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『地図』物語を構成する世界地図です。
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その前の話 その1 その2 その3 その4 その5
その6 その7 その8その9 その10
「ランナー」
薔薇姫は、竜宮から久遠の許へ行くのだ。
「どうしたら・・へ行けるのかしら?」
キョーコは、竜宮から久遠の許へ行く水路(みち)なぞ知りません、ふらふらと庭を彷徨っていました、そこに竜宮の使いと呼ばれる眷属に出会い、奥庭の清水が湧き出る井戸へ案内してくれました。
「ありがとうございます」
「娘さんあの国は、邪気でいっぱいですよ、わしらのように弱いものは、取り込まれ元の本性に戻ってしまうよ」
「想う方が死病を彷徨っているのです、何か助ける方法を知りませんか?」
「竜王さまの宝珠なら何とかなるかもしれないが・・・」
キョーコは、竜王蓮の寝所に戻ると、枕元の宝珠を大事に懐に仕舞うと、奥庭の水路(みち)を通り、久遠の許へ急ぎます。
水路(みち)は、宮城の寝殿近くにある庭園の井戸と繋がっていました。
キョーコは、あたりを窺い、藩主の寝所へ向かいます。(王宮と似たような造りだからわかるのである)
廊下を歩いていると仕女が通ります、キョーコは柱の物陰に隠れました。
「久遠さまは、今夜が峠だそうよ、お可哀想に、父君である藩主さまも重病だし、どうなっちゃうのかしら」
キョーコは、息をのみ、急ぎ仕女の出てきた部屋へ入ります。
青白い顔をして、息も絶え絶えな久遠を目にして、胸がつぶれそうです、急ぎ久遠の枕元へ駆け寄ります。
「久遠、久遠、しっかりして、助けてあげるから」
「キョーコ、キョーコ、俺はもう死んだの、君に逢えるなんて」
「あなたに逢いに飛んできたの、これを触って、久遠」
キョーコは、懐から宝珠を取り出し、久遠の心の臓に当てます、が、目に見えた効果が現れません。
「どうしよう、どうしたら」
「もういいんだよ、キョーコちゃん、君に最期に逢えただけでも・・・」
「嫌ー、死んじゃ嫌ー、久遠、久遠」
久遠は、褥から上半身で起き上がるとキョーコを胸に抱き寄せ、口づけを落とします。
優しくて甘い口づけですが、キョーコの瞳から涙がこぼれます。
涙が宝珠にかかると内から清浄な光が、寝室を明るくします、その光を浴びた久遠の体に生気が戻ってきます。
宝珠は竜王と天帝しか使えないのです、天帝の御子である半身が竜である、キョーコの涙が触媒となり、効能を発揮したのである、だが、ヒトである身のキョーコは、自身の気も久遠に与えたために、意識を手放すこととなる。
「どうしたのキョーコちゃん」
「久遠が助かって良かった・・・」
「キョーコ、キョーコ」
***
竜宮では、キョーコの不在が判明して大騒ぎだった。
「薔薇姫は、久遠の許か、一体だれが水路(みち)を教えたんだか」
「それより、急ぎ連れ帰らないと」
「・・ん」
「どうした蓮」
「宝珠が使われたようだな、まずい、急がないと薔薇姫が消滅する」
「水路(みち)をすぐ通せ、久遠の寝所だ!」
老父が水路(みち)を通そうとしたが、術が跳ねかえり、ままならない。
「老父、どういうことだ」
「結界が強まっております、水路(みち)が跳ね返されました」
「ち、飛ぶぞ!」
四神は、本性に戻りいざ、薔薇姫の許に急いだ。
***
黄国の神仙が住まう仙境の外れの洞窟に、古に滅ぼされた亡国の神獣が住んでおりました。
「薔薇姫が、網にかかったらしい」
「ほう、それは重畳、すぐにこちらへ連れてこれるか?」
「いや、無理だな、こちらへ来る前に消滅しそうだ」
「どういうことだ?」
「気を使いすぎて、保ってられないらしい」
「それは、残念、薔薇姫の本性である麒麟を見たかったのにな」
「計画は、上手くいっているのか?」
「大体なあ、あと少しで大国の地方で戦が起こるはずだ、千年前と同じにな」
「滅びてしまえばいいんだ、この世界なんて」
続く その12へ
(ピエタである(うそ)、ペン画の練習中、構図に意味は無いのである)
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薔薇姫は、竜宮から久遠の許へ行くのだ。
「どうしたら・・へ行けるのかしら?」
キョーコは、竜宮から久遠の許へ行く水路(みち)なぞ知りません、ふらふらと庭を彷徨っていました、そこに竜宮の使いと呼ばれる眷属に出会い、奥庭の清水が湧き出る井戸へ案内してくれました。
「ありがとうございます」
「娘さんあの国は、邪気でいっぱいですよ、わしらのように弱いものは、取り込まれ元の本性に戻ってしまうよ」
「想う方が死病を彷徨っているのです、何か助ける方法を知りませんか?」
「竜王さまの宝珠なら何とかなるかもしれないが・・・」
キョーコは、竜王蓮の寝所に戻ると、枕元の宝珠を大事に懐に仕舞うと、奥庭の水路(みち)を通り、久遠の許へ急ぎます。
水路(みち)は、宮城の寝殿近くにある庭園の井戸と繋がっていました。
キョーコは、あたりを窺い、藩主の寝所へ向かいます。(王宮と似たような造りだからわかるのである)
廊下を歩いていると仕女が通ります、キョーコは柱の物陰に隠れました。
「久遠さまは、今夜が峠だそうよ、お可哀想に、父君である藩主さまも重病だし、どうなっちゃうのかしら」
キョーコは、息をのみ、急ぎ仕女の出てきた部屋へ入ります。
青白い顔をして、息も絶え絶えな久遠を目にして、胸がつぶれそうです、急ぎ久遠の枕元へ駆け寄ります。
「久遠、久遠、しっかりして、助けてあげるから」
「キョーコ、キョーコ、俺はもう死んだの、君に逢えるなんて」
「あなたに逢いに飛んできたの、これを触って、久遠」
キョーコは、懐から宝珠を取り出し、久遠の心の臓に当てます、が、目に見えた効果が現れません。
「どうしよう、どうしたら」
「もういいんだよ、キョーコちゃん、君に最期に逢えただけでも・・・」
「嫌ー、死んじゃ嫌ー、久遠、久遠」
久遠は、褥から上半身で起き上がるとキョーコを胸に抱き寄せ、口づけを落とします。
優しくて甘い口づけですが、キョーコの瞳から涙がこぼれます。
涙が宝珠にかかると内から清浄な光が、寝室を明るくします、その光を浴びた久遠の体に生気が戻ってきます。
宝珠は竜王と天帝しか使えないのです、天帝の御子である半身が竜である、キョーコの涙が触媒となり、効能を発揮したのである、だが、ヒトである身のキョーコは、自身の気も久遠に与えたために、意識を手放すこととなる。
「どうしたのキョーコちゃん」
「久遠が助かって良かった・・・」
「キョーコ、キョーコ」
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竜宮では、キョーコの不在が判明して大騒ぎだった。
「薔薇姫は、久遠の許か、一体だれが水路(みち)を教えたんだか」
「それより、急ぎ連れ帰らないと」
「・・ん」
「どうした蓮」
「宝珠が使われたようだな、まずい、急がないと薔薇姫が消滅する」
「水路(みち)をすぐ通せ、久遠の寝所だ!」
老父が水路(みち)を通そうとしたが、術が跳ねかえり、ままならない。
「老父、どういうことだ」
「結界が強まっております、水路(みち)が跳ね返されました」
「ち、飛ぶぞ!」
四神は、本性に戻りいざ、薔薇姫の許に急いだ。
***
黄国の神仙が住まう仙境の外れの洞窟に、古に滅ぼされた亡国の神獣が住んでおりました。
「薔薇姫が、網にかかったらしい」
「ほう、それは重畳、すぐにこちらへ連れてこれるか?」
「いや、無理だな、こちらへ来る前に消滅しそうだ」
「どういうことだ?」
「気を使いすぎて、保ってられないらしい」
「それは、残念、薔薇姫の本性である麒麟を見たかったのにな」
「計画は、上手くいっているのか?」
「大体なあ、あと少しで大国の地方で戦が起こるはずだ、千年前と同じにな」
「滅びてしまえばいいんだ、この世界なんて」
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(ピエタである(うそ)、ペン画の練習中、構図に意味は無いのである)