さり「わたし、ちょっと、気がついたことがあります〜」
ひろじ「何?」
さり「裏話シリーズって、ほかのはひろじさんが1人でつぶやいてる構成になっているのに、この回は、わたしや科探隊のみんなで話してますよね〜」
ひろじ「いやあ、それはあまり考えなかったんだけど・・・前の構成を忘れていたっていうか・・・」
さり「あー、それ、いっちゃいけないやつですます〜」
さり「ミオくん、約束守ってくれたんですね!」
さり「【まさつはいたるところにある】ってセリフがかっこいい、とっぴさん」
とっぴ「えへへ、やっぱ、かっこよかった?」
さり「本でぶらさがっているの、どうやったんですか?」
ろだん「あれは、読み終わったマンガの週刊誌2冊を、1ページずつ重ね合わせたんだ」
さり「すっごく根気がいりますね」
ろだん「まあ、とっぴにはできないな」
とっぴ「ぼくがやったのは、こうなっちゃった・・・」
ろだん「ふちのページから重ねる方がかんたんに見えるけど、だんだん上の方がふくらんできちゃうからな。まんなかのページから重ねはじめないとダメなんだ。ほら、こんなふうに」
さり「へえ! ろだんさんって、実験の匠(たくみ)って感じですね」
ろだん「それほどでもないけどな」
さり「ひもはどうやって通すんですか」
ろだん「電動ドリルで穴を開ける。これは、ドリル使いなれてないとむつかしいかもな。さりちゃんがやるときは、穴を開けるのだけ、大人にやってもらうといい。もし作ってみたいなら、うちの部室に遊びに来たときに、おれがやってやるよ」
さり「うわあ! 行く行く行きます! ほかの子もいっしょに!」
ろだん「こんな感じな。ロープは人間がぶら下がれるくらいじょうぶなのがいい。ホームセンターに行けば手に入る」
さり「これ、どのくらいぶら下がれるんですか?」
ろだん「前にやったときは、子どもが何人かぶら下がれたな。まあ、作って、じっさいに試した方が早い。ただし、落ちたらあぶないから、あまり高い鉄棒は使うなよ」
とっぴ「こんな感じに、ひざ曲げてぶら下がるくらいが安全だよ」
さり「うわあ、おもしろそう! ぜったいに作りますです! まさつの実験って、ほかにもありますか?」
ひろじ「磁石で冷蔵庫なんかにくっつけて使うフック、知ってる?」
さり「あ、うちでも使ってますです」
ひろじ「あれ、磁力でくっついてると思う?」
とっぴ「そりゃ、そうだよ!」
ひろじ「磁石のところに、サラダ油をたらして・・・冷蔵庫につけてみると・・・」
さり「あーっ、するする下がってきます!」
ろだん「じゃあ、磁石がくっついていたの、磁力というより、まさつだったんだな」
ミオ「磁力で、磁石と冷蔵庫が押しあう垂直抗力Nを作っているんだけど、まさつ力の最大値FはF=μNで、Nだけじゃなく、まさつ係数μでも決まるからね。油をぬってμを減らしたから、まさつ力が弱くなって、支えられなくなったのさ」
ファインマン「それと同じことが、油をわざわざぬらなくても、ふつうに起きているのが、まさつだよ」
あかね「え? どういうことですか」
ファインマン「まあ、ふつうのまさつ実験をしてみようか。この木のブロックを、木の板の上に置いて、バネで引っぱってみよう。バネをのばしていくと・・・」
さり「あっ、うごいた!」
ファインマン「このバネのノビが引っぱった力をあらわしている。じゃあ、今度は、板の別の場所に置いて、同じ実験をしてみよう・・・」
さり「あーっ! 今度は、バネのノビがさっきより小さいです!」
ファインマン「板の状態が、場所によってちがうからね。木と木ならまさつ係数μの値はこれこれなんていう数値が、いかに当てにならないかわかるだろ?」
ろだん「うん、そうなんだ。おれは、まさつ係数を測定するときは、板のどこに置くか決めて、やるようにしてる。そうしないと、毎回、測定値が変わるからな」
ファインマン「なんだね」
むんく「【まさつのひみつ】では、まさつマシンでレベルを上げていくと、道路にザバッと入っちゃうけど・・・あれは道路が液体化したということで・・・」
ミオ「そうだよ。まさつマシンで、道路の分子間力を弱めたんだ。だから、原子のつながりが弱くなって、固体が液体になった」
むんく「そうすると、バイクも液体化したのかな・・・」
ミオ「そうなるけど、ダークミオが途中で気づいて、マシンのレベルをもどしたんだよ。だから、ダークミオもバイクも液体化せずにすんだ」
ファインマン「あれは、危険なカケだったね。もし、あのまさつマシンでもっとレベルを上げていたら、分子間力がもっと弱くなったんだろ?」
ミオ「うん。原子のつながりが無くなってしまうから、気体みたいになってしまうし、さらにレベルを上げると、分子間力の原因である電気力が弱くなってしまうので、その場合は、原子核と電子の結びつきがなくなって、原子のままでいられなくなる」
とっぴ「ひえ〜〜!」
さり「ええと、どうなるんですか?」
あかね「・・・こんな感じかしら。チリになって消えちゃうって・・・」
さり「まさつって、つきつめるとコワイです」
あかね「そうね。まさつのもとは電気の力だから・・・」
ファインマン「われわれの身の回りにある現象は、ほとんどが電気現象だからね。それに、電気と磁気は同じ力の裏表だから、電気が消えれば磁気も消えるしね」
ろだん「残るのは・・・重力か」
むんく「あと、つよい力とよわい力」
さり「なんですか、それ?」
むんく「原子力・・・」
ファインマン「今回は、その話は脱線しすぎてしまうから、やめておいたら? また、そういう話題のときは、ぼくを読んでくれてもいいからさ」
さり「あー、呼びますです。ぜひぜひ!」
あかね「まさつを弱める話は、このくらいでとどめておくのがいいかしら・・・」
ミオ「じゃあ、またね〜」
さり「きっと、きっとですよ!」
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