源氏物語イラスト訳【若紫217】命婦の君 | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳

源氏物語イラスト訳【若紫217】命婦の君

命婦の君ぞ、御直衣などは、かき集め持て来たる。

殿におはして、泣き寝に臥し暮らしたまひつ。御文なども、例の、御覧じ入れぬよしのみあれば、

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

YouTubeでも『源氏物語』を速習できる動画を作成しています。

けっして面白いものではありませんが、

がんばって視聴してもらうと、古文の速読力が身についてきます。

ためしに見てみてくださいねっ♪

おねがい

【源氏物語イラスト訳】

 

命婦の君直衣などは、かき集め持て来たる

訳)命婦の君が、源氏の君のお直衣などを、かき集め持って来てしまった

 

 

殿おはし

訳)お邸お帰りになっ

 

 

泣き寝臥し暮らしたまひ

訳)泣きながら寝る状態で横になって過ごしなさっ

 

 

など例の御覧じ入れよしのみあれ

訳)手紙などいつものように、お入れなさら ない主旨の報告ばかりあるので

 

 

【古文】

命婦の君直衣などは、かき集め持て来たる

殿おはし泣き寝臥し暮らしたまひなど例の御覧じ入れよしのみあれ

 

【訳】

命婦の君が、源氏の君のお直衣などを、かき集め持って来てしまった

お邸お帰りになっ泣きながら寝る状態で横になって過ごしなさっ手紙などいつものように、お入れなさら ない主旨の報告ばかりあるので

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

■【命婦(みょうぶ)の君】…藤壺宮付きの女房

■【ぞ】…強意の係助詞

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)

■【直衣(のうし)】…男の装束

■【など】…例示の副助詞

■【は】…強意の係助詞

■【かき集め】…マ行下二段動詞「かき集む」連用形

■【持て来(き)】…カ変動詞「持てく」の連用形

■【たる】…完了の助動詞「たり」連体形

■【殿(との)】…邸宅。ここでは光源氏の里邸をさす

■【に】…場所の格助詞

■【おはし】…サ変動詞「おはす」連用形

※【おはす】…「行く」の尊敬(作者⇒光源氏)

■【て】…単純接続の接続助詞

■【泣き寝】…泣きながら寝ること

■【に】…状態の格助詞

■【臥(ふ)す】…横になる

■【暮らす】…過ごす。日々を送る

■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」連用形

※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【つ】…完了の助動詞「つ」終止形

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)

■【文(ふみ)】…手紙

■【など】…例示の副助詞

■【も】…強意の係助詞

■【例(れい)の】…いつものように

■【御覧じ入る】…ご覧になる。御目に入れる

※【御覧じ】…サ変動詞「御覧ず」連用形

※【御覧ず】…「見る」の尊敬(作者⇒藤壺宮)

※【見入る】…目に入れる。見る

■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形

■【よし(由)】…旨。こと。ここでは、そのような状況報告

■【のみ】…限定の副助詞

■【あれ】…ラ変動詞「あり」已然形

■【已然形+ば】…順接確定条件(原因・理由)の接続助詞

 

重要古語一覧はこちら

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

☆本日の『源氏物語』☆


光源氏の最愛の女性、藤壺宮から、光源氏に対する返歌です。

 

贈答歌は、男の和歌を受け、その中のフレーズや単語を一つのキーワードとして、返歌ではその語を中心とした和歌の世界をくり広げます。

 

今回の藤壺の返歌は、「夢」というキーワードを使っています。

 

光源氏が、この逢瀬を「夢のような出来事」として、いつまでも続いてほしいものと捉えているのに対して、

 

藤壺宮は、たとえ現実とは程遠い夢のような出来事ではあっても、この逢瀬の事実は消えないことを憂えているのです。

 

道ならぬ恋、あってはならない逢瀬――。

もし、世間に知られてしまったら…と恐れおののいているのですね。

 

ガーン

 

 

 

 


 

>>次へ

 

>>初めから読む