本作は同タイトルの4度目の映画化ですが、前の3作は観ていませんでした。超有名作(特に1954年のジュディ・ガーランド版「スタア誕生」)なので話は結末も含めて知っており、哀しい結末の映画が苦手なこと、かつ主演女優にそれほど魅力を感じなかったこと(1976年版「スター誕生」のバーブラ・ストライサンドも)が主な理由です。
ただし、今回はレディー・ガガが観てみたかったのと、監督・主演を務めたブラッドリー・クーパーの評判がよかった上、相棒も観てもいいということだったので、観ることになりました。
どちらかというとマドンナ世代(生まれ年も一緒。ちなみにマイケル・ジャクソン、プリンスも同じ年の生まれです)で、ファンでもありましたが、レディー・ガガが売れ出したころ(2010年前後?)は相棒の影響で洋楽よりもK-POPを聞くことの方が多かったので、知らないうちに超ビッグ・スターになっていたレディー・ガガが本作で俳優としても高い評価を受けていることを知り、観てみたくなったというわけです。
結果として、感心しました。歌が上手いのはもちろんとして演技力もかなりのもの。さすがにグラミーなどでいくつかのステージは観ていましたが、ステージでのエキセントリックでパワフルな印象に加えて真摯で情緒豊かなキャラクターが印象的でした。
ステージのキャラがそのままスクリーンに映し出されるマドンナの演技もそれはそれで好きなのですが、マドンナファンとしても役者としての力ではレディー・ガガか、と思わせられました。
というほどにレディー・ガガのパフォーマンスが素晴らしいのですが、そのパフォーマンスを最大限に引き上げたのがブラッドリー・クーパーの演出であり、共演者としてのパフォーマンスです。アカデミー賞の作品・主演・脚色にノミネートされながら受賞できなかったのは残念でしたが、監督・主演の上に歌も本人というのには正直驚きました。「シャロウ」がアカデミー歌曲賞を獲ったこともうなづけます。
で、気になる話の方では、オリジナルおよび他のリメイク版と同じく哀しい結末が待っています。音楽アーティストの映画できまって胸が痛むのが、主人公のサブスタンス・アビューズ(薬物依存をいう場合もありますが、薬物ではなく酒の場合もあります)を描くシーン。経験はなくても頭では依存に陥る心理や経緯も理解できるだけに、「どうして!!」という悲痛な気持ちを、「フィクションだから」という割り切りで抑えることができないのです。
音楽映画ジャンルで3つ☆の「8Mile」「エディット・ピアフ 愛の讃歌」「パープルレイン」が好きなのは、そうした哀しさがないからだと改めて気づかされました。