映画の楽しさ2400通り

映画の楽しさ2400通り

ある映画好きからすべての映画好きへの恋文
Love Letters to all the Movie Lovers From a Movie Lover

映画鑑賞数が累計2400本に達したのでブログのタイトルを更新しました。

ジャンル:オカルト
製作国:アメリカ
監督:スタンリー・キューブリック
愛するポイント:心理ホラーの名手キングの原作を超えた(?)見事なキューブリック演出

 

今ではほとんど読書をしない僕も、20世紀末ころまでは読書好きの方でした。

特に海外ミスタリー、サスペンス系の小説が好きで、中でも好きだったのはアガサ・クリスティ、レイモンド・チャンドラー、エド・マクベイン、サラ・パレッキー、スー・グラフトン、そしてスティーヴン・キングでした。
こうして並べてみるとホラー作家はキングだけですね。

キングの作品は何作も映画化されていて、「キャリー」や「グリーンマイル」、オカルトやホラーでない作品としては「スタンド・バイ・ミー」「ショーシャンクの空に」が人気があります(ちなみに僕の推しは「デッドゾーン」です)が、怖さという点では原作に軍配があがるような気がします。
キングはとにかく"怖がる側"の心理描写が巧みなので、怖いものを見なくても読むだけで恐怖がじわじわと脳と心に忍び入り浸透・拡散していくのに対し、視覚化されてしまった"怖いもの"は見た以上のものにはなりえないからかと思います。
観たもの以上の恐怖のインパクトを与える、というのはかなりむずかしいことですもんね。

その点、スタンリー・キューブリックが監督した本作は、ジャック・ニコルソンが次第に正気を失っていくのが果たして彼が幻影を見ているのかあるいはオカルト的な超常現象のせいなのかがはっきりしない前半部分が、ほかの登場人物たちにも異常な現象が見え始める後半よりも恐ろしく、僕自身は原作よりも怖かったように感じました。
特に、原作ではよりクローズアップされていたShiningという能力が、映画ではほとんど力を発揮したように見えなかったことが、恐怖を増大させたように思います。

ジャック・ニコルソンが演じたいくつかのシーンは未だに真似されるほどインパクトがありました(僕自身、当時真似をして遊んだものです)が、僕が一番怖かったシーンが(どことはいいませんが)、映画ならではの演出でありながら非常に文章的なあのシーンであったことが、ホラー映画が苦手な僕が本作を愛する強力なポイントになりました。

【追伸】
文章に上手くはめられませんでしたが、ジャック・ニコルソンの怪熱演に並んで本作の成功のカギになったのはシェリー・デュヴァルだったと思います。
 

ブロトピ:2025/4/26