源氏イラスト訳【若紫377】女人教育
君は、御衣にまとはれて、臥したまへるを、せめて起こして、
「かう、心憂く、なおはせそ。…」
ーーーーーーーーーーーーーーー
YouTubeにもちょっとずつ「イラスト訳」の動画をあげています。
日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
【源氏物語イラスト訳】
君は、御衣にまとはれて、臥したまへるを、
訳)若紫の姫君は、お召物にくるまって、横になっていらっしゃったのを、
せめて起こして、
訳)無理に起こして、
「かう、心憂く、なおはせそ。
訳)「このように、辛そうにしていらっしゃるな。
【古文】
君は、御衣にまとはれて、臥したまへるを、せめて起こして、
「かう、心憂く、なおはせそ。…」
【訳】
若紫の姫君は、お召物にくるまって、横になっていらっしゃったのを、無理に起こして、
「このように、辛そうにしていらっしゃるな。…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
■【君(きみ)】…若紫の姫君
■【は】…取り立ての係助詞
■【御衣(おんぞ)】…お召し物
■【に】…対象の格助詞
■【まとはれ】…ラ行下二段動詞「まとはる」連用形
※【まとはる】…くるまる(「まつはる」と同じ)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【臥(ふ)し】…サ行四段動詞「臥す」連用形
※【臥す】…横になる
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒若紫)
■【を】…対象の格助詞
■【せめて】…無理に(副詞)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【かう】…このように(「かく」のウ音便)
■【心憂く】…ク活用形容詞「心憂し」連用形
※【心憂(こころう)し】…つらい。いやだ
■【な~そ】…~するな
※【な】…陳述の副詞〈禁止〉
※【そ】…禁止の終助詞
■【おはせ】…サ変動詞「おはす」未然形
※【おはす】…「あり」の尊敬語(光源氏⇒若紫)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
若君(=若紫)は、
わけが分からず二条院に連れて来られたことで、
どうしてよいか分からず、臥せっているようです。。。
光源氏は、そんな彼女を無理に起こして、
女性としてのあり方を、これから教えようとします。
女人教育のはじまりです。
「な~そ」という〈禁止〉の陳述表現は、入ってますか?
陳述の副詞が出てきたら、
直後に、呼応する表現がないか、確かめるクセを身につけていきましょうね!