◆ガチ君◆

今やほとんど見かけることが無くなったヤンキーの「剃り込み」。

年をとれば自然と人の頭はソリが入って、まぁ、禿げていくから若い時にリーゼントや坊主をかっこよく見せる為に剃り込みなんて入れる必要はないんだけどさ。

昔は結構いたんだよ。

剃り込みをやりすぎて、「鬼剃り」なんて言われるくらいの強烈な剃り込みヤンキーも存在した。

ダチと話していて、当時すげー剃り込みをした友達がいたことを思い出したんだ。

通称「ガチ君」。

なんでガチ君って呼ばれていたかは忘れちゃったわ。

ガチ君は狛江の人間ではなかった。

神奈川の方の不良で、友達の友達くらいの関係だった。

ガチ君は坊主頭にすげー剃りを入れていて、スラックスにダボっとしたセーターを着た、いわゆる少年ヤクザみたいな風貌だった。

ティアドロップのサングラスなんかをかけて、パッと見てチンピラだった。

なんでガチ君を覚えているかというと、飲み会でみんな泥酔してしまい、一人寝て二人寝て、最後は俺だけが起きていた。

想像してごらん。

井口、黙って帰ると思う？

井口を知る皆なら、答えはわかるよな。

「何かする」

そう。

いたずらっ子な僕は、寝てしまった奴らの寝顔を、全員マジックでキン肉マンにしたのだった。

そして、服はハサミでちょきちょき。

ほぼ皆さんを全裸に。

マジックで筋肉を書き、まるでパンツを履いているかのようにパンツの形にマジックを塗った。

その時のことだ。

ガチ君の順番になり、ズボンをちょきちょき、パンツをちょきちょき・・・

あれ・・・

ガチ君、下の毛が、ない・・・

というより・・・

バッチリ剃ってあるーーー！！汗

そう。

ガチ君は、パイパ◯ンだった。

笑ったわ。

ガチ君、剃り込んであるの、頭だけじゃなかった。

下の毛も剃っていた。

そして、すね毛も剃ってたのだった。

ガチ君は、剃毛マニアだったのだ。

だから、ガチ君にはパンツ型にマジックで描いてあげるのではなく、マジックで毛を描いてやったわ。

ぶははははは！！！

ふと、思い出したから昔話をしちゃったわ。

アディオス！！

俺の前で、寝てはいけない。

井口達也

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