現代パラレル蓮キョの続きです。
どうぞお付き合いください。
前のお話はこちら⇒おふたりさま物語<1 ・2 ・3 ・4 ・5 ・6>
■ おふたりさま物語 ◇7 ■
2件のお見合いを皮切りに、以降も私の元には2週間に2~3件のペースでお見合い申請が届き続けた。
同年代から頂ける申し込みがとにかく嬉しかった私は、頂いたすべてのお見合いをしてみたのだけれど……。
「 んー、そっか。じゃあ、この人もお断りということで 」
「 はい、すみません…… 」
「 そんなことで謝らなくていいんだよ、キョーコちゃん。こればっかりは仕方のない事なんだから 」
「 はい。でも…… 」
残念なことに、一件として2回目に繋がる相手に私は巡り合えていなかった。
「 でも、正直不安です。このまま私、次も会いたい…って思える人に出会えなかったらどうしよう… 」
「 いやいや、まだウチでスタートして三か月が過ぎたばかりでしょ。それに、良い人に出会えるまで沢山のお見合いをしなきゃならないことは覚悟していた事でしょ? 」
「 ……そうですけど…でも、もう三か月も… 」
経ってしまったのだ。
あれから私の髪は確実に伸びていた。
実はお見合いをしてみて気づいた。
どんなにゆるふわお嬢様仕様にしたところで、ショートヘアとロングヘアでは確かに相手の反応が違うのだ。
プロフィール票ではゆるふわロングの私が、お見合いでショートヘアになっているのを見てあからさまにガックリする男性がとにかく多くて、私はすぐ髪を伸ばすことに決めたのだ。
テンさんが言うには、髪の毛は一ヶ月で1センチほど伸びるらしい。つまり今の私の髪は、LMEに登録した頃より3センチも伸びていた。
いえ。まだたった3センチって言い方もあるけれど。
「 でも…うーん、確かにそうだね。三か月の間で一人も惹かれる人が現れないってことは、やっぱり活動方法を少し変えた方がいいかもね、と俺は思う 」
「 え…… 」
「 キョーコちゃんだって、同じ会えるなら早く良い人に巡り合いたいでしょ?だったらもう待ち態勢じゃなくて、自分からも申し込みをしてみよう?お見合い申請 」
「 で……でも、私は…… 」
そうなのだ。
私は登録後もずっと受け身姿勢を貫いていた。
なぜか、と言うと、そもそも私は自分が奥手だから、男性にリードしてもらいたい、という理想があったから。
ところが、いざお見合いをして気づいたことが、髪の長さの他にもう一つ。
それは、お見合い場所として利用しているホテルのラウンジや高級店の雰囲気に、私自身が慣れていた…ということ。
私がそうなっていたのは他ならぬ父の影響だった。
自分が高校生の頃に両親が結婚してから、私たち家族は月に一度のペースで外食をしていたのだ。
父には警察官や官僚、医者を生業としている親族が多く、それ故か父が選ぶレストランはいつも高級店ばかりで、そう言えば最初のうちは私もだいぶ戸惑ったのだ。けれど回数を重ねるうちにすっかり慣れてしまっていた。
その経験があったから、お見合い相手が少しでもぎこちなさそうにしているのを見るとさりげなく自分がリードしてしまって、それは自分にも非がある事だと分かってはいるけれど、もう一度会いたいという気持ちがどうしても湧いてこなかった。
それで、初回のお見合いでお断り…がずっと続いていたのだ。
良い人には巡り合いたい。本当にそう思う。
でも、自分からお見合い申請をしてしまったら、イニシアチブを取るのは自然と自分になってしまう。
そうなったら益々理想の相手には出会えなくなる気がしていた。
それに
私からの申請を男性は嬉しいと思ってくれるのだろうか。それも甚だ疑問だった。
「 ……キョーコちゃん。いま変なこと考えていない? 」
「 えっ?ヘン?変なことって何ですか? 」
「 だから、自分が申請をしたって断られるんじゃないか、とか。相手の人は嬉しくないんじゃないか、とか。そういうことを色々 」
「 …っ……だ……って……男の人は、私の学歴とか、年収とか、気になっちゃうんですよね? 」
「 うん、そりゃあね。自分から申し込む場合はかなりハードル高いなーって思うよ、一般的な男なら誰だって 」
「 う……じゃあ、やっぱり私… 」
「 で・も!!それは男がキョーコちゃんに申し込む場合。前にも言ったけど、普通の男はエリートには自分から行けないものなの。何故かって言うと… 」
――――――― えぇぇぇっ?やだぁ!このレベルの男が私に?
「 …って、バカにされて切り捨てられたら怖いから! 」
「 社さん!!私はそんなこと…!前にも言った通り、私は相手の学歴とか年収とか、そういうのはどうでもいいんです!ただ私は、私を力強く引っ張ってくれる人が良いだけなんです!! 」
「 うん。知ってるよ。でもね、やっぱり受け身には限度がある。だから申請してみよう?!それに関しての心配は無用。なんでかって言うと、男は自分からは行きにくくても、来てくれる分には全然OKだから。だから待たない!探すの!! 」
いきなり椅子から立ち上がり、背中を見せて歩き出したと思ったら勢いよく腰を捻ってドヤ顔で私を見た社さんの奇行に私はプッと吹き出した。
「 ブルゾンち〇みさん風? 」
「 あ、分かった?大学の准教授でもテレビは見るんだね(笑) 」
「 見ますよ!普通に見ますし、講義に直接関係なくても生徒たちの話には極力耳を傾けるようにしています。それに、そういうのを知っている方が生徒受けもいいですから 」
「 あははは。うん、そう。そういう風に自分からも発言すればいいのに。キョーコちゃんはお見合いの席で相手の話だけを聞きすぎ 」
「 う…っ……すみません 」
「 まぁ、気持ちは判らないでもないよ?挨拶をして席に着いた途端、大抵の相手が一方的に自分の話をまくし立てて来るから、自分からは何も言えなくなるよね? 」
「 はい。実はそうなんですよね… 」
LME結婚相談所に登録をしてから、経験してきたお見合い相手の多くは、他の相談所に登録されている人だった。
そのため、ほとんどの席には社さんも付いていてくれたのだ。…と言っても、しばらくしたら仲人さんたちは席を立ってしまうのだけど。
「 今までね、敢えて俺はそれに関して何も言ってこなかったけど、それがどういう事なのか解説してあげようか。分かってないでしょ?キョーコちゃんは 」
「 え?……えっと……きっと、私が話しやすい相手だからだろうな…って… 」
「 違います。男がね、お見合いの席で自分の自慢話をしてくるのは、落としたいって思っている証拠なの。
可愛い!きれい!付き合いたい!よし、じゃあ自分の凄さを伝えて分かってもらわないと!…って、男が頑張っているところなんだ。悲しいかな、大半の女性には伝わらない事なんだけどね 」
「 え……そう…だったんですか? 」
「 そうだよ。今までしたお見合い全部、相手の人は次も是非…って、連絡をくれていたでしょ 」
「 あ……すみません。全部お断りしています…ね 」
「 そうだねー。きっと相手の人みんなガックリしたと思うよー? 」
「 それは、本当にすみません… 」
「 いやいや、だからどうしてそこで落ち込むのかな。そうだったんだ!って、ちょっとは自信持とうよ。
俺がね、男性陣の気持ちを知っていながら敢えてお見合い相手をキョーコちゃんにお勧めしてこなかったのは、会う気のない人と次の約束をしたって気が進まないだけなのを知っているからだよ?
無理に頑張ってそれを繰り返したら婚活が嫌になるだけだから。でも、分かってる?このままだとずっとこのままかもしれないんだよ? 」
「 う……うぅぅぅぅ……それは嫌です。じゃ、私、どうすれば…社さん 」
「 だから!!自分からもお見合い申請してみよう。ね?俺が選抜方法を教えてあげるから 」
「 ……っ……はい。わかりました… 」
「 よし、善は急げ!ここに、20件のプロフィール票があります 」
「 わあ、今日いきなり? 」
「 そ。実は用意しておいたんだ。そろそろ次のステップに進みたいと思って 」
「 は…ご配慮ありがとうございます 」
「 お礼はいいの。それより聞いて。このプロフィール票を見る前に、お相手選びのコツを教えます 」
「 はい! 」
「 まず、この紙に条件を書き出して。書くのはね、こういう人が良いっていうのと、これは絶対NGっていう条件を三つずつ 」
「 それって…例えば遠方の人はちょっと、とか、私を引っ張ってくれる人が良いとか、そういうことですか? 」
「 そう、そういうこと。あくまでもキョーコちゃんが自分で思うイエス・ノー 」
「 はい、分かりました 」
ここでふと考えた。
そう言えば相手に対してそこまで細かく考えたことはなかったかもしれない。
年収や学歴にこだわる気は今でもなかった。
その上で相手に求める三か条…。
「 書けた?見せてくれる? 」
「 はい、どうぞ 」
「 うん、なるほどね。じゃあね、ここにあるプロフィール票の人たちで、NGに該当する人だけ除外する。あとは全て申請 」
「 え?イエスの方を見るんじゃないんですか? 」
「 逆だよ。あのね、100%合致する相手なんて居ないと思った方がいい。それもお見合いで…ともなればお互いに100%なんてまずあり得ない。だからどうしてもダメな人だけを外していって、あとはお見合いで許せる範囲を探っていくんだ。
実際に会って話してみるとね、条件が良くても生理的にダメな人とかもいたりするし、逆に一つぐらい条件から外れていてもこの人ならっていうお相手に巡り合えることもあるから 」
「 ……そうなんですね。はい、分かりました 」
「 うん。はい、どうぞ 」
「 拝見します! 」
社さんのアドバイスに従い、用意されていた20件のプロフィール票をチェックした。
該当する12名に申し込んだお見合いは有難いことにすべて成立。
それからは2週に一度だったお見合いが毎週末に変化した。
けれど、相変わらず次に繋がるお相手が現れることはなく。
また頂いた申請も断らずに受けていたこともあって、夏の暑さと相まってだいぶ疲労が重なって…。
情けないことに2か月が過ぎようとする頃にはもうだいぶクタクタになっていて、そんな私の様子に気づいた社さんがこう提案してくれた。
「 キョーコちゃん。残りの3件のお見合いが終わったら少しお休みしようか。申請が来ないようにプロフィール票を一時的に下げよう。疲れているのに立て続けに頑張っても成果は出ないと思うから 」
正直、心が折れそうなぐらいになっていた私は、お見合いの席で満足に笑うことも出来ないほどになっていた。
自分でもそれが分かっていたから、有難くその提案を受け入れた。
「 はい、すみません。そうしたいと思います。それで、明日の人って… 」
「 うん、確認しておく?頂いた2件と、キョーコちゃんが申請した最後の一件だよ。一番返事が遅かった人 」
「 …そうでしたね 」
「 はい、プロフィール票。お見合い相手の名前、加賀、古賀、敦賀って並んじゃっているけど、俺が意図的にしたんじゃないよ?偶然だから 」
「 は?……あ…ふふっ、本当です。面白い偶然 」
「 加賀くんと古賀くんの二名は別の相談所の人だから、同じホテルのラウンジで時間をずらした午前中。キョーコちゃんが申請した敦賀くんは別の場所で午後に。まだまだ暑いし、少し離れた場所だから俺の車で移動しよ 」
「 はい、お手数おかけします。ありがとうございます 」
どうせ、今回もダメなんだろうな…。
正直、そう思っていた。
この時点で私はかなり本気に、結婚自体を諦めかけていた。
⇒おふたりさま物語8 へ続く♪
やっと!やっとだよ蓮くん!!もちろん加賀、古賀は名前だけの登場。だって本命は敦賀さんですから(笑)
ちなみにキョーコちゃんがLMEに登録したのは4月。それから3か月+2か月が過ぎているので、今は9月あたりです。
⇒おふたりさま物語◇7・拍手
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