イメージ 1

 4つの章から構成されていて、第4章がタイトルと同じ章名になっている。石平さんは1988年に来日して以来、殆ど日本生活なのだろう。中国出身者だからこそ語り得るような情報がない。この本に関しては、日本人の評論家と同じことを言っているだけである。有本さんは、チベットやウイグルの民族問題をメインに中国を取材している方らしい。
 中国文化・社会に関する復習のような読書記録になってしまった。2010年9月初版。

 

 

【国際人になるうえで困ったこと】
有本  実際に仕事についてほんとうに世界中に行くようになったとき、言葉ができるとか、異文化に動じないで対峙できるとかいうことは、大したことじゃないと分かりました。それはすぐにクリアできる。むしろ困ったのは、「日本人だったら日本のことをしゃべって」っていわれることなんです。(p.21)
    《参照》   『英語以前に身に付けたいこと』 坂東眞理子 (日文新書) 《前編》
              【国際社会で尊敬される日本人は・・・】
    《参照》   『榊原式スピード思考力』 榊原英資 (幻冬舎) 《後編》
              【外国人から期待されていること】
    《参照》   『英語は勉強するほどダメになる』 栄陽子 (扶桑社新書) 《後編》
              【日本人として、国際社会で活躍するために】

 

 

【中国社会の「隠れた収入」】
有本  「隠れた収入」があるから、中国人は公的統計以上に裕福なんです。(p.28)
 この「隠れた収入」の総額が何と9兆元超(約113兆円)でGDPの30%に相当する。しかも「隠れた収入」の多くが、地位や権力、独占権益を利用して得た「灰色収入」で、その8割以上を上位2割の富裕層が得ているという、日本人には想像もつかない構図です。
石   日本だったら税務署がうるさくいって取り立ててくる。しかし中国の場合は税務署が来ればどうするか。税務署にワイロ(笑)。
有本  ワイロ贈ってそれでおしまい。
石   ワイロの意識すらないんですよ。  (p.29)
    《参照》   『中国バブル経済はアメリカに勝つ』 副島隆彦 (ビジネス社) 《前編》
              【実収入は給料の3倍】

 

 

【日本人の言葉では定義できない中国】
有本  中国という国を、何でもかんでも日本人の言葉で定義しようなんて考えること自体、ほとんどナンセンスなんです。
石   ナンセンス、ナンセンス。
有本  普通、党といえば政党をイメージします。だけど、中国共産党は政党というよりも巨大な軍閥みたいなものだし、巨大な不動産屋集団というか、地上げ屋集団みたいなものですよ。(p.31)
 日本人が「地上げ屋集団」と聞けば「ヤクザ」をイメージするけれど、つまり「中国共産党」は、「政党」というより「ヤクザ」であると理解しておいた方が実態に合っているということ。

 

 

【仕草が違う】
有本  それで自分の子どもを小学校の途中からでも日本に留学させたいというんですよ。・・・中略・・・。女の子だから「日本美人」のようにしたいという。日本の女の子は、多少不美人でも中国人に比べたらたいがいきれいに見える。それは仕草が違うっていうんです。
石   そうそう、分かる。きれいさの意味が分かる。ボクも分かる。
有本  真剣にいってますね(笑)。
石   はい、日本の女性の話になると真剣になるんです。ただ、最近のあのコギャルたちは嫌ですね。電車のなかで平気で化粧したりしている。「お前たち日本人かよ。もう中国へ行け!」といいたい。
有本  そんな人たちもいるけど、全体的にはきれいさがあるというんですね。それを感じとることのできる感性を持つ中国人も、ずいぶんいるわけですよ。(p.50-51)
 中国の店舗内や市街地を歩いていると、仕事中なのに何かの種を噛みながらその殻を床に吐き捨てている女性とか、家の外でウンコ座りしながら歯を磨いている女性を見ることがある。日本人とすれば、インパクトが強すぎて決して忘れられない光景である。
 現地に行かなくても、日常生活を描いている映画を見るだけで、日本人女性と外国人女性の仕草の違いは分かるはずである。日本人には、実益より美意識を優先する生き方が根底にあるのだろう。
 下記リンクは、韓国人用に書いたものだけれど「仕草」という単語で思い出したからリンク。
    《参照》   日本と韓国 <文化に関する雑記>
              ● 食文化あれこれ ( 美味しさ優先の韓国 ・ 美しさも大切な日本 ) ●

 

 

【中国の一般庶民】
有本  中国では昼下がりの商店のヒマな時間帯に行っても、本を読んでいる人は皆無です。漢民族はあんなに頭のいい民族なのに、ヒマな時間があるから本でも読もうかという人がぜんぜんいない。・・・中略・・・。中国人はヒマがあったらかならず、カードとかサイコロとか勝負事をやっているわけ。それはそれでいいですよ。だけどほとんどそこにいる人全部がそうやっているのは、かなり異様な光景ですよ。・・・中略・・・。新聞読んでいる人さえあまりいないです。まあ、新聞ぐらいは読むかもしれない。だけど、今日の生活には役立たないけど、本を読んで何かの教養を持とうという習慣が、中国人のなかには本当にないように見える。・・・中略・・・。
石  それも共産党がやった愚民化政策の結果。もうひとつは中国社会は昔からそうだったんですよ。教養というのは一部のエリートの「読書人」たちの仕事であって、一般の庶民にとっては教養という概念がないんです。(p.58-59)
 自分の足で中国国内を歩いたことがある人は、有本さんと同じように思っているはず。南京駅には、それぞれの長い列車ごと対応した広い待合室が幾つもあるのだけれど、そこにワンサカいる人々を見て回っても、活字を読んでいる人はほとんどいない(!)という事実に、チャンちゃんはえらく衝撃を受けたものである。
 そして晴れた日の街中の路地では、男たちが大きな牌の麻雀や将棋をしているのである。公園は、そのような娯楽場所として活用されていることもあった。

 

 

【中国の職業人】
有本  名刺をもらうと、オックスフォードで学位を取ったなどと書いてある。そんなことを名刺に書くこと、それがまず日本人にとっては信じられないけれど、彼らは、自分のビジネスとか自分の立身出世に関係のある知識以外の教養にほとんど興味がない感じがあるんですよ。別に日本人がみんな教養人だというわけじゃないんですよ。でも彼らには、純粋な知的好奇心というものがあんまりないような気がするんです。
石   ないない。たとえば香港でもそうです。香港人と接触すると分かるでしょう?
有本  分かる、分かる。
石   形而上的(形式を離れたもの。抽象的なもの)なことを誰も感じない。エリートから一般庶民も、カネを儲けて、ご飯をいっぱい食べて、セックスをいっぱいして、それで人生が完結です。だいたいがこの世界です。(p.60-61)
 言えてる。
 台湾人は中国人に比べたら遥かに民度は高いけれど、漢民族のDNAを有することにおいて、避けようもなく同じような点を見いだすことができる。
    《参照》   『台湾網路』 渡邉ゆきこ (ボーダインク)
              【書籍から見る台湾文化】

 中国人の道教について書かれているけれど、その内容は下記リンクで代用。
    《参照》   『台湾人のまっかなホント』 宮本孝・蔡易達 (マクミラン・ランゲージハウス)
              【台湾人の宗教観】

 また、漢詩についても書かれているけれど、これも下記リンクで代用。
    《参照》   『中国人民に告ぐ -痛憤の母国批判-』 金文学 (祥伝社)
              【漢詩は中国最高の文化?】

 

 

【先進国の恩恵にただ乗りする中国人】
有本  日本は相続税の制度があるじゃないですか。子どもたちにはそんなに残せない。だからまだ救われている部分がある。ところがオーストラリアなんかはそういう法律がないから、残し放題なわけです。
 しかもオーストラリアという国は、相当長期間、失業保険がもらえるらしい。そうすると、行ってちょっと働いて、失業しましたといって失業申告さえしていれば、お金をもらえるみたいなことが、中国人のあいだでウワサになっているんですよ。(p.125)
 いつ崩壊するやも知れぬ中国から資産と共に逃げ出そうとしている中国人は、中国共産党幹部を主体に凄い数になっているけれど、中国からの海外移住者たちは、オーストラリアの例に見られるように、移住先でもチャッカリ好いとこ取りをしているらしい。全く感心しない。
    《参照》   『「中国人」になった私』 松木トモ (PHP) 《後編》
              【会話の始まりは「いくら?」】

 

 

【中国は、いずれ崩壊する?】
石   中国は政治的崩壊、経済的崩壊を語る前に、社会そのもの・・・・。
有本  そう、人間性の崩壊からはじまる。私たちの予想がつかなかった所から、中国の体制が崩壊する可能性というのは、かなり高いんじゃないかと思う。(p.82-83)
 中国人社会には、永続的発展を可能にする因子がないだろう。
 畢竟するに、拝金によって登り、自壊によって降る、という盛衰を繰り返すだけである。
    《参照》   『最高指導者の条件』 李登輝 (PHP)
              【持続の帝国:中国】
石   何か中国経済の崩壊をキッカケにして、社会システムのあらゆるものが崩れてしまうような感じがします。
有本  そうそう、私もまったく想像がつかないんです。だから言葉がまとまらないんですが、(p.185-186)

 

 

【世界中で襲われている中国人】
有本  中国人はアフリカ人を取るに足らない連中なんだと見下しているかもしれない。でもアフリカの人たちは、もともとそんなにおとなしい民族ではないですからね。そういう意味で、彼らはどのくらいその影響を深刻に考えているかが問題です。
石   中国人を襲って殺人事件が起こる。
有本  ええ、起きていますね。現実に中国人は世界中で襲われたり、殺されたりしている。その数が年間3万件ともいわれている。(p.133)
 報復としてコリアン・タウンが略奪にあったアメリカの事例をはじめとして、韓国人の酷さも世界中に知れ渡っているけれど、中国人の場合はその比ではないらしい。
    《参照》   『イスラムマネーの奔流』 北村陽慈郎 (講談社) 《後編》
              【アラブ諸国の中・韓と日本に対する見方の違い】

 ところが、
石   中国人は永遠に反省しない民族なんです(笑)。地元がみんなキレたとしても「自分たちが悪い」とは誰も思わない。オレたちは何もしていないのにひどい目に遭った、というわけで、ますます国民的に凶暴なナショナリズムになる。これがこれからの地球上での大問題になる。そこが大変なことですね。 (p.134)
    《参照》   『崩壊する中国 逃げ遅れる日本』 宮崎正弘 (KKベストセラーズ)
              【南米】

 こういった問題は、インターネット動画の活用によって世界中の人々が知るようになり、中国は国家として世界中から制裁を受けることで抑止される可能性はあるだろう。
 かつて、韓国サッカーチームがワールドカップのイタリア戦で、審判にカネを握らせて スサマジイ暴力試合を行った動画 がYouTubeにアップロードされているけれど、これによってその審判はサッカー協会から永久追放され、韓国チームは世界中どこに行ってもブーイングを浴びる事態になっている。
 中国に関するアンモラルな動画は、いまやテンコモリである。

 

 

【国防動員法】
有本  最近、中国は「国防動員法」という法律を作ったでしょう? 国家総動員法じゃあるまいしみたいな。
石   あれは端的にいえば、向こうが有事と宣言した場合・・・。
有本  あるゆるものを動員できるわけでしょう。
石   外資企業まで動員する対象になる。
有本  それは明言されていないけれども、結局、そういうことですよね。(p.192)
石   日本がこれから直面していくいくつかのリスク。まず進出企業はこれから完全に中華鍋に入れられる。
有本  人質にとられる。
石   人質というよりも中華鍋に入れられるカモ。中国という大きな中華鍋にカモたちが・・・。
有本  放り込まれちゃう。(p.193)
 既に進出済みの日系企業は、このようなことは百も承知で対策を立てていることだろう。
 リーマンショック後の国家連鎖倒産は、世界各国がバランスシートを拡大することで、表向き回避されているけれど、世界の経済状況は、落ち着いているどころかむしろ悪化の一途を辿っている。それが紛れもない事実である。
 北京オリンピックの開催日に、グルジアで戦火が上がっていたように、今から2週間先の2月7日、ソチ・オリンピック開催日にまた世界を混乱させるための仕掛けが動き出すのだろう。サラエボの確執を引きずっているイスラム勢力はソチ・オリンピックを破壊するという声明を出しているのだし、この日にアメリカ政府によって貨幣追加供給の遮断が宣言される可能性もある。そうであるなら、中国経済は既にギリギリ状態だから、マイナス側へ連動することになるのかもしれない。
 2008年のグルジアの経緯については、
   《参照》   『2009年断末魔の資本主義』 ラビ・バトラ あ・うん
            【ロシア】


<了>

 

  石平・著の読書記録

     『「中国の終わり」のはじまり』

     『バブル崩壊で死ぬか、インフレで死ぬか』

     『中国経済がダメになる理由』

     『帰化日本人』