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Kierkegaard
『地図』物語を構成する世界地図です。
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Kierkegaard
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「薔薇と涙」

麒麟は、竜王の腕(かいな)に抱かれしばし眠ります。本性を解放されたと言っても、気を失うほど程の精気を二度失ったのです、天空の秘密の薔薇の園に月の光が差し込み、澄み切った清浄な光と精気がキョーコの内を満たすにはしばしの時間が必要だった。

蓮は優しく麒麟の背を撫でます、優しいぬくもりと、眠っているとはいえ母の優しい想いに抱かれ、キョーコは夢を見た。

それは眠る母である青薔薇が見せた夢なのか、天帝と青薔薇の精の恋と成就と、新しい命の誕生と喪失、父の落涙、母の悲哀、キョーコへの溢れんばかりの想いにいつしか麒麟の瞼に涙があふれ、薔薇園の地に浸みを作る。

蓮はそっとその涙を優しく吸うのだ、優しく撫でられ、抱かれ、時が満(みつる)、麒麟はキョーコの姿を形作った。

まだ眠るキョーコを優しく抱き上げ、腕を振り上げ、単衣を造りだしキョーコにかぶせた。

それから蓮は、天帝の待つ、天宮へ彼女を連れて行った。

「キョーコ・・・吾子よ、お帰り」

天帝は、キョーコを蓮から受け取り優しく抱きしめ、その頭を撫でた。

「緊急事態だったので、宝珠の力と青薔薇の精気を少し使って、本性のひとつを呼び出しました」

「そうか、地で何が起こっている?」

「亡国の神獣が動き、千年前の遺恨で騒乱を起こそうとしています」

「地が荒れれば、天もまた荒れる」

「命を」

「四神に命ずる、此度の騒乱を画策した神仙を討伐せよ」

「はッ」

天帝の前には、三神も参上していたのだ。

「蓮、黄国に行くのか?」

「首謀者は、誰かわかっているようだな」

「まあね」

***

黄国、とある場所。

「天帝が、気づいたみたいだね」

「さすがに天軍は出さずに、四神に命じて事を荒立てないようしたみたいだ」

「それよりも麒麟が天にいるのは拙いな」

「大丈夫、人質がいるから、あの人質のために、媛さんはまた地に降りるよ、本性が目覚めたから利用価値大だし」

「そうだね」

千年前、天と地を巻き込む騒乱があった、中国の四国は海底に沈んだ。

その騒乱の原因とは、何だったのか、蓮は知っていた。
 
続く その15


Kierkegaard

(色塗りは、難しいと思います、センスと根気と丁寧さ、わしにはないorz)