源氏イラスト訳【若紫398】忘却 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏イラスト訳【若紫398】忘却

君は、男君のおはせずなどして、さうざうしき夕暮などばかりぞ、尼君を恋ひきこえたまひて、うち泣きなどしたまへど、宮をばことに思ひ出できこえたまはず。

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日々の古文速読トレーニングにお役立てください。

おねがい

 

【源氏物語イラスト訳】

 

男君おはせなどて、さうざうしき夕暮などばかり

訳)若紫の姫君源氏の君いらっしゃらなかったりて、もの寂しい夕暮時などだけ

 

 

尼君恋ひきこえたまひうち泣きなどたまへ

訳)亡き尼君慕い申し上げなさっつい涙ぐみなどなさるけれど

 

 

をばことに思ひ出できこえたまは

訳)父宮特に思い出し申し上げなさらない

 

 

【古文】

男君おはせなどて、さうざうしき夕暮などばかり尼君恋ひきこえたまひうち泣きなどたまへをばことに思ひ出できこえたまは

 

【訳】

若紫の姫君源氏の君いらっしゃらなかったりて、もの寂しい夕暮時などだけ、亡き尼君慕い申し上げなさっつい涙ぐみなどなさるけれど父宮特に思い出し申し上げなさらない

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【君】…若紫の姫君

■【は】…取り立ての係助詞

■【男君】…源氏の君をさす

■【の】…主格の格助詞

■【おはせ】…サ変動詞「おはす」未然形

■【ず】…打消の助動詞「ず」連用形

■【など】…例示の副助詞

■【し】…サ変動詞「す」連用形

■【て】…単純接続の接続助詞

■【さうざうしき】…シク活用形容詞「さうざうし」連体形

【さうざうし】…もの寂しい

■【など】…例示の副助詞

■【ばかり】…限定の副助詞

■【ぞ】…強意の係助詞(結びの流れ)

■【尼君】…若紫の祖母

■【を】…対象の格助詞

■【恋ひ】…ハ行上二段動詞「恋ふ」連用形

【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形

※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒故尼君)

■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)

■【て】…単純接続の接続助詞

■【うち泣き】…ちょっと泣くこと。つい涙ぐむこと

■【など】…例示の副助詞

■【し】…サ変動詞「す」連用形

■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)

■【ど】…逆接の接続助詞

■【宮】…父である兵部卿宮

■【をば】…~を。~は「を」の強調

※【を】…対象の格助詞

※【ば】…強意の係助詞「は」の濁音化

■【ことに】…ナリ活用形容動詞「ことなり」連用形

※【ことなり】…特別だ。格別だ

■【思ひ出で】…ダ行下二段動詞「思ひ出づ」連用形

【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形

※【きこゆ】…謙譲の補助動詞(作者⇒兵部卿宮)

■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)

■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

☆本日の『源氏物語』☆

 

若紫の君は、「男君(光源氏)」のいない時は、

時々、亡き尼君を思い出しているようですね。

 

 

ただ、あまり会いに来てくれなかった父宮のことは、

だんだん忘れていってるようです。

 

笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 

「君」というのは、古文では、男にも、女にも使われます。

 

 

今回は、若紫にも、光源氏にも、「君」と使いたいので、

光源氏のほうを、「男君」と言っているんですね。

 

女のほうを「女君」と言う場合もけっこうあります。

 

また、「宮」と出てきたら、皇族をさすので、

今回の巻では、若紫の父である「兵部卿宮」でしたね!

 

口笛


 

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