おふたりさま物語 ◇4 | 有限実践組-skipbeat-

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 現代パラレル蓮キョの続きです。

 どうぞお付き合いください。


 前のお話はこちら⇒おふたりさま物語<13>


■ おふたりさま物語 ◇4 ■





 最上キョーコさんはその日のうちにLME結婚相談所に登録の意思を示し、入会金と登録料、さらに活動サポート料と当月月会費の合計48万円を現金で支払ってくれたけど。


 本音を言うと、俺は勢い入会を推奨していなかった。

 なぜかというと、サポートの方法は相談所の数だけ違いがあるからだ。



 どこの相談所に行ってもプロフィール票があるのは変わらない。けれどお見合い方法やサービスは決して一律ではないのだ。



 たとえば土日にイベントを開催し、それに参加してもらうことで出会いをサポートする相談所もあれば、マッチングシステムによって毎月必ず決まった人数を紹介してくれるところもある。


 一件ずつの紹介料を請求する所もあるし、お見合いするたびに費用が発生するところもある。


 個人同士のお見合いをメインにしていても、仲人がついていくことを前提とする相談所もあれば完全フリーな所もあって、本当に千差万別なのだ。



 それに、大抵の人の場合は必ず要望を持っている。登録していたことがあるなら尚更、それがはっきりしているだろう。


 ならばその経験を踏まえ、こういうのはダメだった、とか、こういう風にして欲しい…など、自身の要求が叶う相談所なのかどうかを事前に確認するべきだと俺は思う。



 そういう意見を聞いてくれない所はもちろん、答えを明確にしない所などは論外。

 入会してから説明します…は、もはや問題外で、やたらと勧誘してくる所も俺だったら遠慮する。


 とにかく、自分の希望や要望に一番近い相談所かどうかを確認してから登録の有無は決めるべき。

 そうした方が安心して婚活できると思うから。




 とは言っても最上さんは強い意志でウチの相談所を選んでくれた訳で、しかも俺との会話をきっかけに登録会員様となってくれたことは素直に嬉しい。


 その気持ちに応えるべく、なるべく彼女の意向に沿うお相手を見つけてあげたい。

 そもそもLME結婚相談所は、とことん会員様に寄り添い、とにかく全力を尽くすこと…をモットーとしているのだ。



 僭越ながら彼女の担当には俺がなり、入会したての翌週土曜。約束通りわざわざ来所してくれた彼女と一緒に、俺はプロフィール票の作成に挑んだ。



 一通りの書類を受け取る。


 本人証明書と独身証明書はともかく、年収証明書と学歴証明書を受け取ったとき、思わず苦笑が浮かんだ。



「 ……いや、またすごいね 」


 改めて思う。やっぱりすごい、と。


 実は彼女、以前登録していた相談所のプロフィール票で年収欄が空欄だった。これは相談所が意図的にそうしたのだろうと思われる。


 何と彼女の年収は一千万。


 しかしソコを伏せたところで職業は公開項目。そのため焼け石に水だったに違いない。

 というのも、彼女の職場は某有名大学で、彼女はそこの准教授だったのだ。



 誰が見たって明らかに頭が良いと分かる職業な上、高収入として有名な職種階級では、稼ぎの予想が容易すぎて伏せている意味が全くない。


 つまりこれが、彼女の婚活が上手く行かないネックだったのだ。



 しかし彼女の場合はそれだけにとどまらなかった。彼女の家族欄にもネックは存在していた。



 家族構成を見る限り、彼女は一人娘だと思われた。


 そこには、父、大卒、弁護士とあり、同じく母、大卒、弁護士とある。

 しかも本人の最終学歴は現在の勤務先である某有名大学の大学院。



 どう頑張っても隠し切れないエリート臭!!



 もし彼女がスペックを競うアスリートだったとしたら、間違いなく何度も金メダルが取れるレベルの2大巨頭!


 いや、お金持ちの一人娘お嬢様が加わると、ただでさえ少ない婚活男が避けて通る3大巨頭かもしれない…。




 容姿だって申し分なくて、性格だってすごくいい。振る舞いは上品だし、会話だってスマート。

 男性だったら間違いなく申し込みが殺到するスペック。



 けれど男はすごいと言われたい生き物。

 自分より凄そうな女性はそれだけでなんとなく敬遠しがち。


 つまり彼女のこのスペックの高さが最大の難関だったのだ。



「 ん?……あれ? 」



 LME仕様の必要事項書類に記載されているそれを見て、ふと疑問が浮かんだ。

 彼女のご両親と彼女の名字が一致していなかったのだ。



「 最上さん、聞いてもいいかな?緊急連絡先のお父さんの名前なんだけど、藤道…さん? 」


「 あ、はい。実はウチ、再婚でして、私は母の連れ子なんです。二人が結婚したのは私が高校生の時で、父の籍に入るかどうかで悩んだのですが、当の父が女の子は結婚したら姓が変わるものだから、むしろ頻繁に名前を変えない方がいいって言ってそのままになりまして… 」


「 ……そうなの 」


「 はい。いま思えばおかしなことですよね。もしかしたら父は、私がすぐ嫁に行くかもって考えていたのかも。そう思うと皮肉ですね 」


「 いや、それは… 」


「 あっ!でも、戸籍上は他人ということになっていますが、父は血の繋がった母以上に私を可愛がってくれています。

 ……私が大学に進学したのも、大学院に進んだのも、学びたいことがあるならとことんまで突き詰めるべきだって父が応援してくれて、母だけじゃなく父も学費を出してくれたからなんです。とても感謝しています。私、父が大好きなんです 」



 ん?それって、もしかしたら溺愛父ってやつじゃないか……?


 確かに判る気がする。

 たとえ義理の娘でも、こんなに出来が良くて気立て良しなら、親として何でもしてやろうって気になる、なる。




 やばい、ムチャクチャ手ごわいな。


 このスペックを見てお見合い申請してみようっていう気になる同年代の男性が現れること自体がかなりの難関だというのに、さらに父母と名字が違うとなれば余計な妄想を誘発する。



 例えば、この子ってもしかしたらこの夫婦と血の繋がりが無いのかな?事実婚みたいな感じの事実的な養子って事じゃね?…と想像し


 …ってことは、彼女はかなり優秀で頭がいいってことじゃないか?実際、大学の教員って書いてあるし、しかもこの夫婦自体が二人揃って弁護士じゃん!!やばい、無理無理!!



 ……となって、ますます敬遠されることに……。




 チ――――――ン……。


 頭の中で妄想終了の鐘の音を鳴らした俺は、プロフィール票の家族表記ルールが、父、母であることに感謝した。



「 さて最上さん。この前も言ったけど男は下方婚が好き。だからね、正直に言うと今のままでは君のこのスペックでお見合いの申し込みをしてきてくれる男性はウチでもかなり少ないと思う 」


「 ……はい 」


「 でも、申し込みたいと思ってもらえるような工夫をすることは出来る。そういう視点でプロフィール票を作ろう 」



 そう。

 何でも要はやりようなんだよね。



「 社さん。それって、まさか嘘を書くとかじゃないですよね? 」


「 嘘は一切つきません。第一それじゃ結婚するかもしれない相手に対して不誠実でしょ。まず写真。可愛い私大作戦を発動します 」


「 ……か……可愛い私、大作戦、ですか? 」


「 そう。簡単に言うとね、男受けがいい写真をプロフィール票に貼る。ちなみに今の最上さんではなくて、未来の君の写真を貼るから。…って言っても、今の君に違いはないんだけどね 」


「 はい?それは一体、どういう??? 」


「 …ということで、アドバイザーのテンさんです!! 」


「 こんにちは。仲人兼アドバイザーのテンです!よろしくお願いします 」


「 あ、この前タオルをくださった…。その節はありがとうございました!!ご迷惑をおかけしました!! 」


「 いえいえ、ご迷惑なんて掛かっていないわよ。あんなこと言われたらあたしだって泣いちゃうわ。

 それより、今日はね、このウィッグをかぶってプロフィール写真を撮るわよ 」


「 ウィッグ…… 」


「 そうよ。ショートヘアはどうしてもキリっとした印象を作り上げてしまうの。そうすると多くの男性はそれにいい心象を持てないの。だからとにかく男性ウケがいい、ゆるふわロングのウィッグで柔らかい雰囲気に仕立てるのよ 」


「 ……でも、それでお見合い申請を頂けたとしても、そのあとのお見合いで… 」


「 そうね、そういう問題はあるわね。だからね、今日から髪を伸ばすことをお勧めするわ。実際、髪の長さや色で人の印象はずいぶん変わるものなのよ 」


「 で…でも私、長くなると幼くなってしまって… 」


「 幼くなる?それ大歓迎じゃない!!若く見えるならそれに越したことはないわ!絶対そうした方がいい。お勧めよ! 」


「 ………はい… 」


「 じゃあ、少しの間じっとしていて。すぐ済むから 」


「 はい 」


「 お見合いの時はね、思い切って髪を切っちゃったんですって言えばいいわ。大切なのはお見合い申請をいただくことでしょ。それが来なきゃ意味ないんですもの 」


「 はい、そうですね 」


「 よし。じゃあそのまま撮っちゃおうか 」


「 え?こちらで撮るんですか?普通、お見合い写真って…… 」


「 そうだね、本来は写真館で撮るものだけど、残念なことにプロに撮ってもらうと鮮明過ぎてカツラってばれちゃうんだ。だからここで地毛っぽく撮影する 」


「 あ……納得です 」


「 あとね、ゆるふわロングにする理由はもう一つある。男ってエリートは苦手だけどお嬢様は大好きなんだ 」


「 へ? 」


「 だからね、そういう気分で表情を作ってもらえる? 」


「 あはは。はい。お嬢様設定って私も大好きです。子供の頃は特に憧れていました 」


「「 え? 」」



 ふふふ、と頬を緩めた彼女を見て俺達も口元を緩めた。


 現状、彼女本人がリアルなお嬢様的立場だというのに、その自覚がまったく無いというのが面白いと思う。



「 じゃあノリノリで行こうね。それとね、これから最上さんのことはキョーコちゃんって呼ぶことにしたいんだけど、いいかな? 」


「 え?……えっと、それは……・ 」


「 それは所長代理だけじゃないわよ。あたしもそう呼ぶわ 」


「 そう。最上さんサポートチームは今から君をキョーコちゃん呼びで統一する。なぜかって言うと、普段から可愛い呼ばれ方をされることで人は自然とそういう気分になっていくものだから。

 君がいま持っているシャープな印象を和らげるために必要なことだと俺は思っているんだ。最上さん、っていかにも堅苦しい呼び方だしね 」


「 そうそう!雰囲気って大事なのよ、キョーコちゃん 」


「 ……でも、30歳にもなって恥ずかしいです 」


「 大丈夫。衆人環視の中ではそう呼んだりしないから 」


「 はい、分かりました 」


「 それとね、写真を撮ったあと、その雰囲気に合わせてアピール欄を埋めるから、そのつもりでいて。予定では、お嬢様で世間知らずな私、色々教えて欲しいな感を演出する方向で行くから。何しろ男はお嬢様が大好きだからね~~~ 」


「 は……ふふっ。はい、分かりました。よろしくお願いします!! 」


「 はい、撮るよー。お嬢様っぽく笑って~。ちなみに一番地毛っぽく見える奴を採用するから鬼のように撮るよ!! 」


「 はい、どんとこいです! 」




 題して、ゆるふわお嬢様大作戦を発動し、それで活動を開始してみたところ。


 他社にいた16ヶ月の間、同年代からの申し込みがゼロだったキョーコちゃんのもとに、たった二週間で2件のお見合い申請が届いた。



 そのとき確かな手ごたえを覚えて、俺はニヤリと口端を緩めた。






 ⇒おふたりさま物語5 へ続く♪


こんなこと言う必要はないと思いますが一応!!

結婚相談所の方が登録者様を下の名前で呼ぶことはまずありません。それはお客様に対する最低限のマナーなのです。


でも原作の雰囲気や口調を考えると、どうしてもヤッシーやテンさんが「最上さん」呼びするのが耐えられず。

だって、蓮くんみたいなんだもん…。


つまり蓮くん登場の時に誰のセリフなのか判別しやすくするのに必要で、敢えてそういう風にしました。どうぞご理解くださいね。



⇒おふたりさま物語◇4・拍手

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