『ロシアより愛をこめて』を観ました。
ソ連の暗号解読機レクターを譲るという報せがMI6に届く。ソ連の暗号解読員ロマノヴァのイギリスへの亡命、その護衛としてボンドを名指しで挙げてくるという条件に胡散臭さを感じながら、ボンドは危険を承知で任務に就く。
イスタンブールへ飛んだボンドはロマノヴァと合流。ロマノヴァもまた、上司であるクレッブからの極秘命令として行動していた。ボンドはロマノヴァが盗み出したレクターと共に長距離列車でイスタンブールを後にする。
しかし、この一件はスペクターが仕組んだ罠で、イギリスとソ連の衝突を目論むだけでなく、かつての同志ドクター・ノオの敵討ちも兼ねたボンドへの復讐をもう一つの目的としていた。今はスペクターの構成員であるクレッブにより送り込まれた殺し屋グラントは、ボンドを追って列車に乗り込む……といったお話。
要約すると、亡命者を護衛するボンドが犯罪組織スペクターに狙われる話です。
OO7シリーズ第2作。
そういえば最近では見聞きしなくなりましたが、ひと昔前はOO7シリーズの最高傑作と言われていた作品です(昨今の風潮だとダニエル・クレイグさんの出演する作品群のどれかがそれに取って代わっているんだろうな…)。
その後のシリーズの伝統となるお約束事を詰め込んだ雛型となる作品と考えれば、前作より以上に”第1作っぽさ”がありますね。足りないのはせいぜいボンドカーくらい?
そしてボンドのキャラも確固たるものになってきました。
世界情勢を変えかねない重要な任務をこなしながら、性格はかなり軽薄というミスマッチさが面白い。どんな危機的状況でもジョークをかまして余裕のある素振りを見せる、カッコ良い男っていうのはこういう人なんですよ。
ショーン・コネリーさんのこなれてきた芝居も相まって、いよいよボンド像が固まったようにも見えますね。
今作におけるボンドを狙う殺し屋はグラント。
アバンタイトルでの活躍や、クレッブに見込まれるシーンを見る限りでは強靭な肉体を持つばかりの体力バカに見えなくもないですが、意外にも(?)思慮深いところがある策士です。
ボンドの隙を見つけた途端に襲い掛かるような真似はせず、あくまで正面から近付くのが潔い。
そんなボンドとグラントとの対決は、本作で評価されるシーンの一つ。かなり背丈のある男同士が、あんな狭んめ~コンパートメントで大格闘するんですが、しっかりハラハラ感もあって見入ってしまいます。秘密兵器に搭載されている機能もフル活用するしなぁ(笑)。
そんなグラントとの対決あたりから、終盤までアクションシーンが増えてきます。
一つの山場を終えても、まだ次があるのか!というくらいに派手なアクションが続くクライマックスは見応えがあります。
OO7はシリーズ作品にしてシリーズにあらずというか、大雑把な連続性は一つ二つはあるものの、基本的にはどんな順番で見ても1本の単作として十分楽しめるのが良い所。
シリーズ史上で見ても、今作は前作の出来事を引っ張っている点もあるのが珍しいです。
ドクター・ノオの名が出たり、カジノで知り合ったシルビア(←これは気付けなかった)が再登場したりね。特に後者、2作に渡って登場できるなんて、ある意味、ボンドに最も愛された女性じゃない?
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Blu-ray版は映像特典満載です。
何回か観ている作品は、たまには音声解説で見るのもいいですね。