源氏物語イラスト訳【若紫216】世語り | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【若紫216】世語り

「世語りに人や伝へむたぐひなく憂き身を覚めぬ夢になしても」

思し乱れたるさまも、いと道理にかたじけなし。

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おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

世語り伝へ

訳)世間の語り草として語り伝えるでしょう 

 

 

たぐひなく憂き覚めなし

訳)比べるものがないほど辛い我が身目覚めることのない夢の中のことするとし

 

 

思し乱れたるさまいと道理にかたじけなし

訳)お気持ちが乱れなさている様子本当にもっともなことで恐れ多い

 

 

【古文】

世語り伝へたぐひなく憂き覚めなし

思し乱れたるさまいと道理にかたじけなし

 

【訳】

世間の語り草として語り伝えるでしょう 
 比べるものがないほど辛い我が身目覚めることのない夢の中のことするとし

お気持ちが乱れなさている様子本当にもっともなことで恐れ多い

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【世語(よがた)り】…世間の語り草

■【に】…資格の格助詞

■【人】…世間の人々

■【や】…疑問の係助詞

■【伝へ】…ハ行下二段動詞「伝ふ」未然形

■【む】…推量の助動詞「む」連体形

■【たぐひなく】…ク活用形容詞「類なし」連用形

※【類(たぐひ)無し】…比べるもののない

■【憂(う)き】…ク活用形容詞「憂し」連体形

■【身(み)】…我が身(※和歌中では自分自身に用いる)

■【を】…対象の格助詞

■【覚(さ)め】…マ行下二段動詞「覚む」未然形

■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形

■【に】…動作の結果の格助詞

■【なし】…サ行四段動詞「為す」連用形

※【為(な)す】…する

■【ても】…たとえ~としても連語

■【て】…単純接続の接続助詞

■【も】…強意の係助詞

■【思(おぼ)し乱(みだ)る】…お気持ちが乱れなさる

※【思す】…「思ふ」の尊敬語(作者⇒藤壺宮)

※【乱れ】…ラ行下二段動詞「乱る」連用形

■【たる】…完了(存続)の助動詞「たり」の連体形

■【さま】…様子

■【も】…強意の係助詞

■【いと】…たいそう。ほんとうに。とても

■【道理(どうり)なり】…もっともなことだ

※【に】…ナリ活用形容動詞「道理なり」連用形活用語尾

■【かたじけなし】…恐れ多い。もったいない

 

重要古語一覧はこちら

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☆本日の『源氏物語』☆


光源氏の最愛の女性、藤壺宮から、光源氏に対する返歌です。

 

贈答歌は、男の和歌を受け、その中のフレーズや単語を一つのキーワードとして、返歌ではその語を中心とした和歌の世界をくり広げます。

 

今回の藤壺の返歌は、「夢」というキーワードを使っています。

 

光源氏が、この逢瀬を「夢のような出来事」として、いつまでも続いてほしいものと捉えているのに対して、

 

藤壺宮は、たとえ現実とは程遠い夢のような出来事ではあっても、この逢瀬の事実は消えないことを憂えているのです。

 

道ならぬ恋、あってはならない逢瀬――。

もし、世間に知られてしまったら…と恐れおののいているのですね。

 

ガーン

 

 

 

 


 

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