あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
と言ったとたんに去年の話で鬼が怒り出しそうですが、2021年は引退後丸1年外で仕事をしなかった年で、結果として新たに56本の映画を観ることができました。映画好きを名乗る身として多いとはいえませんが、週1本以上観られて満足しています。
当然そこそこ面白かった作品からすごく面白かった作品、さらには愛してしまった作品があるわけで、1年を振り返る意味で極私的なベスト10をご紹介したいと思います。
アカデミー賞のように昨年公開された作品ではなく、最新でも2020年、古くは1947年のものになります。
1. トリコロール 白の愛
クシシュトフ・キェシロフスキ監督の「トリコロール3部作」は、どの作品も"美しく撮られた"印象があります。女優さんたちが綺麗なのはもちろんとして、映像、ストーリーの流れ、セリフやしぐさなどに、穏やかな洗練された美を感じました。
その中での一番のお気に入りがこれ。"話の面白さ"と言う点で際立っていました。
2. ブラック・クランズマン
「ドゥ・ザ・ライト・シング」で初めて出会ったスパイク・リーの変わらぬ反骨と同時に円熟を感じた作品。詳しくはレビューをご覧ください。
3. 太陽の中の対決
こちらも反骨の人、ポール・ニューマンの異色西部劇。割と最近「動く標的」「暴力脱獄」を再見してやはりいい役者だと思っていましたが、本作で遅れてきたファンになりました。レビューはこちらです。
4. 婦人代議士アンジェリーナ
これもあまりの面白さに即レビュー記事をアップした作品。家庭が第一としながらも政治にストレートにかかわることができるという庶民の気概に心打たれました。
5 .無謀な瞬間
これも家庭を守る女性の闘いに心をうたれました。同じように心打たれる悪党を演じたジェームズ・メイスンのカッコよさも見どころです。レビューはこちら。
6. 越境者
格安DVDの存在を知ってようやく観られた作品。逆境を勇気と誠実さで生き抜く人々の逞しさにこれまた心打たれます。やたら打たれてばかりですが、よく言われる「泣ける」「涙する」のとは違う次元の感動がある、と考えてください。
7. トリコロール 赤の愛
トリコロール3部作は甲乙つけがたいのですが、前述の通り白は話の面白さ、本作はお気に入りのジャン=ルイ・トランティニャンが出ているのと、ラストの落ちの面白さ(というのが不謹慎な結末ですが)で青より上にしました。
8 .悪魔の往く町
これも「婦人代議士アンジェリーナ」「無謀な瞬間」同様まったく知らずにいた映画ですが、話の面白さとタイロン・パワー、コリーン・グレイの魅力に引き込まれました。レビューはこちらです。
9. ナイブズアウト
アガサ・クリスティやエラリー・クィーンなどのいわゆる本格推理小説の雰囲気を持ちつつも、現代的な筋運びでスピード感のあるサスペンスを盛り上げたシナリオの良さに加え、ジェームズ・ボンドとは違った味をみせたダニエル・クレイグ、チャーミングでタフなアナ・デ・アルマスの好演が光りました。これもレビューがあります。
10. トリコロール 青の愛
3部作中では最後になりましたが、それはジュリエット・ピノシュがちょっとだけ苦手だから。魅力的な俳優だとは思うのですが、ほかに観た作品が「存在の耐えられない軽さ」「イングリッシュ・ペイシェント」「こわれゆく世界の中で」だからでしょうか、なんとなく息苦しさを感じるのです。ただ前述の「美しさ」から見ると、3つの順番は「青、赤、白」かもしれません。
と、よくあるベスト10形式でご紹介しましたが、おすすめ(2つ☆)はまだまだありますのでタイトルのみ列挙します。
56本のうちおすすめが20本、というのはかなりの確率ですが、映画と名がつけばとにかく観まくっていたころとは違って"自分が好きそうな"作品を選んで観ている結果だと思います。
まだご覧になっていない作品で「観てみようかな」と思われたものがあれば幸いです。