※登場人物

・井口達也(バカ・北海道へ向けて配達中)

・大関(友人・トラック運ちゃん)

・咲(サービスエリアで出会った徘徊女)

・信永(友人・何でも屋)

・黒田(依頼物の受取人ａｔ北海道)

・依頼主(信永にブツの運びを依頼)

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---本編ここから---

その後大関は俺と咲との誘いに無言になり、ひたすらに運転を続けた。

きっと心の中で迷っているのだろう。

こういう場合は頭の中でトラックをどうしよう、いつまで休めるか、そんな具体的な計算、段取りに入っているにちがいない。

そうこうしているうちに俺たちが乗った車は青森に入った。

県が変わると景色も自然と違って見える。

俺たちは一路青森市を目指した。

青函トンネルで北海道に上陸するためだ。

今日中に北海道にと思っていた俺だが、さすがに座りっぱなしで体が痛む。

足を伸ばして眠りたい。

そんな気まぐれな感情がふつふつと湧いてきていた。

意思が弱く、気分屋。

青森市に入ってドライブインで休憩。

明らかにヤンキーと分かる集団も店内でタバコをふかしていた。

外には改造したシャコタン車が並んでいたから、きっとこいつらの車だろう。

俺たちとそう年は変わらない風貌だが、単車を卒業して四輪に手を出し始めた感じの若さがある。

若干年下か、といった感じだ。

漏れ聞こえる地元のヤンキー話をつまみに俺たちはトンカツ定食を食べた。

大関は昔を懐かしむ顔で、食後の一服。

大関も地元では名が知れた暴走族のメンバーだった。

きっとかつての自分を思い出しているのだろう。

懐かしむほど昔の事ではないが、まるで我が子を見る目でヤンキーたちを眺め、満足げだ。

俺たちは店を出て、トラックに向かった。

すると後ろから声をかけられた。

「コラオッサン。さっきから何見てんだよ」

～つづく～

井口達也

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