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Joon's blog

どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

ローカル局やBS等で古い作品をテレビ放送する際には、決まって”現代には相応しくない表現を含んでいるけど、修整せずに放送するよ”といった旨の断りが入ります。

まぁ、主にはクレームを入れる=他人を困らせて愉悦に浸る悪趣味なバカに向けた警句ですね。だって、わざわざ昔の作品を見るような人がその辺にイチャモンを付けるはずもないでしょ?

そもそも、古い作品の再放送に対するこの手のクレームって、どれくらい来るのかねぇ。

 

そんな一言をお手軽な免罪符にしたいのは分かるんだけど、昔の作品の全てを一緒くたにするのってどうなんだろうと。

ロクに内容も見ず、ただとりあえず的に、もはやシステムとして言ってるに過ぎないんですよね。

なら、先に放送された作品内のどれが現代に通用しない描写だったの?と、こっちに関して聞き込みたいくらい(笑)。

 

BSで『金田一耕助シリーズ』が放送されていたんですよ。

こちらも例にもれず、本編の放送前には毎回、

といった警句が表示されます。

この断りの通り、ふた昔前のように本編では放送禁止(or自粛)用語が消される=修整される事はありません。

 

ただ、それはあくまでセリフに関してのみの話。

金田一作品では男女の痴情のもつれから始まる事件が多いせいか(笑)、その手の描写も次第に過激化し、女性がジジイに見ぐるみを剥がされるというシーンもお約束化して行きます。

そして、そういうシーンに出てくるオッパイには修整=ボカシを入れて放送しています。

…おいおい&こらこら、時代背景や製作者の意図を尊重するとか言ってなかったっけ?と。

同じBSでも、こういうのを修整しない局もあるし、この辺の差がどうも腑に落ちなくってね。

 

今や絶滅した、いわゆる2時間ドラマの多くには決まってお色気シーンがあったようです(断言できるほどキチンとは見ていないので…)。無意味にオッパイシーンを取り入れるのも、いわゆる数字取りの一環だったんでしょう。

かなり下衆ではあるものの、それも“製作者の意図”として作られたものには違いありません

そこに修整を入れる時点で1ミリの尊重も感じないし、そもそも製作者の意図なんかどうやって知り得たんだと(もちろん”製作者”はたった一人ではないし)。

自分らの都合の良いように他人の作品を修整&加工しているんだから、あんなスカした警句なんか最初から要らないんですよ。

 

余談ながら……だいぶ昔、NHK=BSプレミアムで『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』が放送された時は、冒頭に映像に修整を入れているよという旨の警句がありました。

綾波がでっかくなった時の乳首がマズいんだろうなーと思いながら観進めていると、意外にもこれに修整はナシ。実際にボカシが入っていたのは綾波の腕が落ちた際に描かれていた切断(溶断?)面でした。

 

俺ッチは業界人ではないので詳しい事情は知り得ませんが、ああいう基準って誰がどうやって決めているんだろうね。まぁ、知ったところで納得もしないんだけど。

何にせよ、視聴対象を限定しないテレビドラマごときに修整を入れられるとシラケた気分になっちゃうんだよ。

『三つ数えろ』を観ました。

 

私立探偵のマーロウは、隠居生活を送るスターンウッド将軍を訪ねる。次女カルメンが作った借金を名目に、ガイガーという男による恐喝が続いているというのだ。

依頼を受け、ガイガーの自宅で張り込むマーロウは銃声と女の悲鳴を聞き、家に飛び込む。そこには酔い潰れたカルメンとガイガーの死体が…。

その後、スターンウッドの長女ビビアンの元にカルメンの写真が入った脅迫状が届く。先のガイガー宅に隠しカメラが仕掛けられていたのだ。

マーロウが脅迫状の主であるブローディを突き止めた直後、ブローディはガイガーの付き人に殺されてしまう。

二人の脅迫者が死に、スターンウッドからの依頼は解決したが、これらの殺人事件が腑に落ちないマーロウは独自に調査を続け……といったお話。

 

所詮は1945年だか46年だかの作品、ミステリーっつったって稚拙で明快なものだろう?とタカを括って観てみたんですが、この先入観が失敗の元。

登場キャラは多めだし人間関係も入り組んでいて、思いの外、ストーリーが複雑でした。

こういうのをたった一度の鑑賞で理解できちゃう人は映画力が高いって思うんだ。

そうではない俺ッチは早々に、しかも人物相関図を作りながら2回目の鑑賞に臨みましたとさ…(ソッコー再見できるのは面白い証左)。

我ながらダッサ~と言いたいけど、これって理解度を深めるには意外に有用な手段ですね。他にパッと思い付くところでは、家系図を知っておかないと置いてけぼりを食う金田一耕助作品とか。

まぁ言い換えれば、2回目以降から面白く感じる系の作品です。

 

原作の小説は知りませんが、おそらくマーロウの一人称で描かれているんだろうなと想像させるのは、本作=映画としては最初から最後までマーロウが出ずっぱりである点。

マーロウが不在の場面がないんですよね。それ故、マーロウは本作に登場するキャラを全て知っているんですよ。

唯一、マーロウが知っていながら登場しないのはリーガンくらいなもの。割と重要な役、かつマーロウとも顔見知りの仲でありながら、回想シーンで登場させるという手を使わず、あくまでマーロウの一人称にこだわっているのが良いんですよ。

別の見方をすれば、事件を調査するマーロウを追う映画なのです。

 

ハンフリー・ボガートさんは割と贔屓にしているクラシック男優。

ボガートさん=ボギーがソフト帽&コートといった出で立ちで探偵を演じるモノクロ作品という、そんな雰囲気だけで好きなんですよ。『マルタの鷹』もそんな感じ。

ボギーは正~直、ルックスだけではあんまカッコ良くはないんですがね。劇中でも小柄である事をイジられてるし(笑)。

ただ、ボギーが演じる役って男が憧れる男が多いように思うんです。まさに男がピカピカの気障でいられた、あんたの時代は良かった、だね。

古臭いファンタジーと言う人もいるでしょうが、まぁそんな連中にゃボギーの魅力は分からないし、分からなくていいからあっち行け!

 

コートに拳銃に加え、車も探偵映画には欠かせません。

マーロウもそんな例に漏れず、38年製プリムスのデラックスP-6(色々と違うかも)とかいう車に乗っていますが、あんま高級車ではなかったようです。

そんな大衆車ながら隠し装備があり、運転席の脇のスイッチをひねると、ダッシュボードの下部から拳銃のラックが現れるんですよ(2丁収納できるのが本格的)。

なんかボンドカーの走りみたいでカッコ良くないですか?

 

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Blu-ray版には1946年に公開されたものと、これより前に一旦の完成を遂げていた1945年版が収録されています。

1945年には完成していながら、アメリカでは時期的にも戦争映画の公開が優先されていたそうで、本作が後回しにされている間にもう一度見直し、撮り直しをしてまでダメなシーンを差し換えたのが1946年版なんだそうです。いわゆる完全版の走りですね。

撮り直した多くは主演のローレン・バコールさんに関するものだったそうで、よっぽどバコールさんに依存するところが大きかったんでしょうね。あの猫顔、どこかミラ・ジョヴォヴィッチさんを連想するんだよな。

ついに放送と相成った『新・暴れん坊将軍』を観ました。

 

享保の大飢饉に始まる江戸の不況、さらには世継ぎの問題をも抱え、徳川家八代将軍である吉宗は頭を悩ませる日々が続いていた。

吉宗は徳田新之助として江戸の町に出向き、顔馴染みの面々と久しぶりの再会を果たす中、徳川家のやり方に異議を唱える徳長福太郎[トクナガ・トミタロウ]という若者に出会う。その顔が吉宗の嫡男である家重[イエシゲ]に瓜二つである事に驚く吉宗。

一方、父の不義によるお家取り潰しを免れながらも、密かに吉宗に恨みを抱く旗本の本間は、紀州徳川家と犬猿の仲である尾張徳川家の宗春[ムネハル]をそそのかし、戦争を引き起こした上で吉宗の打倒を図るが……といったお話。

 

近年、ウン十年ぶりの続編が流行っていますが、まさか『暴れん坊将軍』がそのブームに乗っかるとは。長年のスパンを空けて主人公の息子を登場させる息子商法とか、そろそろ飽き飽きなんだよ。

これと反対に、過去のシリーズにゆかりのあるキャラや俳優を出さなかったのは好印象。懐かし要素を出して安っぽい人気取りをしなかったのは潔かったですね。

ストーリー的にも現代の日本が抱える社会問題を扱い、遠回しながらに政治を風刺するのも、あたかも時代劇っぽいメッセージの伝え方に思えます。『暴れん坊将軍』という作品は人々の上に立つ者の心構えや覚悟を説く寓話でもあるから、これを忘れなかったのは良かったです。本当はダモクレスの剣という言葉を使いたかっただろうな。

 

シリーズ全作の9割くらいは見た、それだけ『暴れん坊将軍』という作品の雰囲気を味わっている身からすると、どうしても違和感が否めません。

脚本のセリフ回しだけでなく、特に若い俳優の喋り方とか、どことなく現代劇っぽさが強めに思えてね。

もちろん実際の江戸時代における人々の言葉遣いなんか誰も知り得ないし、ある程度は現代語に変換しなければ何を話しているのかも分かんないけど、現代語に寄せすぎている印象が強いように思えました。

 

そう思わせるのが本作のキーパーソン、吉宗の長男である家重。

ツッパって見せてはいながらも胸の奥には熱い思いを秘めているというキャラは嫌いじゃないけど、そういうのって時代劇には向いてないんですよ。吉宗の息子でありながらチト育ちが悪いというアンバランスさを狙っての事なんだろうね。

演じる西畑大吾さんが頑張っているのは分かるけど、時代劇にはまだまだ不慣れなのが見て取れます。こういう若い芽を摘むのは容易いけど、それじゃ時代劇は絶滅しますからね。時代劇を後世に残すには、若い俳優たちにまず場数を踏ませてやるのが大事だと考えます。

それを踏まえた上で、タイトル通り『新・暴れん坊将軍』として新章を始めるのであれば、親子で身分を偽って江戸の町に出るのは必定であり、面白くなりそうなシチュエーションに思えます。

ちなみに、家重が城下町に出向く際の偽名は“徳山福太郎”と書いて“とくやまとみたろう”と読むそうです。昨今の漫画系にありがちだけど、ペダンチックというか、こういう読み方を知っている自分スゲー的な根性が見え隠れする作家が増えましたね。キラキラネームの一歩手前である事に気付けよと。

 

吉宗最大のライバルである宗春を演じるGACKTさんのキャスティングには賛否両論あるでしょうが、俺ッチは”否”側の人間です。“否”というより“苦手”かな。

吉宗を見下している表れか、常に不敵な笑みを浮かべているのが不気味だけど、あのニヤけ顔がどうも受け入れ難くてね。

ちょっと気の毒どころか不可抗力な話ながら、オリジナル版で宗春を演じていた中尾彬さんの個性が強烈すぎて、あのインパクトを超えるのは無理に近いくらいに難しいと思うんですよ(西岡徳馬さんですら物足りなかったように思う)。

中尾さんが宗春を演じる事はもうあり得ないとは言え、ああいう傾奇者のようなキャラ変は今風というか、漫画チックでどうもね。

にしても、あの鍛え抜いた肉体美にはただただ脱帽! よくよく考えると、あの筋トレのシーンは何だったんだろう…(笑)。

 

注目ポイントの一つでもある音楽面は及第点ギリギリ。

が、クライマックスの大殺陣で使われる例の音楽に関しては、及第点をあげられないどころか失格です。あんなヘボいアレンジでテンション上がります? 『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』で使われていた同曲のアレンジもヒドいものでしたが…。

オリジナル版で音楽を担当していた菊池俊輔さんをクレジットするなら、あれに関してのみオリジナル版をそのまんま使っても良かった、否、使った方が良かったと思います。久しぶりの新作だから見るという人の9割は、あれを期待してるんだよ!

あんなのを2回も使うくらいなら、初代シリーズにあったもう一つの大殺陣の音楽(ドラムが利いてるやつ)を復活させても良かったんじゃない?

ところで、スーパー余談ながら…。

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元々歌詞があっても不思議じゃない楽曲ですが、半オフィシャルでこんなものがあったなんて…!

 

そして、個人的にグッと来たのは、お庭番の八兵衛というキャラ。

この相関図(orキャラ紹介)にはキチンとした記載がありませんが、この八兵衛の姓はななんと薮田[ヤブタ]!

これは絶対、みんな大好き初代お庭番の薮田助八[ヤブタ・スケハチ]のオマージュ、もしくは助八の近親者なんだろうなと、一人で勝手に熱くなっている俺ッチであった。 つづく

50mmくらいのプラモとカードゲームを組み合わせた、GUNDAM ASSEMBLE(ガンダム・アッセンブル)という新商品が出るそうです。

 

もちろん両方を嗜んでいる人もいるんでしょうが、ガンプラとカードゲームって相反する属性の娯楽に思えるんだよね。ガンプラは組むけどカードには興味ない、もしくはその逆というかね。

そんな両者を組み合わせる=ASSEMBLEさせた企画のようです。

個人的にはスベり企画に思えますが(笑)、近年はガンダムと名が付けば盲目的に飛び付く教徒が激増しているから侮れないかも?

現在では第4弾まで確定しているようで、プラモ3体とスタートデッキのセットで各3300円だそうです。プラモは塗ってみたいけど。

 

ちなみに予告映像。

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これだけ見て、一瞬グッと来た昭和のジジイ(の一部)ならこっちを思い出す……それどころか、こっちの方がいいだろう?

タカラとかツクダホビーから発売されていたシミュレーションゲーム!

久々に押し入れから発掘したぜ、懐かし!

 

ユニットは贅沢にも30mmくらいのメタルフィギュア。

1/400スケールというムダなこだわりもあります(笑)。

 

ヘックス表示されたマップにユニットを配置するんですが、この手のシミュレーションゲームで立体ユニットを使うのはタカラならでは。

そしてペリスコープという潜望鏡のようなものが付属していて、

目標に向けてコレを覗いてみて、

敵機が見えれば目標確認成功!というアナログさが最高です。

「見切れすぎだよ、見えてるうちに入らないって!」という状況もあり得そうですが、

そんな揉め事が大きくならないための対策もバッチリ。昭和は優しい…(笑)。

 

――とまぁ、懐かしのゲームを紹介してみました。ツクダホビーのもゴロゴロ出てきたけど、そっちはまたの機会に。

まぁ何だかんだで、コレと言い、先のガンダムのゲームと言い、おそらく買った人の過半数が大きな問題を抱えていると思います。

対戦相手がいない…。

『フレンチ・コネクション2』の作風にシビれ、ジョン・フランケンハイマーさんの監督作品繋がりで『RONIN』を再見しました。

 

前回の鑑賞記はコチラ

 

フランケンハイマーさんの作品を全て見ているわけではないので、そうでないものも少なくないんだろうけど、男臭さが魅力の作品です。出てくる男キャラが総じてカッコ良いんですよ。

さすが主人公だけあってか、ロバート・デ・ニーロさん演じるサムが実にクール。

サムはCIAに勤めていた時もあったそうで(もしかしたら現役の可能性も?)経験も豊富。バーの裏口に拳銃を隠しておいたり、コーヒーのカップを使って相手の実力を測ったり、ディアドラと夫婦を装って敵に近付いたりと、完全にプロ中のプロ。シーズン5くらい続いてるドラマの刑事じゃないかと思わせるくらい(笑)。下手な回想とか自分語りをさせないあたりもいいんですよ。

 

そんなサムに実力を見透かされてしまうのがスペンス。

ここで、依頼を受けた男たちを演じる出演者の紹介をすると(あえて五十音順)、

 ・ショーン・ビーン(スペンス)

 ・ジャン・レノ(ヴィンセント)

 ・スキップ・サダス(ラリー)

 ・ステラン・ステルスガルド(グレゴール)

 ・ロバート・デ・ニーロ(サム)

という布陣。

キャストだけ見ると、デ・ニーロさんとレノさんが主役で、ビーンさんが裏切り者の黒幕なんだろうなと推測する人が多いと思います。

が、実際にそんな事はなく、安っぽい予想をあっさり裏切る意外性も面白いんですよ。さらに言えば、終盤でピンチの時に手を貸してくれるんだろうなという想像しながら観ていると、ここでもまた驚けることがあったりね。

”いつもの人によるいつもの役”といったマンネリがないのも本作の面白さの一つです。

 

ジャンル的にはアクションスリラーってところでしょうかね。

アクションに関してはカーチェイスが最大の見どころですが(これは映画館で観たかった!)、銃撃戦の迫力もかなりのものです。

ここで思ったのは、格闘術による人間アクションは皆無で、相手を倒すのは専ら銃火器オンリーである点。殴る蹴る飛ぶといったアクションはエンタメ的でフィクションっぽさが強まるから、手軽に相手を倒せる銃ばかりを使う方が能率もいいという意味においては実にリアル。

無駄を排した、達観できる大人がやるアクションなんですよね。

 

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うわ、今はBlu-ray版は流通していないようですね。

配信版は密かに期限があるのがネックに感じていますが、ディスクも急に生産を止めちゃう事があるのが困るよねぇ。

前作の面白さにやられ、熱が冷める間もなく続編の『フレンチ・コネクション2』を観ました。

 

麻薬王シャルニエを追い、本拠であるマルセイユにまでやって来たポパイ=ドイル。

しかし、地元警察の協力を得られるはずが、唯一英語が喋れる刑事のバルテルミーとも反りが合わず、よそ者扱いまでされる始末。思うような捜査ができずにドイルは焦りや苛立ちを隠せない。

一方、新たな取引や麻薬の精製に忙しいシャルニエは、かつてニューヨークで煮え湯を飲まされたドイルの姿を目の当たりにする。シャルニエの手下に捕まったドイルは監禁され、麻薬を投与され続ける。

解放されたものの、すっかり薬漬けの身体になってしまったドイルは禁断症状が現れ始め、バルテルミーはこれを克服させようとするが……といったお話。

 

実話を基にしていたという前作に対し、映画としての続編である今作にはそんな話はあまり聞こえません。完全オリジナルのフィクションなのかな?

前作はリアリティを感じさせるドキュドラマっぽい体で作られていましたが、監督がウィリアム・フリードキンさんからジョン・フランケンハイマーさんに代わり、クラウディ(を演じたロイ・シャイダーさん)も出ないという事で、ヒットした前作にあやかった安直な続編なのかなと思いきや、こちらもなかなかの良作。

媚びたエンタメ要素も皆無に等しく(逆を言うと、それだけ地味)、“『フレンチ・コネクション』の正統な続編”であると胸を張っていい作品だと思います。

余談ながら、今作では“ポパイ”より“ドイル”と呼ぶ方がしっくり来るように感じます。

 

若い頃に観た際には、あまりにエンタメをしていない前作は退屈で退屈で(笑)、続編である今作の方がマシ程度にしか思っていませんでした。

今作ではドキュドラマだった前作の、ドキュメントの部分を薄めたおかげで多少ドラマチックになったという証左なのかもしれません。

そんなドラマチックな部分と言えば、本作の見どころでもある、ドイルが薬漬けになるという展開でしょう。

あれだけ麻薬を憎悪していたドイルが、敵の手で麻薬を散々打ち込まれてボロボロになっていく姿は屈辱的に思えます。拷問というより凌辱ですね。

薬物依存になった状態のハックマンさんの芝居が実にリアルだとされていますが、そんな光景が多々ある国ならではの感想ですね。あの時の一人喋りの内容の無意味さが生々しいようですが……クェンティン・タランティーノさんの作品に登場するキャラはそんな奴ばっかじゃん(笑)!

 

そんなドイルのリハビリに手を貸してやるのが、フランスの刑事であるバルテルミー。

ドイルは前作からあんな性格でしたからね、地元の仲間内でも疎まれやすい人だったのに、異国に来てもあの調子が変わらないのであれば、何だコイツと思われるのも当然。ドイルの机を便所の脇に追いやるバルテルミーの判断は、あながち間違いでもありません(笑)。

が、どんだけ嫌いな奴であっても、悪を追うという万国共通の意思を持つ警察勤めの者同士、薬漬けになったドイルを救おうととことん付き合ってやるのがいいんですね。そこから始まる男同士の熱い友情がどうとかとかダッセー事(笑)を言い出さないのも、シリーズとしての貞節を守っている感じがします。

 

バルテルミーの協力もあり、すっかり回復したドイル。

さんざんな目に遭い、もう牙が抜けてしまうかという心配なぞ無用、復帰早々にドイル怒りの大反撃が始まります。

自分が捕らわれていたホテルを突き止めたドイルは、シャルニエを引きずり出そうとガソリンをブン撒いた挙げ句、キチンと(笑)着火するんだから痛快です。

映画はこういうハチャメチャがあるからこそ面白いんだよ!

 

アメリカを脱出しフランスに戻れたシャルニエは、前作に引き続き登場します。

前作では単に麻薬ビジネスの大物として描かれていましたが、今作ではそれに加え、涼しい顔の裏に邪悪な面を隠し合わせている事が分かります。

餅は餅屋とでもいうか(?)、麻薬業者として得意の分野でいたぶった上で廃人にさせようとする発想は、まるでなぶり殺しに遭わせるようで残忍この上ない!

麻薬の取引を扱った作品は星の数ほど作られていますが、これをやらないのは意外ですね(まぁ、やったところで本作のパクりと言われるのは必定だけど)。

 

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Blu-ray版の映像特典は、ジョン・フランケンハイマーさんの思い出語りや、ジーン・ハックマンさんが本作を振り返る映像を収録。

“フレンチ・コネクション3”の話は聞こえないというハックマンさんの話にはホッとします。

 

 

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観た、『フレンチ・コネクション』

観た、『フレンチ・コネクション2』

『恐怖の報酬(’77)』がやっぱり面白いので、ウィリアム・フリードキンさんの監督作品繋がりで『フレンチ・コネクション』を観ました。

 

ニューヨークで麻薬捜査を担当するポパイとクラウディは、今日も強引なやり方で犯人を検挙していた。

ある日、バーに寄った二人はマフィア幹部が顔を連ねている光景を目撃。その中の一人、ボカに目を付けた二人は調査を開始する。

ボカがフランスの麻薬王シャルニエとの大きな取引に関わっている事に気付いたポパイ。ニューヨークにやって来ていたシャルニエを尾行する中、ポパイは殺し屋に命を狙われ……といったお話。

 

タイトルになっている”フレンチ・コネクション”とはフランスとアメリカを結ぶ麻薬のルートを意味する、現実にあった事件だそうです。

それまでのアメリカは麻薬は風俗犯罪程度にしか捉えておらず、この事件をきっかけに麻薬の売買が巨大なビジネスである事に気付き、取り締まりを厳しくするようになったんだとか。

本作はそんな実話を基にした、いわばドキュメント+ドラマ=ドキュドラマです。

そして、ウィリアム・フリードキンさんの作風は、こういうジャンルとの相性が良いように思えます。いかにも映画的な荒唐無稽もなく、無駄に音楽を鳴らさないのもドキュメント風。

男たちがひたむきに任務をこなす姿を描く、これまた男臭い硬派な作品です。

 

過剰な説明がないのもフリードキンさんのスタイルでしょうか。手っ取り早いところでは冒頭の、フランスで殺される男の正体とかね。

初見殺しな部分も多々ありますが(笑)、回を重ねて観るごとに理解が深まるのが良いんですよ。

映画力のある人はただ一度観ただけで理解できるんでしょうが、まだまだその域に達しない俺ッチのみならず、退屈だけど重要なシーンを看過してしまい途中から付いて行けなくなる人も少なくなさそうです。個人的にはシャルニエとデブローの関係とか、イマイチ分かりにくく感じたのでね。

何にせよ、付き合いが長くなりそうな作品が増えました。

 

正確には実話を基にした作品の映画化。

張り込み・追跡・尋問という刑事モノのお約束3ヵ条(笑)もあるし、映画というエンターテインメントとは相性が良いんですよね。

そんな主役の刑事、ポパイとクラウディを演じるのがジーン・ハックマンさんとロイ・シャイダーさん。

どうも本作というとハックマンさんの名が真っ先に挙がって終わってしまう傾向があるように思えますが、陰で支えるクラウディ=シャイダーさんもいい味を出してるんだよね。

熱血野郎のポパイの相棒としてクールな部分を担当するわけでなく、ノリとしてはポパイに近い。いかにも安直な凸凹コンビでもないんですよ。

 

とは言え、ポパイの猪突猛進なキャラは映画の主役に向いてますよね。

犯人を追い詰める執拗さは頼り甲斐を感じるものの、時として病的に見える事もあり、誤射をしたところで1ミリも何も気にしないあたりは軽い恐怖すら感じます。

そんなポパイの奮闘の決着は、実話が根底にあるものの、映画としては腑に落ちなくってね…。

 

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↑のBlu-ray版は廉価版なので、映像特典は少なめです。

が、トリビア・トラックという、本編再生中に再生される(?)注釈みたいなものが収録されていて、この情報量が実に濃密。本編再生中にリアルタイムで表示されるので、ヘタな映像特典よりも当てになります。

ジーン・ハックマンさんが自分が演じるポパイを嫌っていたとか、ルソーがなぜ“クラウディ”とあだ名されるのかとかトリビア満載で、これは最後まで見て(or読んで)おきたい!

 

 

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観た、『フレンチ・コネクション』

観た、『フレンチ・コネクション2』

また『恐怖の報酬('77)』を観ました。個人的に、元旦に観る価値のある作品なんだぜ。

 

以前に観た際の感想はコチラ

 

何だろう、1度目の鑑賞ではオリジナル版の方が面白く感じたけど、2度目の鑑賞以降はそんな印象が逆転、それどころか観るごとに面白く感じるんですよ。

最初に観た時は、パッと見で登場キャラの見分けが付かなかったので(←無名に近い俳優が多く出ている作品あるある)、”唐突に映るこの人は誰なの?”的な混乱が生じますが、そういう作品ほど、2度目以降の鑑賞が面白く感じる事もままありますよね。本作はそういう系の作品に思えます。

今では生涯レベルで好きな映画として挙げてもいい位置にランクインしている作品です。

 

男臭さMAXの、実に硬派な作風が良いんですよ。

男たちが任務を遂行するお話なのに、女性とのムーディーなシーンが入って水を差されるのってスゲー嫌いなんですよ。そのおかげで100点をあげられない、例えば『ナバロンの要塞』とかね。

が、本作にはそんな心配は無用。女性キャラは登場するけど存在感はゼロに等しく、ひたむきに打ち込む男たちの邪魔をする事は全くありません。

余談ながら、『戦略大作戦』も硬派な作品でしたね。

 

リメイクの本作やオリジナル版共々、本作の鑑賞や紹介のための必須ワードとしてニトログリセリンが挙げられます。

油井で爆発事故が起こり、火の勢いは鎮まる事を知らず、これをニトロの爆風で消火しようという作戦。具体的にどうやるのか分かんないけど(笑)。

まぁ、ニトロでも間違いではないんですが……それってダイナマイトじゃないの?と。

ニトロを使おうという事で保管場所に行ったところ、そこにあったのは筒状の束。作劇でよく見られる一般的なダイナマイトの形ですよね。

ニトログリセリンは液体のままだと僅かな衝撃で爆発する危険があるけど、珪藻土[ケイソウド]等に染み込ませる事で多少の安全性を帯びる、これがダイナマイトの仕組みです。

しかし、本作に登場するダイナマイトはロクな管理もされずに放置されていたため、珪藻土(だと思う)とニトロが分離してしまった。

つまり、そんな不良品ではなく、まともなダイナマイトが現存していれば、あんな恐怖体験をせずに済んだという事です。取り寄せなんて悠長な事も言ってらんないし、早急な対処を要するという事で、ああいう危険な任務を課す羽目になってしまったんでしょう。

――と、この辺は付け焼刃のウンチクなので、色々間違ってる可能性もあるので悪しからず。

 

主役はニトロを運搬する4人の訳ありな男たちですが、それぞれが母国にいられなくなってしまった犯罪者です。

映画等で、罪を犯した仲間に向けて(母国ではない国に)高飛びしろというセリフはよく聞きますよね。

けど、その行き着いた場所が楽園どころか地獄だったら?というのが本作の面白い点の一つです。

どんだけ汗や泥にまみれても、稼ぎは雀の涙。違法な入国のため警察にも搾取されたり(逮捕されないだけマシというか) 、なら国外に脱出しようと思い立ってもパスポートや旅券は法外な値段ってんだから、まぁアリ地獄のような場所です。

母国では伊達男を気取っていた男たちが、ここでは顔は汚れて髭も伸び放題という、実にみすぼらしい身なりで過ごすような落ちぶれっぷり。そこから這い上がろうとする男たちが足掻く姿を見守る(?)作品なのです。

そこで決死の思いをしたから犯した罪がチャラになるというわけでもないというドライさが良いんです。

 

音楽もいいんですよね。

最初に観た際は、当時の最先端楽器であったであろうシンセサイザーを使って、ちょっと画面に合わない感もあったんですが、いつしかマッチしているように感じてきました。むしろサントラも欲しいくらい。

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どんな感じの音楽なのかは、↓の予告編で見聞きしてみて下さいな。

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『新春プラモ放談2025〜新年開けましてプラモデル〜』を見ました。

 

田中要次さん&与田祐希さん、本郷奏多さん&東海オンエアの二組がプラモデルを作りながら語り合う、ながら系トーク番組です。

コーナーの隙間にLINKL PLANETをねじ込むのは想定内(笑)。

LINKL PLANETと言えば、いつの間にか3期生が参入していたようですが、そこに至るまでの経緯をチラ見したところ、ファンではない門外漢ですら鬼畜企画に思えてなぁ…。

 

こういう、プラモをフィーチャーする番組がちょいちょい放送されるようになってきたのは、ドラマ『量産型リコ』の影響もあるのかな?

何にせよ、プラモという文化が僅かながらも世に浸透してきた証でもあるんでしょうね。

 

今回は田中要次さん&与田祐希さんという、『量産型リコ』の主演コンビが注目でしょうかね。素の状態でも、ほぼほぼリコとやっさんみたいな感じなのが微笑ましい(笑)。

その中で、与田ちゃんは『量産型リコ』シリーズにかなり愛着があるようで、またあのチームで何かやりたいと熱望していたのが印象的でした。スタッフに関しては分かんないけど、キャストに関しては意外と入れ替わりが多いから、個人的には矢柴俊博さんと市川由衣さんがホールドされていれば文句ナシ。

そーいや、曖昧な記憶なんだけど……あのリコザク、あーやに作られてたんじゃなかったっけ?

 

本郷奏多さん&東海オンエアのパートは、ところどころで笑わせてくれました。本郷君の”プラモあるある”が生々しくて、プラモガチ勢ほどウケてるんじゃないかな?

ところで、わざわざ他のキットからパーツ取りをするのは行儀が良くないという本郷君の感性、好きすぎるっ…! 個人的には、数パーツを抜き取られる事で完成できなくなったキットはどうなるんだ?と思うんだよね。

 

――って事で、こういう番組を見ると、つくづくレギュラー化して欲しいなぁと思うんだよね。

最大級の理想&ムチャ振りとしてはEテレの趣味番組として(笑)。

バンダイ一択になると目に余る真似をし出すから、その他のメーカー群もスポンサーに名を連ねて、ジャンルが偏らないプラモ番組とか見てみたいなぁ。

せっかくの長期休暇なんだから一体くらい完成させるぞ!という意気込みも、まぁ最初だけというね。我ながら無気力でイカンよ。

 

ちなみに『LBX アキレス』ね。

パチ組みを終えた時点で、あんまやる事もなさそうだしサフなしでササッと完成させるか!と思うも、いざ塗り始めてみると色々とアラが目に付きますが、そこを妥協しないと完成が遠のくからね。

小さい傷やらヒケも多々あるけど、ツヤ消しトップコートという魔法で目立たなくなるでしょう…。

 

整面処理や小さい修整を抜きにすれば、そこまで手間が掛からない良いキットです。1000円くらいのプラモデルを想定しているかのような、実にシンプルなデザインも良いんだな。

工作としてやったのはタッチゲート処理と一部の合わせ目消し、肉抜きや後ハメ……塗装までやる以上、ダン戦キットでこの辺の加工は免れません(笑)。

あとはシールドの改造くらいかな、真ん中のトゲを取っ払ってドーム状の装飾に変更。映画等で古代ローマ兵の盾を見ても、こういう方がよく見るしね。

あとは、

ココを尖らせる定番工作はやりません。

正面から見るとRがだらしなく見えますが、裏面を削るだけで、

先端が薄くなって尖ってるっぽく見えるから、これでいっか。

 

そして最大の鬼門は顔ですね。

リニューアル版なので、リニューアル前の頭部パーツが丸ごと入っているけど、ちゃんとこっちも作りますよ?と息巻くも、どうすりゃええねん。

ヘルメットの下から顔パーツを潜り込ませるという後ハメ術は難しすぎるので(ホントにできるの?)、ファルケでもやった塗装→接着→マスキング→塗装しかないかなぁ。よりによって、小さいパーツのくせに最も色数が集中しているしさー…。

2025年のド頭から、こんなしょーもない事で頭を抱えてます(笑)。