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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』を観ました。

 

宇宙刑事ギャバンはパートナーのシェリーと共に、マッドギャランによる密造武器の取引現場に乗り込む。ギャバンとマッドギャランとの戦闘中、シェリーは殺し屋クローネンにより重傷を負わされた挙げ句に消息を絶った。

一方、地球署のデカレンジャーは、銀河系の星々で人々が血を吸われてミイラ化する事件を追っていた。採取された血液は大量殲滅兵器に使われ、その黒幕はマッドギャランである事が判明した。

それぞれが追っていた事件はリンクし、マッドギャラン打倒のためにギャバンとデカレンジャーは手を組む……といったお話。

 

スーパー戦隊シリーズは直近の2戦隊が共闘するVSシリーズが定着していますが、異なるシリーズ、しかも仮面ライダーシリーズではなく、映画やVシネマで地味に展開していた宇宙刑事シリーズとのコラボレーション企画である点は、いい歳こいたファンは見逃せないでしょう。

しかもフタを開けてみれば、タイトル通りスペース・スクワッドが結成される話、つまり全てのスーパー戦隊と宇宙刑事を含むメタルヒーロー(と便宜的に呼びます)の登場を示唆するんだから、子供に付き合って渋々とスーパー戦隊を見ているようなオジサンの心拍数も多少は上がるはずです。

逆に、現役のちびっ子にはポカーンな話でしょうが(笑)。

 

ふと調べると、2代目ギャバンが誕生した『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が公開されたのは2012年。

2代目ギャバン襲名から10周年が経過してるのに何もないんだから、もう飽きちゃったんだろうな。

それはさておき、本作の座長、かつスペース・スクワッドの中心人物となるのはギャバン=十文字撃。まぁ、いくつかのスーパー戦隊とも顔馴染みですから(笑)、スカウト役にももってこいの人物です。

これは『~THE MOVIE』の頃から言っていますが、俺ッチは撃を演じる石垣佑磨さんのキャスティングに関しては超ウェルカムです。

この手のジャンルの作品には、オリジナル至上主義というか超保守派のファンが一定数存在しているし、初代ギャバン=一条寺烈を演じていた大場健二さんを崇拝しているのも分かります。

それ故、大場さんの姿を石垣さんに投影したい気持ちも分からなくはないけど、平成ギャバンは昭和ギャバンのリメイクではなく続編です。2代目という別人なんだから、人格が違っていても当然です。

その辺を理解している人は、とっくに石垣ギャバンを支持していると思います。

 

撃=石垣ギャバンの魅力は、暑くて動ける点にあります。

“熱い”を通り越して“暑い”んですよ(笑)。“クサい”という言い回しもありますが、ヒーロー作品の熱血漢はあのくらいストレートに感情表現した方がサマになるんです。

「重い…めちゃくちゃ重い!」というセリフも一見すればギャグっぽく見えますが、こういう所ですよね。撃というキャラを表す好きなシーンです。

そして回を増すごとに冴えるアクション、特に蹴り技は相変わらずキレがありますね。わざわざ言っちゃう(笑)かかと落としや、ダッシュからの飛び膝蹴りとか、撃を象徴するアクションになっているのも良いですね。

聖衣を外したドラゴン紫龍よろしく、撃の本番はTシャツになってから(笑)!

 

…と、ギャバンの話ばかりになっているので、デカレンジャーの話もしないと。

『~10YEARS AFTER』からの、さらなる続編ですから、地球署の面々も10歳以上は老けました。

“老けた”という言い回しは適切ではありませんが、テレビシリーズの頃はハタチそこそこの若造でしたから、そこから比べれば老けた→歳を重ねた事によりベテランとしての貫禄が身に付いたという事でもあります。

でもまぁ、あの制服は20代前半までしか着れないよな…(笑)。

 

監督は坂本浩一さんという時点で、安心&安定以上の作品でファンサービスも多め。

近頃は大きな場所での発言(や指摘)が多くなってしまったせいか、女性のセクシーショットが激減してしまったのは遺憾の極みです。

“セクハラ”なんて言葉を安っぽく、冷やかしの一環として使う連中が増えた事が背景にあるのは言うまでもありませんが、そういう連中は、それと同等に男性をカッコ良く見せている事に気付いていません。

“男はカッコ良く女はセクシーに”というのが浩一監督の芸風であると同時に、これこそエンターテインメントの基本なんじゃないかと、俺ッチは考えます。

言い換えれば、変身前を演じる俳優を多めに映している事でもあるんですし、俳優の魅力をガッツリ見せている証左でもあるんだけどな。

  

脚本は、今やスーパー戦隊の生き字引的なポジションにあるような荒川稔久氏。本作での登板は、スーパー戦隊どころか東映ヒーローのそれに昇格したかのようです。

個人的に、この人は細かいディテールにばかり注力して、ミーハーなファンに媚びているような作風が好きじゃありません。“痛さは強さ”とか言わせるんじゃなよ、線引きがメンド臭くなるから(笑)。

困った時の主題歌(の歌詞)頼りのセリフ群も相変わらずで、ま~寒い寒い…。

 

特に終盤、ラーズが身動きの取れないシェリーを痛め付けるシーンは、まぁこの手の作品にはありがちなものとは言え、これが度を越していて胸クソ悪くなったくらい。個人的にも珍しいケースです。

けっこう不快度数の高いシーンなので、お気を付けて…。

 

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Blu-ray版は廉価版が出ていたようですね。もちろん特典ディスクはないけど。

『ガールズ・イン・トラブル』との2枚組でこの値段は、昨今の東映ビデオにしちゃ奇跡レベルに良心的な価格かも?

 

 

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観た、『スペース・スクワッド』

観た、『ガールズ・イン・トラブル』

観た、『宇宙戦隊キュウレンジャーVSスペース・スクワッド』

『ロシアより愛をこめて』を観ました。

 

ソ連の暗号解読機レクターを譲るという報せがMI6に届く。ソ連の暗号解読員ロマノヴァのイギリスへの亡命、その護衛としてボンドを名指しで挙げてくるという条件に胡散臭さを感じながら、ボンドは危険を承知で任務に就く。

イスタンブールへ飛んだボンドはロマノヴァと合流。ロマノヴァもまた、上司であるクレッブからの極秘命令として行動していた。ボンドはロマノヴァが盗み出したレクターと共に長距離列車でイスタンブールを後にする。

しかし、この一件はスペクターが仕組んだ罠で、イギリスとソ連の衝突を目論むだけでなく、かつての同志ドクター・ノオの敵討ちも兼ねたボンドへの復讐をもう一つの目的としていた。今はスペクターの構成員であるクレッブにより送り込まれた殺し屋グラントは、ボンドを追って列車に乗り込む……といったお話。

要約すると、亡命者を護衛するボンドが犯罪組織スペクターに狙われる話です。

 

OO7シリーズ第2作。

そういえば最近では見聞きしなくなりましたが、ひと昔前はOO7シリーズの最高傑作と言われていた作品です(昨今の風潮だとダニエル・クレイグさんの出演する作品群のどれかがそれに取って代わっているんだろうな…)。

その後のシリーズの伝統となるお約束事を詰め込んだ雛型となる作品と考えれば、前作より以上に”第1作っぽさ”がありますね。足りないのはせいぜいボンドカーくらい?

 

そしてボンドのキャラも確固たるものになってきました。

世界情勢を変えかねない重要な任務をこなしながら、性格はかなり軽薄というミスマッチさが面白い。どんな危機的状況でもジョークをかまして余裕のある素振りを見せる、カッコ良い男っていうのはこういう人なんですよ。

ショーン・コネリーさんのこなれてきた芝居も相まって、いよいよボンド像が固まったようにも見えますね。

 

今作におけるボンドを狙う殺し屋はグラント。

アバンタイトルでの活躍や、クレッブに見込まれるシーンを見る限りでは強靭な肉体を持つばかりの体力バカに見えなくもないですが、意外にも(?)思慮深いところがある策士です。

ボンドの隙を見つけた途端に襲い掛かるような真似はせず、あくまで正面から近付くのが潔い。

そんなボンドとグラントとの対決は、本作で評価されるシーンの一つ。かなり背丈のある男同士が、あんな狭んめ~コンパートメントで大格闘するんですが、しっかりハラハラ感もあって見入ってしまいます。秘密兵器に搭載されている機能もフル活用するしなぁ(笑)。

そんなグラントとの対決あたりから、終盤までアクションシーンが増えてきます。

一つの山場を終えても、まだ次があるのか!というくらいに派手なアクションが続くクライマックスは見応えがあります。

 

OO7はシリーズ作品にしてシリーズにあらずというか、大雑把な連続性は一つ二つはあるものの、基本的にはどんな順番で見ても1本の単作として十分楽しめるのが良い所。

シリーズ史上で見ても、今作は前作の出来事を引っ張っている点もあるのが珍しいです。

ドクター・ノオの名が出たり、カジノで知り合ったシルビア(←これは気付けなかった)が再登場したりね。特に後者、2作に渡って登場できるなんて、ある意味、ボンドに最も愛された女性じゃない?

 

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Blu-ray版は映像特典満載です。

何回か観ている作品は、たまには音声解説で見るのもいいですね。

『量産型ルカ ―プラモ部員の青き逆襲―』を観終えました。

 

同じ高校に通う高嶺瑠夏=タカルカと瀬戸流歌=セトルカはいつも一緒にいる事から、周りに“ルカルカ”と呼ばれる幼馴染み。

ある日、タカルカは友人に言われたひと言から、平凡すぎる毎日を送っている事を思い知らされ気落ちする。

そんな時、ルカルカがお菓子食べ放題という張り紙を辿っていくと、そこは廃部寸前のプラモ部の部室だった。顧問の蓬田=よもさんに乗せられるままプラモデルを作り始める二人は、その魅力に目覚め始め……といったお話。

要約すると、プラモにハマッた女子高生の学校生活を描いたお話です。

 

プラモ女子を描いた前シリーズ、『量産型リコ』の新章とも呼べる作品です。続編と言いたいけど続編にあらず。

今日び4期生?と思っていたものの、今ではもう賀喜遥香さん&筒井あやめさんの好演がしっかり刺さってます。

割とガサツな(笑)かっきーと、ポワ~ッとしているめんちゃんという、乃木坂46として抱かれているであろう二人のイメージに、役の方が近付いている感じ?

もちろん素ではないけど、それだけ自然体の芝居をしている証なのかもしれません。

 

今作は高校生の二人が主役という事で、学校を中心に話が展開します。

それどころか、舞台を学校だけに限定しているのがいいですね。

ルカルカの自室なんて一切出てこないし、制服以外の私服姿すらないしで、私生活を全く感じさせないのが新鮮です。

プラモにハマったとは言え、あくまで部活。家に持ち帰る事はないんだな…。

 

ところで、『~リコ』の時から存在していた矢島模型店は、どうやらこちらの世界にもあるようです。となれば、当然リコもいるんでしょう。

出た出た、昨今流行りの並行世界

まぁ、卒業してからも乃木坂の企画に顔を出してるあたり、こちらにも与田ちゃんが出演する可能性は感じるよね。

リコはリコでも全3シリーズのうち、どのリコとして登場するのかも気になりますが、そこまで演じ分けてはいないだろうし(笑)、そもそもリコではない役での出演を予測していましたが、さて…?

 

シリーズの伝統である、ご開帳&ギブバースも健在。

ここで思う事があって……本作でご開帳した箱の中のランナー群はビニールに包まれてないんだよね。

『~リコ』で開けるそれらは店の売り物だからランナーがビニールに包まれているのは当然だけど、こちらのプラモは全て誰かしらの所有物(部費として買ったものもあるんでしょう)。

作る事を目的としている人は、買ったらソッコーでビニールからランナーを取り出してパーツの確認をするものですから、よもさんがつぶさにチェックしていたんだろうと解釈。

単に撮影の効率上のものだったんじゃない?とも読めますが、タカルカが自分で買ってきたキットはちゃんとビニールに包まれているあたり、やっぱり密かにこだわっていたのかもですね。

別名、そんなの誰も気にしてねーよネタです(笑)。

 

これは『~リコ』の時からそうだったんだけど、作ったプラモには自分らしさとして必ず手を加えるのが良いんですよ。

多くの人はお店で見掛けた事がないであろうFigure-riseLABOシリーズまでも例外ではありませんからね。あんな保護指定動物のような存在であるキットに躊躇いなく手を加えられるのは、そこまでプラモ漬けではないからこそですね。

余談ながら、ああいう多色成型は完成品フィギュア等に使うのが適切で、プラモに使う技術ではないと思うんだ。

 

最終回でルカルカは高校を卒業したものの、プラモ部の部員がゼロになる事は回避したようです。

となると……もし量産型ルカシリーズとして新作が決まったなら、その時の主演は乃木坂46の5期生、6期生と続くんじゃないかなぁと。

それ故の4期生の起用だったんだと想像、かつ予告をしてみますが……さすがにもう次はないかな? いや、分からんぞ…?

 

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もちろんBlu-ray版も発売決定しました。

こういうのにはガンプラ付属の豪華版がないんだよなぁ(笑)。

 

そして、当ブログでしか言及していないであろう本編終了後の見逃し配信の告知ですが、二人ともずーっとカメラ目線を外さないのが好印象でした。

'23年版『~リコ』の時の与田ちゃんがヒドすぎたんだな。

 

そういえば、最終回目前にかっきー&めんちゃんによるプラモ組み立て生配信がありました。

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(4:20くらいから始まります)

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そこそこプラモに通じているかっきーと、今回の仕事で初めてプラモを体験しためんちゃんとの力量差が見て取れます。組み上げるスピードがダンチなんですよ。

これを見て思ったのは、たかだか対象年齢8歳以上のキットも、モチベーションが上がらなければハタチを過ぎた大人でも組み上げられないものなんだなと。撮影が終わった時点で、めんちゃんはもうニッパーを手にする事はないんじゃないかな(笑)。

ところで、2度切りした後、ポロポロ落ちて溜まったゲートのカスを1ヶ所にまとめるかっきー、ええ子や…!

 

 

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観終えた、『量産型リコ』

観終えた、『量産型リコ('23)』

観終えた、『量産型リコ('24)』

『映画 プリキュアオールスターズDX2 希望の光☆レインボージュエルを守れ!』を観ました。

 

シプレとコフレが指定した場所に向かったつぼみとえりか。

そこは海の上に浮かぶ、1000年に1度開くというレインボージュエルの力により作られた、人間と妖精が入り混じる遊園地フェアリーランド。

つぼみとえりかはシプレとコフレと無事に再会、ひょんな偶然から知り合ったラブたちと仲良くなり、共にフェアリーランドのアトラクションを楽しむ事に。

そこに現れた怪しげな4人がフェアリーランドを襲撃。つぼみとえりか、そしてラブたちもプリキュアに変身し、これを退却させる。先の4人は深海の闇ボトムの手下で、そこにはラブたちフレッシュプリキュアと戦ったノーザの姿もあった。

ラブたちだけではない、全てのプリキュアと合流したつぼみとえりかは、レインボージュエルの力で世界を暗闇にしようとするボトムの企みを阻止ようとするが……といったお話。

要約すると、ハートキャッチプリキュアまでの全プリキュアが一堂に会し、世界を守るために戦う話です。

 

シリーズの垣根を超えて一堂に会する、いわゆるクロスオーバー作品の第2弾。

公開当時の最新作『ハートキャッチプリキュア!』を始めとするプリキュアが全員集合し、その数は総勢17人。今に思えば、まだまだ少ないですね(笑)。

ちなみに、本作の時点でのハートキャッチ勢はまだ2人。いつきはまだ、ゆりさんはもう変身できない頃の話です。

 

プリキュアのみならず、サポート役の妖精まで総登場する上に、それら全てに個性を与えるくらいの出番(や台詞)を与えるんだから、脚本は大変だったでしょうね。

さらに、隙あらばセミレギュラーを数多く登場させるんだから、テレビシリーズを見ていた人に向けたファンサービスも行き届いています(この辺は大きなお友達を狙ってるはず)。

 

そんなボトムの手先となるのは、かつてプリキュアたちが倒した敵組織の幹部たち。いわゆる再生怪人ね。

さすがに悪のオールスターズというわけには行かないでしょうが、敵であっても顔馴染みの面々が再登場するのは熱いですね。こいつぁ、女児向け作品に留めておくには勿体ねーぞと(笑)。

とは言え、半分くらいは所属と名前を忘れてたんですが、『ふたりはプリキュア Splash Star』の敵組織ダークフォールの幹部は割と覚えてたよね。声優のアクが強すぎる芝居のせいか、あそこは強烈なキャラが多くて…。

 

そして、これはちょっと驚ける事なんですが、モブキャラを除けば今作の新規キャラって大ボスのボトムだけなんですよ。アニメバカが大嫌いな(笑)、話題作りのための有名人キャストも見当たりませんし。

ほぼテレビシリーズのレギュラーだけで映画を作れる好例です。

サブ的なレギュラーを含めた声優の数も尋常じゃない、“プリキュアオールスターズ”というより“『プリキュア』オールスターズ”と記すのが正確ですね。

 

これは『~DX』シリーズの弱点ですが、キャラが似てないというか可愛くないんですよね。

だからって原画がダメなのではなく、これは各プリキュアで異なる絵柄を画一化するための手段なんだろうと解釈。ハートキャッチ勢なんか頭身が違うもんね(笑)。

動画に関してはかなりレベルが高く、これこそがアニメーション本来の姿。

プリキュアの殺陣も凝っていて、アクション監督がいるのかと思わせるくらい。

キャラ以外にも、フェアリーランドが崩壊していく様を描く1カットは目を見張ります(しかも手描き!)。媒体はアニメでも、ハリウッドの大スペクタクル作品に匹敵するような真似をしているんですよ。

 

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配信もBlu-rayも、もうこの程度のものしか扱いはないみたいですね。廉価版でも出せばいいのに。

 

Blu-ray版の映像特典にあるエンディングのコンプリート版、工藤真由さん&池田彩さんによるプリキュアメドレー(フルコーラス!)に合わせ、プリキュアたちがステージでパフォーマンスを見せる映像は今の目で見ても見劣りはしません。一見どころか必見モノですよ。

 

 

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観た、『映画 プリキュアオールスターズDX』

観た、『映画 プリキュアオールスターズDX2』

『地獄の黙示録』を観ました。

特別完全版なので、196分=3時間16分という長丁場っ…!

 

ベトナムのサイゴン。

情報部より呼び出しを受けたウィラードは、軍を裏切った挙げ句に自分の王国を築いているというカーツ大佐の暗殺命令を受ける。

カンボジアに潜伏するカーツを目指し、ウィラードは4人の護衛と共に哨戒艇でヌン川を遡上する。

その道中で繰り広げられる様々な戦闘に巻き込まれながら、カーツに関する資料を読み耽るウィラードは、自分が殺す相手でありつつも彼の功績に畏敬の念を抱き始めていた。

やがて一行は目的地に到着、ついにカーツとの対面を果たすウィラードだったが……といったお話。

要約すると、ベトナム戦争下で、とある男を暗殺しに行く兵士の話です。

 

ベトナム戦争を題材にした戦争映画が見てみたいという思いで観始めたものの、観終えた頃にはモヤッとした気持ちに陥る人は少なくない、いや、そんな人ばっかだと思います。

前半の、クラシック音楽を流しながら小さな村を襲撃するシーンは本作を象徴するものですが、その後の戦闘シーンは徐々に規模が小さくなっていきます。人によっては、ここで停止ボタンを押しちゃうんだろうなぁ(笑)。

2回以上観れるくらいに寛大な人は、本作はウィラードの目を通した厭戦映画であり、ベトナム戦争は舞台背景でしかないと思い込め……るかな?

何にせよ、ドンパチを主な見どころとした一般的な戦争映画ではないという事だけは断言できます。

それだけを目当てに見ようとしている人には、1時間程度の中編作品だと触れ込んでおきましょう(笑)。

 

平和な世界に慣れず、生きるか死ぬかの緊張感を欲し、新たな任務に待ち侘びるウィラード。

そんなウィラードの一人称でお話は進み、全編を通して出ずっぱりなだけでなく、随所に入るモノローグがクールなんですよ。

とりあえず軍人として行動はしているけど、心底ではそれに疲れ始めている。冒頭での戦いに行きたいという欲が、戦争そのものへの疑念に変化してゆく様子も伝わってきます。

例えば『ブレードランナー』では主人公のモノローグが邪魔だという事で、これを全て排した『~最終版』なんてエディションも作られましたが、個人的には本作同様にモノローグがある方が好きです。

…だって、どちらも寡黙な人なんだもん、何を考えてるか分かりにくいじゃない(笑)?

余談ながら、『装甲騎兵ボトムズ』は、明らかにこの作風に影響を受けていますね。

 

そんなウィラードが殺しに行くカーツこそ本作をモヤッとさせる存在で、まぁ100人中100人が何を言ってるのか意味不明に感じる事でしょう(笑)。

本作を理解したければカーツが言っている事を理解せよと言う人もいるでしょうが、恐らくは作っている側としてもよく分かってないだろうし。

演じるマーロン・ブランドーさんのキャスティングも絶妙で、色んなゴシップ記事から察するに超俗的で気難しい人だという印象がなお、カーツという謎に満ちたキャラによくハマッています。

起用する側はずいぶん頭を抱えさせられたという逸話もよく聞きますがね。カーツの声がところどころで吹き替えなのは、その一環でもあるのかな…。

 

カーツとは逆に、下手すればウィラードよりも知名度がありそうなのがキルゴア中佐。

キルゴアが好きな人って『コマンド―』の吹替版で大ハシャぎしているタイプと見るけど、どうだろう(笑)?

キルゴアはベトナム戦争、もしくは本作の狂気を体現しているキャラだと言われていて(まぁ半分以上は換骨奪胎の意見なんだろう)、それを先入観として観たんですよ。

ベトナム人であっても敵味方の判別はできるし、部下を思いやるどころか目線を提げてフランクに接しもする。狂気どころか、むしろ理想の上官に思えるくらいの好人物に見えました。

ただ、戦場に身を置きすぎているせいか、ああいう戦闘が命のやり取りである事に鈍感になっているだけでなく、生活の一部と捉えている節が見え隠れします。

銃弾や爆弾が飛び交う中であっても、サーフィンという趣味の事を真っ先に考えられるのがその証左。

戦争に対する倫理感がマヒしているという意味においては狂気的、というより病んでいると言った方が正しいかもしれません。

 

今回は特別完全版を鑑賞したんですが、3時間越えは長すぎます。なるほど、これなら劇場公開時にカットされるのも当然と思えるシーンが多い。

得てしてシーンを追加した完全版とは、このシーンが後の展開に無理なく繋がるというケースがほとんどですが、本作の場合はほとんどそれがないので、結局は無駄なシーンでしかないんですよね。

もちろん登場キャラの個性を深掘りする要素にはなるんだけど、まぁウィラードの護衛役の4人は使い捨てに近しい存在ですし(笑)。

ヌン川沖で農園を営んでいるユベールらとの会食シーンも、あまり存在意義を見い出せませんでした。ユベールらが政治談議に熱くなるんですが、ウィラードは相槌を打ってばかりで自分の意見は何も言わないし(笑)。

フランスもベトナム戦争に一枚噛んでいたのは知らなかったくらいの不勉強ながら、ここはベトナム戦争に首を突っ込んだアメリカの言い訳や詭弁にも聞こえて無粋に感じたな。

 

ところで、本作の製作には数多の問題や難題があったのは、よく聞くゴシップです。

けど、“前半の戦闘シーンで金を使いすぎたから、後半では質素なシーンしか作れなかった”という説って聞いた事ありますか?

昔の友人が↑というネタを、本作が話題に挙がった際には必ずと言っていいほど、得意になって話していましたが、数十年も映画雑誌を読んでいても、そんな話は全く出てこないんですよ。

そんなネタを知っている方、いましたら一報願います。もちろんネタの出どころも付記した上でね。

 

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Blu-ray版は劇場公開版と特別完全版を収録してある程度で、映像特典は特にナシ。

”劇場公開版”と銘打っているけど、ラストカットが違う記憶がうっすらと…。

 

ちなみに、この商品は字幕が怪しいです。

怪しいと言っても翻訳に関してではなく、表記が胡散臭いんですよ。

フォントが明朝体ってのも軽く衝撃ですが、

 普通の字幕表示なら 

 こうして文節で区切るものですが

、この商品の場合、1行の最大文字数を超えると

 こんな風に 文節の途中で改行する

 ので かなりの違和感を抱きます

こういう妙な字幕って、だいたいユニバーサルの商品なんだよな。

日本のスタッフが発売前にこういうミスを指摘した上で修正させるってできないものなのかなぁ。

ちびちび観ている『ウルトラマンレオ』も半分を過ぎました。

 

序盤にあったスポ根の雰囲気がなくなってしまい、あの熱さというか、ゲンのひたむきさが薄れてしまっているのが惜しく感じます。まぁ、あんなハチャメチャ特訓を毎回やっていたら2クールで参っちゃうだろうけど(笑)。

下世話な邪推ながら、ダンのシゴきが厳しすぎる!という新聞への投稿でもあったんでしょうね、2クールに入ったあたりからダンの態度があからさまに柔和になります。

ダンがああまでゲンに厳しくしていたのは、言うまでもなく愛する地球を守るためであり、ゲンに希望を託していたからです。あの地獄の特訓は、それほどまでに地球外からの脅威を深刻視していた表れなのです。

これは今なお続く風潮ですが、この手の投稿って子供の脇で片手間に見る程度の親が茶々を入れているようなものなんだよな。子供は子供なりに楽しめているのを取り上げるんじゃねーよと。

これがなくなってしまってしまった事で、『~レオ』という作品が”いつものウルトラマン”として凡庸な作風になってしまったのは残念です。

 

光線技を使う頻度が高まり、レオの戦闘スタイルも少々変わってしまったのも残念ですね。

たまに傘とかヌンチャクとか妙な武器を使うけど(笑)、基本的に徒手空拳で決着を付けるのが魅力だったのに。

等身大の星人との戦いもよくありますが、この辺は東映ヒーローの影響を受けているようにも見えますね。

ただ、ジャンプ系のアクションは東映にはなかなか追い付けません

こういう見せ方とかが顕著で、この後の大股を広げてのだらしない着地(笑)まで映してしまうのはイカンですね。

ウルトラマンのアクションは地に足を着けたプロレスごっここそよく似合うのです。

 

MAC隊員の個性が皆無なのは、ハッキリとダメ出しをせざるを得ません。

せめてオープニングのキャスト表記で役名&俳優の名が出れば、もう少し分かりやすくなるんだろうけど、ダンとゲン以外の隊員の名前&顔が分かる人っているの?と思うくらい。いつの間にか隊員ナンバーも1と7しかないし(笑)。

ネタ切れの苦し紛れに怪奇シリーズだの民話シリーズだのやるくらいなら、隊員をフィーチャーした話でもやればよかったのになぁ。

重傷ところか殉職もザラで、MACほど隊員の入れ替わりが激しい防衛チームってないんじゃない? ダンがいつまでも隊長でいられるのが不思議ですよ(笑)。

 

ダンと言えば、#29『運命の再会!ダンとアンヌ』は印象的。

念動力を使う少年が母と呼んだ女性は、ウルトラ警備隊の仲間だったアンヌだった事に驚くダンは……というお話。

『ウルトラセブン』でアンヌを演じていた、ひし美ゆり子さんが出演しているだけで身を乗り出して見た人は少なくないんじゃないかな。

この人は本当にアンヌなのか?というのが最も気になるところでしょうが、個人的には似て非なる人、かつ宇宙人だったんじゃないかと。

多くのウルトラマンよろしく地球人の姿で暮らすにあたり、とある誰かをモデルにして地球人に成りすます、そのモデルこそが友里アンヌ。自分はアンヌではないと強調するのは身バレを警戒しているようにも見えるんですよね。ダンの名を呼ぶ事がないのも、ちょっとした裏付けになるかな?

まぁ、ジャリ番と蔑まれていた頃の作品ですから、そんな深い計算はしていないでしょうけど(笑)、後年になって観返すと、そんな解釈もできる一編です。

序盤のダンのキャラがブレてなければ、「言い訳をするな! アンヌをどこに連れ去ったんだ、答えろゲン!(クワッ)」とかやってたんだろうなぁ(笑)。

 

何だかんだで、それでも一編を飽きずに見れるのは昭和ウルトラマンが秘める力です。

陳腐ながらもお話はまぁまぁ文芸的だし、レオと怪獣の戦いに使われるセットが毎回違うだけでなくクオリティも高い。これだけを見どころにしても十分以上の価値があります。

まぁまぁ本格的にプラモを作るようになってから、ミニチュアの作り込みに目が行くようになってきたのでね。

 

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観てます、『ウルトラマンレオ』

観てます、『ウルトラマンレオ』~その2~

観終えた、『ウルトラマンレオ』

 

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』を観ました。

 

シンジが目覚めると、そこは戦艦内にある医療施設だった。

ミサトやリツコ、アスカら顔馴染みの面々との再会に喜ぶが、その誰もがシンジに対しよそよそしく、そして冷たい。

やがてシンジは、最強の使徒からレイを救い出してから現在まで14年の年月が過ぎていた事を知らされる。あの戦いの中、サードインパクトの発生により再び世界は壊滅状態に陥り、ゲンドウと袂を分かったミサトらはヴィレという組織を結成し、戦艦ヴンダーでネルフの壊滅を図ろうとしている。

サードインパクトを引き起こした当事者として拘束されるシンジは、生きていたレイの協力によりヴンダーを脱出、旧ネルフ本部に向かう。

そこで出会ったカヲルと親密になるシンジ。サードインパクトを引き起こした責任を感じるシンジは、世界を再生させるという槍を引き抜くため、カヲルと共にエヴァンゲリオン13号機に乗り込み……といったお話。

 

シリーズ第3作。

ここまで理解しやすいストーリーで通俗性もあり、立派にエンターテインメントができていた新劇場版ですが、今作でガラリと作風が変わり、一気に敷居が高くなりました。

オリジナル版=『新世紀エヴァンゲリオン』の新解釈版だった前2作に対し、今作からは完全新規のストーリーとして展開されます。

もし、あの場でサードインパクトが起きていたらという、いわゆる“たられば”的な展開、ちょっとしたマルチバースとでもいうべきでしょうかね?

川の上流のごとき勢いで流れる専門用語や難解な言葉の奔流は相変わらずで、オリジナル版を最終回まで観る事で得た予備知識が何の役にも立たないのもツラい。

たった1度の鑑賞で全てが腑に落ちた人って、この世にいるんでしょうか…?

 

今回の鑑賞で思ったのは、何がそんなに難しく感じるんだ?と聞かれれば、セリフの一語一句を理解しようとするからなんじゃないかと。

オリジナル版からそうでしたが、特に戦闘時における状況報告の台詞が多いのはエヴェンゲリオンシリーズの特徴であり醍醐味です。

が、そんな難しい台詞を話半分として聞き流す事で、ストレスが軽減される事に気付きました。

映画として、劇として見ている人の心に響かせたい台詞は、誰しもが直感的に分かるであろう言葉で紡がれるものですから、ロクに意味も分かんねー台詞なんか捨て置いていいんですよ。

 

それまでのネガティブキャラから一皮むけた前作の終盤では“男の戰い”を見せ、しっかりヒーローとして成長し(てくれ)たシンジ君……でしたが、やっぱりシンジ君はウジウジと悩み続けるのが運命であり、宿命です(笑)。

不可抗力だったとは言え、今作ではサードインパクトを引き起こした大罪人として冷ややかな目で見られるのがお辛い。言い換えれば、生き残った人類全てに敵視される存在だもんね…。

とは言え、ミサトとアスカに関しては心底よりシンジを憎めない描写があるのは僅かな救いです。リッちゃんはビミョーだけど(笑)。

 

サードインパクトが起きてから14年後の世界という事で、一部のキャラは出番が消え、出番があるキャラは歳を取った姿が見れるのは新鮮です。

中でも、オリジナル版では同じ意思を分かち合えなかったミサトとリツコが一緒にいるのは胸が熱くなりますね。ある意味、最強コンビですし(笑)。ムチャに見える作戦も、この二人が統率していれば安心感しかないだろう?

委員長=ヒカリに次ぐ純真キャラだったマヤがキャラ変して、男嫌いっぽくなってしまったのは何があったんだよと。

ヴィレの構成員として新レギュラーも多く参入しているし、その辺も含めて14年の空白期間に何があったかを描いて欲しいという声も聞こえますが、俺ッチはそんな無粋な真似はしないで欲しいと思う派です。曖昧な部分を自らの想像で補完するのも、映画の楽しみ方の一つですし。

 

今作になるとエヴァシリーズが濫造されているのが引っ掛かるだけでなく、もはやどんな素材でできているのかが分からなくなるほどの形態変化はチト節度がないですね。

前作ではビーストとかやってた2号機なんて、本当に犬だか狼みたいに変身しちゃうもんね。肉球らしきものもあるし(笑)。

 

素人視点で見ても、相当にこだわり抜いているのが想像できるビジュアルには圧倒されます。

特にメカに関しては近いものを見た事がなく、どんな感性の人がデザインしているんだろうという奇抜なものばかり。リアルとファンタジーの境があやふやなヴンダーのデザインなんて絶妙の極み。

オモチャ化を大前提としていない自由なデザインが目を楽しませてくれる反面、形状が読み取りにくく、画面の中でどんな芝居をしているのが分かりにくい瞬間が多いのが玉に瑕かな。

 

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Blu-ray版の映像特典に台本がありますが、これは便利ですね。分かんなかったり聞き取れなかった台詞は、これで補えるので助かります。

まぁ、日本語字幕もあるので、そっちで見る方が楽なのかもしんないけど…。

 

劇場公開時の同時上映作品でもある『巨神兵東京に現わる』も収録していますが、個人的には余興以外の何物でもありませんね。

巨神兵とは『風の谷のナウシカ』に登場したキャラなのは知ってるけど、未だ未見なので…(と言って驚かれる事がよくある)。

『ドクター・ノオ』を観ました。

 

妨害電波によるミサイル事故を調査していたストラングウェイズとの通信が途絶えた事から、MI6はOO7ことジェームズ・ボンドをジャマイカに派遣する。

同じく事件を調査していたCIAのライターと合流したボンドは、ストラングウェイズがクラブ・キーという小島から持ち帰った石が放射能を帯びている事に気付く。そこは現地人が恐れて寄りたがらない、とある中国人が所有する謎の島だった。

クラブ・キーに着いたボンドは貝殻を収集するハニーと出会うが、島の監視網に引っ掛かってしまう。

ボンドたちを捕らえたのは島の所有者であるドクター・ノオ。例の妨害電波はここから発せられたものであるだけでなく、それがドクター・ノオという一個人の意思ではない事を知ったボンドは……といったお話。

要約すると、妨害電波の発信源を調べるために行動するスパイの話です。

 

後にOO7シリーズとして長く続く、記念すべき第1作。

そしてスパイという職業が世に周知されるようになったのはOO7シリーズによるものだと思います。

ちなみに、“OO7”の読みは“ダブルオーセブン”ね。

シニア層であれば“ゼロゼロセブン”と呼んじゃうんでしょうが、日本での初公開時は『007は殺しの番号』というタイトルだったらしく、そこに起因するのかもしれませんね。

そんな世代からすれば、「“ドクター・ノオ”って何じゃい、“007は殺しの番号”じゃろ!」とでも言いたくなるのかな?

後年でいうところの、「“ジェダイの帰還”じゃねぇよ、“ジェダイの復讐”だろうが!」ってのと似たようなものです(笑)。

 

自分の行動一つが国家間の問題に発展する可能性を秘め、さらには世界危機にすら発展しかねない……本作を観れば、スパイがそれほどまでにハードな職業である事が伺えます。

そんな責任重大な任務を任されている割に、性格はかなり軽薄なのがボンドというキャラの魅力であり、OO7シリーズを飽きさせない理由の一つだと思います。

任務をキチンとこなしながらも、いつでもユーモアを忘れないのは自信やゆとりがある表れで、つまり仕事がデキる人間である証なんですよ。

そういう意味において、ジョークもロクに言えないダニエル・クレイグ版ボンドには違和感しかなく、もはやボンドというキャラが破綻しているんですよね。

常に緊張感が走っているような、一片の笑いもないくらいにシリアスな作風であれば、その時点でOO7シリーズと認められないんですよ。

 

OO7(の“OO”)とは殺しを許された者に与えられるコードネーム、いわば殺人許可証です。

そんなセリフを裏付けるようにボンドが人を殺すシーンはいくつかありますが、それが最後の手段ではなく、下手すれば楽しんでいるように見える事もしばしば。

冷酷なだけでなく、残忍さをも秘めているボンドは本作の見どころです。中でも、自分を迎えに来た車の運転手が偽物である事を知った時の薄笑いにはゾッとさせられます。

例えば見張りに発見された際、ちょっとした格闘の末に相手の意識を失わせるシチュエーションは多くの映画で見られる定番ですが、この人が気が付いちゃったらソッコー報告されちゃうじゃん?と心配になりませんか(笑)?

が、本作におけるボンドはキチンと先行きを考え、しっかり殺すんだから効率的、かつ冷酷です。後のシリーズではこれが抑えられ気味なのはチト惜しいですね。

 

本作最大級の見どころと言えば、ハニーの初登場シーンです。

水着を着た女性が歌を口ずさみながら砂浜に上がってくる、たったそれだけのシーンなのにスゲー画ヂカラを感じるんですよ。

今でこそ水着と言えばビキニが定番だけど、この頃はある程度のスタイルを持つ人でなければ着なかったでしょうから、公開当時に映画館でこれを観た人の衝撃は計り知れません。

今回の鑑賞で思ったのは、ビキニだけではなく腰にデカいナイフを提げているのも、ハニーというキャラを表すいい演出になっているんだなと。

貝を採取するための物でありながら、ハニーは過去に性被害を受けた経験があるらしく、そこから自分を護るためのツールとして肌身離さず身に着けているんだろうなという想像もできます。

 

今作の敵はドクター・ノオ。

両手が義手になっていますが、それぞれの作品における最終的な敵は何かしら身体に障害を抱えているという今後のシリーズの定番は今作より始まっているようです。

そんなドクター・ノオから、今回の事件は巨大な組織スペクターの意思が働いている事が示唆されます。それまでは何を言われても既知であるが故に動じなかったボンドが、初めて冷静を欠く良いシーンです。

その実態は何も分からないまま終わるのは、続編への可能性を持たせる、今なら匂わせとして受け取られるんでしょう。

後のシリーズでは、これが叶わなかった組織もいくつかあるんですよね、ヤヌスとかクォンタムとか…。

 

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Blu-ray版は映像特典満載で嬉しいですね。本編のダイジェストは要らないかな。

『HG ビッグトニー』をパチ組みました。

後の利便を考えて、ところどころパーツが外れていますが、レビューをしているサイトはゴロゴロあるので、興味がある方はそちらで…。

 

商品はコレ。

『サクガン』というアニメ作品に登場するロボットのようですが、1ミリも知らず…。

説明書の作品紹介を見る限り、探検モノってのが珍しいなーと思い、どっかで公開されている原作の小説をチラ読みしたところ、1話の1行目でギブアップしました(笑)。

少女どころか女児キャラを前面に出すような、いかにも深夜アニメ~って感じのノリがキチぃ、かつキメぇ。

ロボットの描写がどんなものか気になったけど、そこに行き着くまで辛抱できなさそうなので、我ながら呆気なく断念。

 

…だったら、どうしてそんなプラモを買ったんだよYO!とツッコまれそうですが……だって安かったんだもん。安いは正義。

ちなみに定価は、ななんと5720円っ…!

昨今のキャラクタープラモを盲目的に買いまくっている人は鼻で笑うんでしょうが、これまで俺ッチが組んだプラモの中で最も定価が高いキットです。

完成品ならまだしも、プラモに5000円以上なんか出さないもの…。

 

で、このキット。

パーツ点数は多いし大きさもまぁまぁあるので、5000円以上してしまうのは仕方ないのかな。

その割に、左右に展開するリトラクタブル(?)ライトにクリアパーツを使ってなかったりとか、腕の袖口にある入り組んだ形状が一体パーツだったりとか、そこは簡略化しちゃダメだろうと思わせる部分もチラホラ。

デザインを重んじているんだろうけど、挟み込みが多すぎるのもキツいなぁ。

 

プラモなんだからあって当然だと考えているので、合わせ目に関しては何も気になりません。

ただ、例えば背部リュックサックの脇にあるブースターとか、複雑な形状に合わせ目が来るのはあまり喜べませんね。上腕の挟み込みも、もう少し割り方を練って欲しかったな。

相変わらず、塗装をしてまでプラモを完成させた事がない人による設計なんだろうなと邪推してしまいます。

 

デザイン的には、愛嬌がある重機といった趣がありますね。

そこにキャラクターロボットの要素も加わるせいか、関節へのこだわりが尋常じゃありません。

もうさ、何重関節なんだよと(笑)。

プラモ的な話をすると、この関節は『境界戦機』の主役級ロボの四肢のような片寄せ式で、パーツ単品としては厚みがあまりなく、どれか一つが破損したら致命的です。

このキットは昨今珍しく関節にABS材(絶滅していなかったのか!)を使用しているので、可動に関わる=テンションが掛かるため塗装には細心の注意が必要です。

余談ながら、袋を開けたらABS材のツヤッツヤなランナーが出てきて、ふた昔前のガンプラを思い出したよね(笑)。

 

この膝の関節はかなりのパーツ数で、それぞれが小さめなのでゲート処理が嫌になるだけでなく、組み付けるのも意外に難易度が高い。

これは説明書に問題があるからです。

変にパースが付いたりシェーディングの色が濃かったり、該当パーツをどの方向から見ているのかが分かりにくいんだよね。

組み付けにくい所は捕捉があるものの、アイコンばかりで言葉による説明が一切ないのが不親切に感じました。

 

パチ組みは終えた。そこから塗装をするかどうかはビミョーですね。

パチ組みと言っても、後でバラせるような工作は仕込んでおいたけど、特に膝の関節を構成するパーツ群をバラして組み直すのはチト危険な予感が…。

汚し塗装が似合いそうなデザインなので、汚しデビューを飾るにはもってこいなんだけど、パーツ数の多さに飽きちゃうだろうなぁ(笑)。

 

定価は高いけど、今になればだいぶ安くなりましたね。

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ちょっとコミカルで可愛いデザインですが、プラモとしてはまぁまぁ難易度が高いと思います。

このキットに使われているABS材は、昔のガンプラに使われていたものより弾力があるように感じるので、そう簡単に破損はしなさそうだけど過信は禁物。

つーか、KPSじゃダメだったのかな…?

『HGCE ウィンダム』をパチ組んでいます。

便宜的に“HGCE”としていますが、メーカーに商品紹介ページによれば、正確な商品名は『HG 1/144 ウィンダム』なんですね。

ちょっと推測してみると、初キット化の際は“HG”、リニューアル等でアップデートしたキットは“HGCE”表記になるのかな?

 

…と、相変わらずのどーでも話はさておき、ウィンダムについて。

ライフル&シールドだけでなく、割と大きめなジェットストライカーも付属して1540円という値段に感心したのも束の間、簡易組立方式を採っている上にクリアパーツもないし、HGに相応しくないのはこういうキットなんだよな。

総パーツ数の減量により定価を抑えたい意図は分かるんだけど、それをなくせば一気にクオリティが下がるパーツもあるし、その見極めが素人臭いんだよ。『HGAC シェンロンガンダム』(の肩アーマー)にも近い思いを抱いたっけ。

 

相変わらずKPSのゲート処理は厄介ですね。

特に、

こいつらの処理は大変だったなー。モールドもピンボケ気味だし、毛羽立ちも取りにくい。

嫌な位置にあるゲート、薄いモールドの近くにあるパーティングライン、それらの処理や整形にスゲー時間を割かれます。

安定翼を薄いプラ板に差し替えたいなとも思ったけど、さほど見栄えが良くなるわけでもないのでちょっと削り込んで終わらせよう。

 

まだ組み上げてないけど、パーツを眺めている時点で嫌なパーツ発見。

ジェットストライカー背面の推進用ノズル。

前面にある似た形状は別パーツになってるから良いとして、この背面側は一体ってんだから、こういう所もHG未満。

完成見本では内側を赤で塗ってるけど……これ、どうやって塗り分けるの?

ノズル内側は狭くて深いし、マスキングもチョー大変なだけでなく、塗装も難しそう。塗る順番も頭を抱えます。

塗装した上で完成させた方々は、どう対処されたんでしょう?

 

――といった質問をしたいんだけど、塗装までこなすくらいのモデラーばかりが集まるコミュニティって、なかなか見当たらないんですよねぇ。

ガンプラを話題にするサイトは見た事があるけど、ガンプラという工業製品を取り巻く話ばかりで(よくも飽きずに転売に関する愚痴ばかり)、製作に関する意見交換なんかほぼ皆無。

中級者以上が製作に関する情報を交換し合えるサイトでもあるとありがたいんだけど……どこかありませんかね?