘭と胡蝶「源氏物語」>

胡蝶蘭の花言葉は「共にする喜び」で、

贈られた側、送った側の両方が幸せと発

展を願う気持ちがこめられている。

 

外は雨、ベッドでこのことを担当医に、

「胡蝶は、胡蝶蘭の花ことばと同じで、

男と女性の関係と似ている」と言うと、

かの女は、夢心地のなか笑っていた。

 

 

 

 

 

2023.1.28

藤壺(源氏艶女物語1)ー男と女の物語(334)

2023.1.31

紫上(源氏艶女物語2)ー男と女の物語(336)

2023.2.1

葵上(源氏艶女物語3)ー男と女の物語(337)

2023.2.2

明石君(源氏艶女物語4)ー男と女の物語(338)

2023.2.3

女三宮(源氏艶女物語5)ー男と女の物語(339)

2023.2.4

空蝉(源氏恋契結1)ー男と女の物語(340)

2023.2.7

軒端萩「源氏恋契結2(軒端萩と空蝉)」ー男と女の物語(343)

2023.2.8

夕顔「源氏恋契結3」ー男と女の物語(344)

2023.2.10

六条御息所(源氏恋契結4)ー男と女の物語(346)