藤井作品共通に言えるけども、まさに今風
のビジュアルを携えつつも、編集技法にも
長けており、この若さで見せ方を知っています。
ストーリー自体は良くある冤罪物を
膨らませ、かなりサスペンスよりに
振っていますが、ネタバレ迄の持って
行き方が秀逸で観客を惹きつけます。
この構造の最大の立役者は無論、横浜流星。
冒頭、苛烈な方法で拘置所から脱走したかと
思えば、潜伏先の飯場で見せる異常な迄の
眼光の鋭さとギャップの有る優しさ。
この序盤で物語の基礎作りが完璧に終えられ、
後は流れに身を任せるのみになりました。
正体がバレて都内に潜伏もこの顔・・・
まったく同じ横浜流星に見えません。
最後の潜伏先もこの顔・・・
やはり人の表情こそが映画最大の見どころ。
根底は優しい人間であるという設定ですが
逃亡中に見せる表情は猛烈必死な顔が作品
に大きな段差を作り、かなり煙に巻かれます。
対比で、追う刑事役の山田孝之はストイック、
表情もほぼ変わらず内面の変化は深く隠します。
深いギャップ作りが全体的に功を奏し、
絶好調のころのシャラマン作品の如く
おまじないの様に塗した優しが強調され
作品のトーン作りに大きく貢献しています。
この時代、見せ方ですねぇ、、、
ストーリーにアッと驚く様な物は既に
期待出来ないので、如何に2時間興味
を持たせられるか?ビジュアル含めて
新しい世代の挑戦が続きます。