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Kierkegaard
『地図』物語を構成する世界地図です。
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Kierkegaard
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「竜は眠る」

王宮の薔薇園に琵琶の音が響く、それはとても穏やかやな響きで、優し音色だった。

キョーコは、久遠が、人として幸せになるのだと理解した。

理解である、でも、感情では、とてもすぐに受け入れられない。

大好きだったのだ、幼い頃から、ずっとずっと大切にしてきた想い、誰よりも大切で大切で、だから、久遠が本当のキョーコと幸せになるのだから、それを知っても涙があふれ出る。

薔薇となった今でも、それは雫になって零れるのだ。

竜王は、薔薇園を訪れ、楽器を奏でるのだ。

それは二胡だったり、琵琶だったり、月琴だったり、薄紅の薔薇の側に座り、音楽を奏でる。

優しい音色、それは、キョーコの心にもゆっくりと沁みていく。

静かに時は流れる、地の騒乱は、静まり、世界は平穏へ、地が荒れなければ、天も荒れない。

でも、少なからず無辜の民の血は流された、その罪は贖う(あがなう)べきだ。

真君は、その罪を贖罪するために、しばらくの間蟄居の身となる、彼の心は、血の持つ労りでやがて癒されるだろう。

キョーコは、薔薇のままだった。

キョーコをひとなりにする力を持つ竜王は、彼女の心が癒えるまで待つのだ。

彼女の心が少しでも軽くなるように、何も言わず、美しい音色を奏でる。

時は満ちて、今宵もまた、蓮は琵琶を奏でる。

天空に蒼い月があった。

「蓮さま・・・」

「キョーコ?」

「わたしは、あなたが奏でる音色が好きです」

「そう、良かった」

「私は、あなたをもっと知りたいです」

「側においで」

「はい」

キョーコは、ひとなりになって、蓮の側に横たわる。

蓮は、キョーコの髪を優しく撫でた。

「私は、君が好きだよ」

「私も、あなたが好きな気がします」

「それは良かった」

ほんの少しだけ遠回りした二人は、蒼い月が薔薇園を照らす夜に結ばれた。

二人は祝福され、次代の天帝たる竜を産んだ。

世界は、未来は、続いていく。



Kierkegaard
(最終話なのに・・・手抜きな挿絵である、絵コマで力つきた)

まあ、なんだな、行き当たりばったり始まり、終わる、それが私の二次である。