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 1997年から2000年にかけて琉球新聞に掲載されたコラムの集合体。10年も前の古書だから、情報機器関連の記事は完全に過去の物だけれど、それ以外の文化的なことに関する記事から “台湾らしさ” をうかがうことはできる。
 網路とは、ネットワークのこと。

 

 

【生辰八字】
 「生辰八字」 とは、生年月日と誕生した時間をそれぞれ2文字ずつの干支の組み合わせで表わした八文字のことだ。 ・・・(中略)・・・ それ自体がその人の運命を象徴するという見方から、人を呪い殺す時にも、相手の 「生辰八字」 は欠かせない。
 最近まで、そういう話題をメディアで正面から取り上げることはタブーだった。が、93年11月ケーブルTVが解禁され、オカルト番組も登場。先日一人娘を誘拐犯に惨殺された白冰冰は、人気番組 「接触第6感」 の名司会者としても知られていた。 97.5.19 (p.18)
 白冰冰は、「巨人の星」 の原作者であった梶原一騎の奥さんだった人らしい。中国的社会おいて、お金持ちは身代金目当てに家族が悲惨な目に会う。これが普通である。
 ところで、「生辰八字」 は、四柱推命で使われる用語なのだろう。このような占い系列の記事がこの本の中にはいくつも掲載されている。占いが盛んと言うだけなら日本と同じであるけれど、台湾のそこらじゅうにある廟には、いつだって祈願する人々が立てる線香の煙が絶えない。日本のように新年だけ参拝者で混雑するというような状況ではない。

 

 

【書籍から見る台湾文化】
 また、台湾や中国大陸の書店には、いわゆるオカルト系の書籍が結構多い。日本の比ではない。それでいて日本人著者の書籍で目につくのは、大前研一さん や 勝間和代さん などのマッキンゼー頭の著作なのである。つまり台湾においては、現実の豊かさ(利益)を求めて占いと合理性が同居しているのである。日本人のような利と関わりない奥深い精神性を求める心があるなら、もっと多様な日本人の著作が翻訳されているはずだけれど、それはない。

 

 

【用語あれこれ】
「女強人」 キャリアウーマンのこと。 (p.19)
「史特龍」 シートーロン。 『ランボー』 のシルベスター・スタローンのこと。 (p.44) 

「牛郎」 ニォウラン。カウボーイのことだけれど、 『真夜中のカーボーイ』 という映画のストーリーから、台湾では 「売春夫」 のことを意味する (p.56)
 強烈に可笑しい。
「大哥大」 ダーゴダー。携帯電話のこと。本来は広東語で 「アニキ」 という意味。(p.85) 
 ヤーさんみたいな兄貴が、デカイ声で自慢げに使いだしたということらしい。

 

 

【台湾とノーベル賞】
 この50年でノーベル賞を受賞した中国人(華僑を含む)は5人。 ・・・(中略)・・・ 。が、台湾出身者で、しかも台湾で大学まで出た受賞者となると、 ・・・(中略)・・・ 李遠哲氏だけだ。
 李氏は1936年、 ・・・(中略)・・・ 台湾大学物理学部を卒業後、同大学の修士課程を修了。渡米して、カリフォルニア大学バークレイ校で博士号を取得した。つまり受賞者のすべてが、その最終学歴を海外で終えている。
 李氏は現在、台湾の教育改革に着手している。夢はやはり、台湾生まれで台湾育ちのノーベル賞受賞者を育てることだろう。97.11.3 (p.37)
 ダイオードの考案でノーベル賞を受賞した江崎玲於奈さんは、アメリカの研究所に在籍中に受賞したけれど、受賞対象となった研究は、渡米する以前の日本にいたときになされていたものだった。日本人受賞者のほとんどは、日本での研究成果によっている。
 下記の読書記録には、中国語を使う民族からは高度な研究者は出ないだろうと書いているけれど、DNAが劣っているというような差別的な内容ではないので、中国や台湾のみなさんは誤解したり怒たりしないでくださいね。
   《参照》   『驕れる中国 悪夢の履歴書』 黄文雄 (福昌堂) 《後編》

              【道理が通じない中国人を生む中国語】

 ノーベル賞の受賞対象になるかどうか分からないけれど、雅虎(yahoo)を創設した二人のスタンフォード大学生のうち一人は、台湾出身の楊致遠氏である。シリコンバレーには、台湾出身の天才たちが大勢集っている。
   《参照》   『さらばアメリカ』 大前研一 (小学館) 《前編》

              【IT企業の役割】

 

 

【卵】
 中国語で卵のことを 「蛋」 と言うが、 ・・・(中略)・・・ 実は 「蛋」 は、睾丸の隠語だ。北京の料理屋が、上得意である宦官たちのご機嫌をそこねてはいけないと、知恵をしぼったとの言い伝えがある。諸般の事情で去勢した彼らに、やはり 「蛋」 はタブーだったのだろう。97.12.8 (p.42)
 宦官の去勢方法って、パイプカットではなくて、タマタマをとっちゃう方法なのだろうか。そう言う具体的なことが書かれている文献を読んだことはないけれど、そうでなければ隠語にならないだろう。

 

 

【赤い下着】
 結婚でも正月でも、おめでたい事に欠かせないのが深紅のアイテム。特にこの時期、深紅の下着の需要は極端に高くなる。 ・・・(中略)・・・ 。
 恋人と別れる時、赤い下着をつけていれば、次にはもっといい男性と出会える。新陳代謝が促進されて、痩せる。株で大儲けができるというウワサまである。
 着けているのは女性ばかりではない。ディオールは今年、シンクのブリーフを発売。好評を博している。98.1.5 (p.46)
 深紅のブリーフなんかはいたら、チャンちゃんなんかは熱くってオチンチンが腐っちゃうんじゃないだろうかと思うけれど、こういうとんでもない色の下着は、最近、日本でも売られている。おばあちゃんの原宿と言われる、巣鴨の地蔵通りの真ん中あたりにあるマルジという衣料品店で5年くらい前に、真っ赤な下着専用のコーナーがあったのを見たことがある。

 

 

【死刑執行】
 台湾では去年1年間で、30件以上の死刑が執行された。 ・・・(中略)・・・ 。
 台湾ではまだ、死刑廃止の声はほとんど聞かれない。近年、凶悪犯罪が増えていること。99.2.1 (p.94)
 台湾の住宅の窓には防犯のために鉄格子がついている。だからちょっと古いマンションなどは薄汚れた鳥籠みたいであまり景観が良くない。治安が悪いと警官が忙しくて景観が損なわれる。

 

 

【貧乏旅行の裏ワザ】
 「バックパッカー」 たちに、台湾の宿は評判が悪い。 ・・・(中略)・・・ 1泊千円以下で泊まれる安宿が少ないからだ。 ・・・(中略)・・・ 。そこで一つ提案、廟の宿坊 「香客大楼(シアンコーダーロウ)」 を泊まり歩くのは、いかがだろう。
 「香客大楼」 とは、仏教や道教の寺院が、参拝客のために用意している宿泊施設で、だれでも泊まれる。しかも料金は一部の観光地にあるホテル級のものを除き、ほとんどが 「気持ち」 程度でいい。1泊、2,3百元(千円前後)も置いてくれば十分だ。
 この施設のある廟は、主に西海岸の沿海地帯に集中しており、 ・・・(中略)・・・ 有名な廟ならほぼすべてにある。4,5人で予約すれば、ちょっと珍しい中華の精進料理もコースで作ってくれる。99.2.22 (p.96)
 台湾版お遍路のつもりで、廟巡りの旅をしたい人には打ってつけだろう。

 

 

【菲傭(フェイヨン)】
 フィリピン人のメードのこと。
 主婦は自ら家事をするものだ、という考え方がないため、昔から中流以上の家庭に使用人がいるのは珍しくなかった。
 「菲傭」 が好まれているのは、給料が安いためだ。法律では15840元(約52600円)以上の月給を保証しているが、部屋代や食費を差し引けば、その半分でいい。おまけに 「菲傭」 は、教育レベルが比較的高く、中華料理もうまい。ついでに子供に英語を教えてもらおうというもくろみもある。99.11.22 (p.130)
 こんなメイドさんがいると、依頼心の強い子供ができてしまうだろうけれど、現在の日本なんて、メイドさんがいなくたってマザコンだらけである。

 

 

【タクシー狂想曲】
 夜間やむをえず、女性を一人でタクシーに乗せる時は、車両番号を書き留め、無事の帰宅を確認する。これが紳士のつとめだとされている。「タクシーに乗るのが恐い」 とアンケートに答えた女性は、約9割。深夜のタクシー乗車は、まるでロシアンルーレットだ。
  ・・・(中略)・・・ 台北市警では、パトカーによる深夜の送迎サービスを始めている。00.5.15 (p.152)
 狂想曲だとかロシアンルーレットだとかの用語に笑ってしまうけれど、乗る方は笑いごとじゃあないだろう。10年過ぎた現在でも、この状況は変わっていないのだろうか?

 

 

【カラオケ】
 「卡垃OK」)(カラオケ)なんて言い方は、もうダサい。今じゃ 「KTV」 だ。00.9.4 (p.165)
 へぇ~~。じゃぁ日本は、発祥国でありながらダサいんだぁ。

 

 

<了>