おふたりさま物語 ◇5 | 有限実践組-skipbeat-

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 現代パラレル蓮キョの続きです。

 どうぞお付き合いください。


 前のお話はこちら⇒おふたりさま物語<14>


■ おふたりさま物語 ◇5 ■





「 えっ?先週はゼロだったのに、今週になって2件来たんですか? 」


『 そうだよ。ご希望通り同年代から。その件で打ち合わせをしたいんだけど、今度の土曜日は平気? 』


「 はい!!もちろんです、伺います! 」



 LMEで活動を開始してから、たったの2週間で朗報が届いた。

 打ち合わせ予約を入れた当日はとても清々しい好天で自然と足取りも軽くなる。



 LMEには約束の5分前に到着した。案内された応接室ではドキドキわくわくしっぱなし。

 社さんはすぐに来てくれて、早速、申請者お二人のプロフィール票を私に見せてくれた。



「 わぁ、本当に同年代です!嬉しい、感激!! 」


「 いやー、お見合い申請が届いたってだけで喜ぶのは気が早すぎると思うけど。でも申請が来てくれない事には先にも進めないから良かったよね。それで、だけど… 」


「 はい、もちろんお受けしたいと思います!お見合いします! 」


「 うん。それはもちろんそうして欲しいけど、でもその二人とお見合いをする前に、俺たちと意識のすり合わせをしておこうか 」


「 ……意識のすり合わせ、ですか? 」


「 そう。キョーコちゃんは半ば勢いでウチに登録してくれたから、細かいことをちゃんと話し合っていなかったでしょ。

 LMEで婚活するにあたって、俺たちがキョーコちゃんに何をしてあげたらいいのか、それを具体的に把握しておきたいんだ。何しろ、当社はきめ細かなフォローと的確なアドバイスを売りにしているから 」


「 ふふっ? 」


「 いや、冗談じゃなく本気だよ?だから本音で答えて。キョーコちゃんは、LMEでどうしたいと思ってる? 」


「 え?……それは、普通に婚活を… 」


「 普通。うん、普通ね。でも、その普通っていうのが個人個人で違うから、そこをはっきりさせておきたい。人によって優先順位も異なることだからね 」


「 優先順位、ですか?何の? 」


「 もちろん婚活の。具体的に言うと、キョーコちゃんが前の相談所を退会したのは、担当者と意見が合わなかったからだよね。その担当者の方針とキョーコちゃんが求めるものが違っていた。

 担当者はキョーコちゃんが結婚できることに重点を置いていたけど、キョーコちゃんはそうじゃなかったってことだと俺は思っているんだけど 」


「 ……はい。表現するとそういう事になるのでしょうか 」


「 なると思う。でね、俺としてはそういう事が無いようにしておきたいんだ。なるべくキョーコちゃんの希望に沿って活動をサポートしたい。だから教えて?キョーコちゃんは、俺たちに何を求めてる? 」


「 な…なにって、そんな、いきなり言われても…… 」


「 悩んじゃう?じゃあね、そうだな…。例えば、キョーコちゃんは色々なアドバイスが欲しい人?それとも好き勝手にやりたい人? 」


「 あ…アドバイスは必要です!だって、社さんが考えて下さったあのプロフィール票のおかげで今回申請が来たと私は思っていますから。今までと同じ活動をしていたらきっと来なかったと思います。だから、アドバイスは絶対欲しいです! 」



 そう。もし世の中の大半の男性が、私の学歴や年収を見てお見合い拒否の姿勢になるというのなら、今までと同じ活動では、たとえ河岸を変えたとしてもきっと結果は同じだった。


 でも、それを教えてくれた社さんがアイディアを出してくれて、工夫を凝らしたプロフィール票を作ってくれた。そのおかげで今回、同年代の男性が二人も申請をくれたのだと私は思っていた。



 実際、16ヶ月も婚活をしていたというのに、この世界の事に私は不勉強すぎたと思う。

 例えるならそれは、受験勉強をせずに大学受験に挑むようなものだ。


 相談所に登録さえしたら自分は結婚できる…と心のどこかで考えていたけれど、それは、この参考書さえあれば目的の大学には受かるはず、と信じたようなものだと思った。


 出来るはずがないのに。そんなことにすら私は気づくことが出来ずにいたのだ。

 それに気づけたのは、LMEに登録した事がきっかけだった。



 実はLME結婚相談所は、全国の結婚相談所を結ぶ相談所ネットワークというものに加盟していた。そこの最大のメリットは、お見合い相手が全国規模になるということ。



 具体的に言うと、このネットワークを利用することで、A相談所に登録しているAさんが、B相談所に登録しているBさんとお見合い出来るというものなのだ。

 事実、社さんが渡してくれたお二人のプロフィール票は、LME結婚相談所とは違う書式のものだった。



 それまで私は、自分が登録した相談所の中でしかお見合いは出来ないものだと思っていた。だから、こんなシステムがあると知って驚いたと同時に、自分がどれほど無知だったのかに気づいたのだ。


 とにかく、可能性は一気に広がった。

 きっとLMEなら今までとは違う活動が出来るに違いない。素直にそう思えた。



 そんな自分が、まさか好き勝手に婚活なんて無謀以外の何物でもない。だからアドバイスは欲しいとはっきり自分の意思を伝えた。

 そんな私の言葉を社さんはまっすぐに受け止めてくれた。



「 うん、分かった。じゃあ、次。キョーコちゃんは、たくさんの異性を見て相手を決めたいと思ってる?それとも少人数と深く付き合って決めたい? 」


「 それは……自分がいいと思った人と深く付き合いたいです 」


「 なるほど。そうすると、少なくともそういう人が現れるまでは沢山の人とお見合いをする必要があるかもだけど、それでいい? 」


「 そうですね。……はい、それでいいです 」


「 よし。じゃ、次。そういう良い人が出て来たら結婚したいのか、それとも、たとえば半年以内とか、ある程度の期限を決めて活動して結婚したいのか 」


「 私は、いい人と出会えてから…それから具体的に結婚を考えたい 」


「 そう、分かった。つまりキョーコちゃんの優先順位は、とにかく良い人と出会えること。そのためなら長期戦になってもいい…ってことだね?それでいい? 」


「 はい、それでいいです 」



 受け答えをしながら自分でも見えていなかった答えがはっきりと形を成す。同時に私は感動していた。


 LME結婚相談所に来たのは本当に偶然で、あの時は藁にもすがる思いだった。けれど、どうやら私が掴んだのは御者がいる金細工馬車の手綱だったらしい。



 私の思いを確認し、私が歩みたい道を丁寧に確かめてくれる社さんの姿勢に感謝したい気持ちでいっぱいになった。



「 うん、大体わかったかな。じゃ、今度はお見合いの話 」


「 はいっ 」


「 キョーコちゃんは、婚活服をどれぐらい持ってる? 」


「 はい? 」



 予想外の質問に面食らった。



「 ……え…婚活服…ですか? 」


「 そう。出来れば何パターンかあった方がいいかな。プロフィール票の写真はゆるふわお嬢様だから、それ系統でってことになるけど 」


「 あ…… 」



 そう言えば、そこまで考えていなかった。

 確かに、いまの私のプロフィール票はゆるふわお嬢様仕様になっている。


 でもそれは……



「 私、そういう服は持っていないです。…っていうか、社さん 」


「 うん? 」


「 そこまでしなきゃダメですか?だって、そこまでしちゃったらそれは本来の私と違う気がします 」



 それは、あくまでも申請を貰うための策として受け入れたつもりでいた。



 だけど本来の私はそうじゃない。

 なのにそれに合わせて自分を作ってしまったら、それは嘘をつくことになる気がする。自分を偽ることになる気がする。


 それで良い人に出会えたとして、果たして幸せな結婚ができるだろうか?



「 私、嘘をついてまでそんなこと、したくないです 」



 アドバイスが欲しいと言ったばかりの口で、何を言っているのかと我ながら思う。

 でも、言わずにはいられなかった。



「 ……ねぇ、キョーコちゃん 」


「 はい 」



 難色を示した私の顔をまっすぐ見て、社さんは丁寧に私を諭し始めた。






 ⇒おふたりさま物語6 へ続く♪


ちなみにですが、このお話のヤッシーのように色々策を練ってくれる相談員さん(男性)は実在します。


参考にしているのはその方のブログで、過去に語られた出来事から、お話に使えそうなものをピックアップし、アレンジを加えたり脚色をしたりしながらストーリー構成をしています。


その中で特に印象に残っているものが一つ。


今って写真加工が簡単に出来るじゃないですか。その機能を使って全然別人になった写真をプロフィール票に貼り、とにかくお見合い申請をたくさんもらって数打ちゃ当たる作戦を実行し、見事勝利を収めたというエピソードが面白かったです(笑)ちなみに婚活者は女性でした。


きっかけが大切なのであって、人の価値は外見じゃない、中身だ!…と言い切った相談員さんのそれに清々しささえ覚えました。


もちろん結婚に至るまでの過程をその女性は頑張っていましたよ。努力なしの結婚なんて、当たり前ですけどあり得ない。

ただ、本当に素敵だな、と思いました。相談員さん、最高です!(*´艸`*) ふふっ。



⇒おふたりさま物語◇5・拍手

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