本感想24「プラナリア」 | それいけ ツナガー!!

本感想24「プラナリア」

ツナガー・おにぎりです。
通勤中はもっぱら読書...
活字離れもあり、折角良い本が読まれずに終わるのは寂しい。

そこで本の感想
読んだ上でデザイナー・おにぎり(←本業です)が
表紙デザイン考えてみました。
1冊でも手に取って読んでもらえたら
皆さんとつながりが持てるような気がします。
(注意:懐具合もありまして本は全て文庫本です、あしからず...)

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それいけ ツナガー!!


vol.24

プラナリア〈山本文緒 著〉
文春文庫


「プラナリア」を読んだ感想です。
5つの短編集です。

プラナリア
春香(25歳)はプラナリアに生まれ変わりたいと思っている。
乳がんの手術以来なかなか社会復帰ができない。
月1回のホルモン注射は、嘔吐やめまい・発熱を招き、やる気を削いでいく。
ある日入院中に知り合った女性・永瀬と再会。
その永瀬のもとでアルバイトを始めるが無断欠勤。
屈折し、出口の見えない生活が続いて行く。

ネイキッド
泉水は36歳。
夫と二人で雑貨店を始め、寝食忘れるほど働き詰めの毎日だったが
二年前、一方的に離婚を切り出され、夫と職を同時に失う。
それ以来 彼女は、無職の生活が続く。
しかし幼い頃からの友人・明日香の子供たちに触れ合い
やがて長い長い夏休みを終えようとする。

どこかではないここ
夫がリストラされ下請け会社に出向。
給料は前の半分以下に。
それ以来深夜のディスカウントストアでパート働くようになる主婦。
数時間の睡眠、弁当作り、母親の世話、義父の見舞いと
目の前のことでいっぱいいっぱい。
だが失望や絶望しているわけでもない。
娘の外泊、息子への叱咤。パート先での出来事で
永久就職という主婦の生活に少しずつだが変化を生まれて行く。

囚われ人のジレンマ
かつて心理学を学んだ美都は、いま25歳OL。
実家からいまだに仕送りしてもらっている大学院生の朝丘に求婚される。
仕事もやり手でもなく、学生時代からの付き合いで淡々と続く関係もあり
なかなか結婚を受け入れることができない。
その裏には、仕事、美都の育った環境、また彼の行動など全てにおいて
知らず知らずのうちに、成功恐怖の感情に支配されていた。

あいあるあした
かつて懸命に働くも妻は寂しさから浮気をし離婚する。
それ以来、居酒屋を営む真島。
公園で寝泊まりし、ふらっと店に現れ客の手相を見るすみ江。
その彼女に普通の生活をさせようと働きかけるが翻弄されてばかり。
しかしそんな親切心、不憫に思うことが
実は先入観や偏った独りよがりの考えだったことに気付く。

4話とも立場が違えど無職の人物が登場します。
ある話は、その生活から抜け出せない。
またある話は、自分に非があることに気付き動き出す。
またある話は、それが決してマイナスではないと思う。
と、いろいろなエピソードが詰まった1冊です。
読んで共感し今の生活を見直す人。
また今まで知らなかった別世界に触れる人。
読みやすく、なかなか奥が深い1冊でした。

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では読み終わったうえで
おにぎりが感じたイメージで
「プラナリア」の表紙をデザインしてみました!


それいけ ツナガー!!






























皆さんプラナリアって知ってますか?
淡水・海水のきれいな水に住む扇形動物の仲間です。
熱帯魚のお店でも見られるようです。
文中にありますが切っても切っても再生するそうで
例えば4つに切ったら4体で再生する不思議な生き物です。
本書のデザインは、そのイメージでしょうか?

おにぎりは別の視点でデザインしました。
前にも言ったように無職の人物が登場する点で
思うようにいかない、またあえて職を放棄する
そんな意味を込め履歴書をモチーフにデザインしました。


1冊目〈LAST/石田衣良 著〉
2冊目〈スパイラル・エイジ/新津きよみ 著〉
3冊目〈ジウⅠ・ジウⅡ・ジウⅢ/誉田哲也 著〉
4冊目〈無制限/渡辺容子 著〉
5冊目〈金のゆりかご/北川歩実 著〉
6冊目〈ブレイクスルー・トライアル/井園 旬 著〉
7冊目〈凍える牙/乃南アサ 著〉
8冊目〈逃亡作法/東山彰良 著〉
9冊目〈笑う警官/佐々木譲 著〉  
10冊目〈バージョンアップ/小泉すみれ 著〉
11冊目〈殺し屋シュウ/野沢尚 著〉
12冊目〈告白/湊かなえ 著〉
13冊目〈ジャンプ/佐藤正午 著〉  
14冊目〈転落/永嶋恵美 著〉
15冊目〈君に舞い降りる白/関口尚 著〉
16冊目〈サマータイム /佐藤多佳子 著〉
17冊目〈ビンゴ/西村健 著〉
18冊目〈ランドリー/森淳一 著〉
19冊目〈チョコレートゲーム/岡嶋二人 著〉
20冊名〈誘拐症候群/貫井徳郎 著〉
21冊目〈ストロベリーナイト/誉田哲也 著〉
22冊目〈ルアーに恋した日/喜多嶋隆 著〉
23冊目〈青空の卵/坂木司 著〉