こちらは先日完結いたしました連載のおまけ2です。
お楽しみいただけたら嬉しいです。
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おまけ⇒<1>
おふたりさま物語・おまけ2
■ お父さんと私 ◇2 ■
翌週土曜、敦賀さんは早々に私の両親の元へ挨拶に来てくれた。
理由は、敦賀さん曰く……
「 はっきり言って俺の両親への挨拶なんて後の後でも平気だよ。何なら結婚式の前でもいい 」
「 ダメですよ!いくらなんでもそれは 」
「 ……ふ……まぁ、それは冗談だけど…。でも、俺のところにお嫁に来てもらうのだから、君のご両親に先に挨拶するのが当然だと俺は思うから 」
…と、言ってくれたのです。
「 お嫁さん……言葉にすると何やらすごく照れますね…… 」
駅で待ち合わせをして実家に向かう道すがら。
まだ敦賀さんとは出会って数か月しか経っていないというのに、もうずっと前から一緒に居るみたいな錯覚を覚える、不思議。
「 所で最上さん。結婚式は洋装がいい?和装がいい?あと、両親や友人を招いての式はもちろん国内でやりたいなと思うけど、ハネムーンがてら海外でも二人きりの結婚式とかどうかな?一生の思い出になると思うし、そっちも是非やりたいと俺は思っているんだけど 」
「 それ、いくら何でも気が早すぎだと思います 」
「 …ん、そうかな?俺はちっとも早いと思わないんだけど…。そういうの、嫌い? 」
「 なっ…嫌いな訳ありません!……う、嬉しいです。こんな話を出来る日が来るなんて、なんていうか、夢みたいで 」
「 俺も。正直すごく浮かれてる 」
「 ……ふふっ 」
「 こんな俺だけど、よろしくね 」
「 こちらこそ、よろしくお願いします 」
ふと立ち止まってくれた敦賀さんが私を見下ろして、そんな敦賀さんを私が見上げる。
お見合い初日のあの時を思い出す。
初めて敦賀さんを見たとき、鼓動がものすごく逸った。
写真では判らなかったお見合い相手が、まさかこんな素敵な人だなんて思ってもいなかったから。
「 最上さん、行こ。道はこっちで合ってる? 」
「 はい、もう少し行ったら右に曲がります 」
「 判った。…あ、そう言えば俺、前から思っていたことがあるんだけど… 」
「 なんですか? 」
「 最近、少し服装が違うよね?仕事帰りの時はともかく、お見合いの時はもっとこう…ふわっとした感じのお嬢様だった 」
「 あ!あれは……社さんが…ですね、世の中の男性は、私のような立場の女性が苦手だと教えてくださって、それでお嬢様作戦で行こうってアイディアを出してくださって… 」
「 ああ、そうだったんだ。なんか納得 」
「 ……敦賀さんは、そっちの方が良いですか? 」
「 ん? 」
「 敦賀さんが、そっちの方が好きって言うなら、私、敦賀さんのお好みに合わせます 」
「 …っ!??なにそれ、感動!!! 」
「 うきゃっ!?敦賀さん、ここ公道っ…… 」
「 全然平気だよ。だって、自分の婚約者を抱きしめたくなるのは普通のことだろ? 」
「 あうっ…… 」
「 ありがとう。でも俺はそのままの君がいい。俺に合わせるとか、しなくていいから 」
「 ……はい 」
敦賀さんの服が肌に触れる。
恥ずかしながらもその腕の中に私はすっぽり収まってしまっていた。
濃紺ジャケット、ライトグレーVネックTシャツ、チャコールグレーチノパン。そのすべてのデザインに記憶がある。見間違えるはずがない。
メンズブランド、アルマンディのシークレットシリーズは、義父が好んで着用している服なのだ。
もちろん値段もある程度は知っていたから、敦賀さんのプロフィール票でこの人の年収が270万だと知ったとき、私の頭に浮かんだのは、そんなことある?…だった。
もしあるとしたら、この人はよっぽどお金の使い方が上手なのかも、と思っていた。だから種明かしをされたとき、違和のピースが取り払われてすんなり納得できたのだ。
実家に着き、玄関を開けるなり二人は足早にやってきた。
敦賀さんを一目見て義父の顔色が明るく変わる。
理由はすぐに判った。
義父が着ていた服が、敦賀さんのVネックTシャツと色違いだったのだ。
「 なんだか君とは気が合いそうだ 」
そう言って義父は朗らかに微笑んだ。
居間に通され、ソファに座るよう促された敦賀さんは、腰を下ろすより先に自分の頭を深く下げ下ろした。
「 本日はお時間を頂きましてありがとうございます。
初対面でぶしつけですが、彼女を俺にください!彼女があなた方の大切な一人娘だということは重々承知しています。…が、彼女との結婚をどうかお許しください。俺が彼女を一生、幸せにします! 」
いきなりで本当にびっくりした。
まさかそんな事を言ってくれるとは思ってもいなかったから、思わず涙が滲んでしまった。
結婚相談所を介して知り合った事は両親に話していたから、二人もびっくりした様子だった。
「 ……驚いたな。まさかそんな風に挨拶されるとは予想していなかった。許すも何も、キョーコちゃん本人が決めた相手なのだから僕らは異を唱えないよ。ま、座りなさい 」
「 ありがとうございます。失礼します 」
「 それで、もしかしたら知っているかもしれないけど、僕も妻も弁護士でね。失礼かなとは思ったけど、君の調査をさせてもらった 」
「 そうですか 」
「 安心したよ。今までこの子に言い寄って付き合い始めた男は、この子の年収をアテにするような輩ばかりだったからね。だから娘には気づかれないようにあの手この手を使って別れさせてきたんだよ、僕が 」
「 はい?? 」
これぞまさに青天の霹靂。
私はこの瞬間、磁気でコリを解消する某エレキバンみたいに目を丸くした。
「 なにそれ、お父さん!? 」
「 ん?いま何か驚くようなことがあったかい? 」
父の隣に座っている母を見ると静かに笑いをこらえている。
その姿が、こう言っている気がした。
――――――― 本当にあなたはまだまだね……って。
「 でも安心したよ。少なくとも君はそうじゃないみたいだ。大学を卒業してからずっと同じ仕事を続けているというのも大変好ましい。自然科学研究者か…。恐らく君も、似たような思いをしてきたんだろう? 」
「 ……はい。だからこそ奇跡だと思いました。彼女のような存在に出会えたことが 」
「 うん。僕もね、嬉しいよ。君みたいな男性がこの子の前に現れてくれたことが 」
「 ありがとうございます。本当に嬉しいです 」
「 それで、二人はいつ籍を入れるんだろう?僕としてはなるべく早く入れて欲しいと思っているんだけど 」
「 どうして? 」
「 キョーコちゃんの姓が敦賀に変わるのと同時に僕と養子縁組を組むから 」
「 え?……いいわよ、お父さん。そんな、いまさら養子縁組なんて…。私、お嫁に行っちゃうのよ? 」
「 判ってるよ、だからだよ!僕はこの時をずっと待っていたんだ。
いいかい?彼と結婚することでキョーコちゃんの名字が最上から敦賀に変わるだろ。そしてもし将来キョーコちゃんが彼と離婚をしたら…。その時は旧姓に戻る訳だけど、僕と養子縁組を組んでいれば戻る姓は最上じゃなく藤道なんだ!……ああ、楽しみだな、その日が来るのが…… 」
「 お父さん!!そんな変な夢を見ないで!!! 」
このとき、我慢が限界に達したのだろう。
義父の隣に腰を下ろしていたお母さんは、私たちから顔を反らすと激しく肩を揺らし始めた。
「 大丈夫、大丈夫。僕は別に二人の離婚を望んでいる訳じゃないよ? 」
「 当たり前です! 」
「 ただ、僕としてはだね、可愛い娘が僕の元から去っていく寂しさをどうにかしたいと思ったんだ。いいんだよ、僕は、本当にどっちでも。
離婚しないならしないでキョーコちゃんの幸せがずっと続く訳だろ。だけどもし離婚したらしたで娘が僕の元へ戻ってくる。ただそれだけの事だから。…ね? 」
藤道はね、片桐先生曰く、MでGでHな性格なのよ。
そうと知ってもやっぱり私は義父を嫌いにはなれない。
何故かと言えば、父のゲスさ加減は決して人の不幸を願っていないから……。
「 キョーコ。取り敢えずはおめでとう 」
義父の隣でそう言った母の表情は、今までで一番明るい笑顔だった。
⇒おまけ3 に続く
藤道父、今までひたすら隠していた(のか?の)秘密を暴露(笑)
うん、これが書きたかったのですよ!
ところで、実家へ行くまでの道すがら…の二人が、私の脳内ではずっと手を繋いでいるんですけど(笑)可愛いな、おい。原作でもそんな二人を見たいわw
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