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Kierkegaard
『地図』物語を構成する世界地図です。
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Kierkegaard
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「お姫さまを探せ」

後宮の水路(みち)を通り三神一行は竜王で青竜の蓮の居城である竜宮へ到着した。

「おい、蓮のヤローはどこだ!」(ショー)

「これは、これは、大国を守護する各々方が、いらせまいらせ」

「・・・蓮は、寝所か」(レイノ)

「お待ちくださいませ、蓮さまは花嫁に気を送られて疲れてお休みになさっております、どうぞこちらで、お待ちくださいませ。さあ、酒肴を、持ってまいれ」

「は、花嫁って何ですか」(光)

「皆様はご存じなかったのですか、薔薇姫様が生誕のおり、天帝が竜王妃とお決めになりました」

「・・・聞いてないぞ」(レイノ)

三神は茫然自失じゃなくて、失恋決定に自棄酒もいいかなと思わなかった。

彼らは、蓮の性格を知り抜いている、他に想う男がいる女に簡単に手をだす男ではないのだ。

三神は、竜の長老の止める言葉も聞かず、ずかずかと蓮の寝所に入った。

そして絶句した。

事のあとように、こんこんと眠る二人の寝姿に、キョーコの頬はバラ色で、蓮の胸に抱かれスヤスヤと眠っていた。

「・・・おい、蓮、手前は」(ショー)

ショーの絶叫に、二人は目覚めた。

「きゃー」

「元気になったみたいだね?あ、大丈夫何もしてないから、君が死にそうだったから、気を分け与えただけだから」

硬直したキョーコには、何も聞こえなかった、蓮は薄衣をキョーコに素早く着せると、仕女を呼び、身支度を整えさせるよう指示をだした。

蓮も素早く身支度を整えると三神の待つ客室に向かった。

「君たちも無粋だね」

「何だと、このヤロー、手、手をだしたのか」

「気を分け与えただけだ、姫は昏い気にあたって今にも消えてしまいそうだったからね」

「ほう、それなら別に裸でなくてもいいのではないか」

「寒そうだったから暖めてあげたの」

「・・・」

「あの気の正体は、亡国の神獣の気だ、俺は、君たちより長生きだからね、あの気に覚えがあった」

レイノは齢千年を越えているのだ、他の三神は百年ちょっとを越えたくらいで、一族の長となって間もないのである。

「何をたくらんでるんだろうな」(光)

「姫さんの想い人は、あの邪気の中だと、どうなっているかわからないな」(ショー)

「一応、水龍と火竜に調査に行かせたけど、そろそろ戻ってくるころかな?」(蓮)

「蓮さま、水龍と火竜から連絡が、水鏡を持ってこさせましょうか?」

「ああ、頼む」

水鏡に映る映像が少しぼやけていた、水と火で蒸気が出ているのである。

「それで、私の守護する土地で何が起こっている」

「一か月前までは、あの宮城は平和でした、が、隠居している当主の父の許に後添いとなる姫が、十三国から輿入れしてからおかしなことに」

「十三国?果ての国から、王宮でなく要の藩に輿入れだと」(レイノ)

「姫といっても、正妃の姫でなく、妃(ひん)の一人が産みし姫です。が、この姫さんが来てから、宮城でおかしなことが頻発して、当主と長男が病にかかり床に伏しているようです、その病も死病とのこと」

「君たちは、普通の病だと思っていない」

「これを見てください、宮城の周囲に結界が張ってありました」

「その石は、黄国の」

「天と地を結ぶ黄国の神仙も関係するというのか」(蓮)

「何やら不穏な動きがあるようだね」(レイノ)

「天宮に報告する必要があるね、千年前の遺恨が、前と同じような天地騒乱を起こさないために」(蓮)

客室の前に来たキョーコが、静かに扉を開き中へ入ろうとしたときに、久遠が死病でいまにも死にそうだと知った。

「・・・死病、久遠が、私、行かなきゃ」

「ん、誰か扉の前にいたような」(レイノ)

「誰もいないよ」(光)

「姫は、遅いなあ」(ショー)

「呼びに行かせて、ずいぶん経つのに、ま、まさか」

蓮は、宮城をくまなく探させたが、キョーコは、いなかった。

続く その11  へ

Kierkegaard
(あ、背景を忘れた、話と挿絵は関係ないのである。うにょうにょな線だな、もういや)