猫の食欲不振への対処法と気になる漢方&サプリ
恐らく薬の副作用で、ここ数ヶ月ワサビはプチ食欲不振でした炭水化物をエネルギー源とする人間と違い、犬猫、特に猫はたんぱく質を主要エネルギー源として利用している動物十分食べられないと筋分解が起こりやすく、それが原因で腎臓や肝臓に負担がかかり、別の病気を引き起こすこともなので、投薬中のワサビに何とか食べてもらうため、ここ数カ月は猫の食性や食欲のメカニズム、食欲不振への対処法について色々と調べて、試行錯誤してきました。忘備録もかねて、ブログに書いておきたいと思います猫の食性 単独で小型の獲物(鳥類や小動物、昆虫、両生類や爬虫類)を狩る 獲物が小型のため、少量頻回摂食(1日に10~20回狩りをする) 捕食衝動が強く、獲物を食べている最中でも他の獲物を目にすると狩りをする個体が多い 内臓も食べるが、筋肉部分の方をより好む傾向がある猫のエネルギー代謝 肉食で消化器官の長さが短い(腸管・身長比=4:1、犬は6:1) 炭水化物の利用能力は低く、糖尿病になりやすい アミノ酸から糖質を作ってエネルギーとして利用する能力が高い 脂肪のエネルギー活用能力も高い 【要注意】食欲不振で必須アミノ酸(食べ物からの摂取が必須)のアルギニンが不足している状態で筋肉など体内にあるタンパク質が分解されると、発生したアンモニアを上手く代謝できず肝臓や腎臓に負担がかかる 【要注意】体内の脂肪の運搬にはアポタンパク質が必要なため、タンパク質を食事から十分摂取していない状態で体脂肪がエネルギーとして活用されると、肝臓から運べない脂肪が肝臓に蓄積し、肝リピドーシスを引き起こすことがある猫の味覚 味蕾の数が少なく、約500個(犬1,700個、人間6,000個) 甘味の受容体が機能していないので、甘さを感じない(犬は感じる) 旨味(アミノ酸)への感度は高く、人間の味蕾が2種類のアミノ酸と感知するのに対し、猫は6種類のアミノ酸を感知する アミノ酸の中でも、特にアラニンとイソロイシンとの親和性が強い 嗅覚も発達しているが、犬ほどではない 高タンパクの食べ物を好む 好きな香りの低タンパクフードと、嫌いな香りの高タンパクフードを与えると、最初は好きな香りの低タンパクフードを食べるが、暫くすると嫌いな香りの高タンパクフードを食べるようになる 受容する食べ物の種類は子猫の時に食べた物のバリエーションの豊富さに依存。子猫の時に食べた物の種類が少ないと、大人になって新しい物を受け付けにくくなる猫によく使われる食欲増進剤 シクロへプタジン(ペリアクチン):抗ヒスタミン薬。ヒスタミンが満腹中枢を刺激するのをブロックすることで効果を発揮。犬より猫に向いているらしい。 ミルタザピン(レメロン、ミラタズ軟膏など):向精神薬。やる気を高め、ストレスを緩和することの結果として食欲を改善。上述のシクロヘプタジン同様にヒスタミン抑制効果もある。 カプロモレリン(エンタイス):胃が分泌する成長ホルモンの一種で、食欲を刺激する「グレリン」と同じ働きをする。 六君子湯(りっくんしとう):グレリンの分泌を促進する漢方薬。 BCAA:アミノ酸(バリン、ロイシン、イソロイシン)のサプリ。筋肉の分解を抑え、筋肉を増やすのを助ける。筋分解を抑制するので、アンモニアと尿素窒素(BUN)の生成を抑えて肝臓や腎臓の負担を軽減する効果が期待できる。色々と書きましたが、個人的には、猫の旨味(アミノ酸)の感知能力については知らなかったので、有益情報でしたアラニンは魚介類(特に貝類)に多く、イソロイシンも煮干しや鰹節に多く含まれるようなので、子猫の時から魚介類を食べる機会が多い島国の日本で「猫が好きなもの=魚介類」と言われているのは、正しいのかもですね。余談ですが、トウモロコシも意外とアラニンやイソロイシンの含有量が多く(100g中670㎎)、これはホタテの刺身と同じくらい腎不全で亡くなったワサビの姉妹猫(という噂の)ボンちゃんがトウモロコシが好きだったのは、アミノ酸の旨味のせいだったのかも『ボンちゃんに挑む!(錠剤&粉薬編)』順調に歯周病の痛みが治まってきたボンちゃん『血が出なくなった!』今晩もボンちゃん(ワサビの姉妹)の皮下点滴と歯のケアをお手伝いしに、預かりママさんのお家に行…ameblo.jpまた、自分自身の経験から、猫は特に「遊んだ後などテンションが上がるとゴハンを食べる」という気がしていました。向精神薬が猫の食欲増進剤として使われているのは、狩りで興奮し、更に狩りが成功してテンションが上がった時にゴハンを食べる、という食性が影響しているのかもですね。などなど、調査結果を踏まえつつ、ワサビの食欲不振への対応は、以下の順番でやってみることにしました。 まずはゴハン自体はなるべく従来通りにしつつ、猫の摂食習性に合ったあげ方で食べてもらうようにする それでダメならフードの嗜好性を上げる それでもダメならサプリや食欲増進剤などを検討結局、「1」の対処だけでなんとか今回の食欲不振は乗り越えられたのですが、具体的に効果があったのは以下のようなことでした。 食事回数を増やし、ちょこちょこ食べさせる 狩りをイメージし、ゴハン前に遊ばせる ゴハン中は褒めまくってテンションを上げる途中で食べなくなったら、プレッシャーをかけない一旦中断後、食べる場所を変える、遊ばせる、お手入れをする、食器を替える、ちゅーるや茹でた鶏肉を少し混ぜるなどして気分転換させつつゴハンを勧めてみる先日納品されたキャットウォークに乗せるとテンションが上がるので、キャットウォークの上でゴハンをあげたりも今後もしまた食欲不振になったら、薬や嗜好性の高いフードになるべく頼らず工夫しつつ、それがダメだった時のために備えておこうかと思います。特に今気になってるのが「六君子湯」で、こちらは人間でも抗がん剤の副作用で食欲が落ちた時に処方されるらしいので、なんだか効果が期待できそう食欲増進ホルモンであるグレリンを増加させるという、直接的な効き方も良いですよねあと、最後に、今後ワサビが腎不全になり、それが進行してしまった場合、私が知る限り腎臓の療法食(ドライフードでの比較)で1番低タンパク・低リンなのはロイヤルカナンの腎臓サポート(タンパク質21%、リン0.29%)。これがヒルズのプリスクリプション・ダイエットk/dだとタンパク質29%、リン0.5%で、確かにリンは少な目だけど、タンパク質はかなり多め。。。これは腎疾患向けのフードなのかと思うような商品も結構ありますかなり悪化した場合はロイカナがいいけど、上述の通り「暫くすると好きな匂いの低タンパクフードより、嫌いな香りの高タンパクフードを食べる」という猫の特性を知ると、腎不全が進行して食欲不振になった時にロイカナを食べてもらうのは難しい気が先日ブログに書いた昆虫ドッグフード(腎不全の猫にも良さげなタンパク質やリンの含有量)なども含めて、今からフードのバリエーションを増やし、ワサビにちょこちょこと食べ慣れてもらおうかと思います。『昆虫ペットフードと殺生/不殺生』ただ今、ワサビとココちゃんのドライフードを変更、またはローテに新しいものを追加するか検討中常に頂きたい女子のココちゃんココちゃんには、ダイエットと気管虚脱を改…ameblo.jpまた、「旨味」がありつつ、腎臓に優しいアミノ酸を含むトッピングなども、少しずつ探しておこうかととはいえ、猫の特性を考えると、腎不全以外でも本格的な食欲不振になった時に食性に合わない食べ物を食べさせるのは相当難しい気がするので、特にタンパク質を抑えないといけない病気の予防と早期発見、悪化を遅らせることが何より重要ですねココちゃんも今のところ元気で食欲不振とは無縁ですが、シニアなので、ワサビ向けと合わせて色々と研究しておこうと思います今度こそ、ワサビとココちゃんはヨボヨボになるまで長生きしてくれますように