源氏イラスト訳【若紫270】袖 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏イラスト訳【若紫270】袖

いとすごげに荒れたる所の、人少ななるに、いかに幼き人恐ろしからむと見ゆ。例の所に入れたてまつりて、少納言、御ありさまなど、うち泣きつつ聞こえ続くるに、あいなう、御袖もただならず。

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おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

いとすごげに荒れたる人少ななる

訳)とてもぞっとするくらい荒れ人気も少ない場所に

 

 

いかに幼き人恐ろしから見ゆ

訳)どんなに幼い子(=若紫)には恐ろしいことだろう思われる

 

 

例の入れたてまつり

訳)いつもの入れ申し上げ

 

 

少納言ありさまなどうち泣きつつ聞こえ続くるに、

訳)少納言の乳母が、尼君ご臨終の有様などを、思わず泣きながら申し上げ続けると、

 

 

あいなうただならず

訳)わけもなく涙で並々でなく濡れる

 

【古文】

いとすごげに荒れたる人少ななるいかに幼き人恐ろしから見ゆ例の入れたてまつり少納言ありさまなどうち泣きつつ聞こえ続くるに、あいなうただならず

 

【訳】

とてもぞっとするくらい荒れ人気も少ない場所にどんなに幼い子(=若紫)には恐ろしいことだろう思われるいつもの入れ申し上げ少納言の乳母が、尼君ご臨終の有様などを、思わず泣きながら申し上げ続けると、わけもなく涙で並々でなく濡れる

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【いと】…とても

■【すごげなる】…ナリ活用形容動詞「すごげなり」連体形

※【すごげなり】…ぞっとするくらいである

■【荒れ】…ラ行下二段動詞「荒(あ)る」連用形

■【たる】…完了(存続)の助動詞「たり」連体形

■【の】…同格の格助詞

■【人少ななる】…ナリ活用形容動詞「人少ななり」連体形

※【人少(ひとずく)ななり】…人けが少ない

■【に】…場所の格助詞

■【いかに】…どんなに~か

■【幼き人】…幼い人。若紫をさす

※【幼き】…ク活用形容詞「幼し」連体形

■【恐ろしから】…ク活用形容詞「恐ろし」未然形

■【む】…推量の助動詞「む」連体形

■【と】…引用の格助詞

■【見ゆ】…思われるヤ行下二段動詞

■【例の】…いつもの

■【に】…場所の格助詞

■【入れ】…ラ行下二段動詞「入る」連用形

■【たてまつり】…ラ行四段動詞「たてまつる」連用形

※【たてまつる】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【て】…単純接続の接続助詞

■【少納言】…少納言の乳母(めのと)。若紫つきの女房

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒尼君)

■【ありさま】…有様。ようす

■【など】…例示の副助詞

■【うち―】…思わず~。なんとなく~接頭語

■【つつ】…継続の接続助詞

■【聞こえ】…「言ふ」の謙譲語(作者⇒光源氏)

■【続くる】…カ行下二段動詞「続く」連体形

■【に】…単純接続の接続助詞

■【あいなう】…ク活用形容詞「あいなし」連用形ウ音便

※【あいなし】…(連用形の形で)わけもなく

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)

■【袖(そで)】…衣服のそで。涙の比喩に用いられる

■【も】…強意の係助詞

■【ただならず】…並々でない

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

☆本日の『源氏物語』☆

 

「あいなう」というのは

ク活用形容詞「あいなし」の連用形ウ音便です。

 

この連用形は、直後の「御袖もただならず」にかかっていきます。

 

「御」は光源氏への敬意表現ですので

 

「あいなく」は、この光源氏の袖が涙で濡れるようすを

「わけもなく」と表しているのでしょう。

 

「源氏物語」では、このように一文が入り組んだ表現も多いので、

「どこにかかるか」という、修飾関係にも着目して読むといいですよ。

 

口笛


 

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