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Kierkegaard
『地図』物語を構成する世界地図です。
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Kierkegaard
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「竜王の花嫁」

青竜は彼の人を想い涙する少女に言いました。

「君を、彼のところへ、連れていってあげようか」

「本当に?久遠のところへ連れて行ってくれるの?お願い私を、彼の元へ」

「ああ、飛んでね。おいで」

キョーコは、蓮の瞳に囚われ、ゆっくりと近づきます、蓮は彼女を優しく抱きしめると、ふわりと蒼穹へ浮き上がります。

「貴方は、誰?」

「青竜、蓮」

「四神の青竜さまだったのですね、そ、そんな、恐れ多いことを、も、申し訳ありません、下におろしてください」

「だめ、約束しただろう、連れて行くと」

蓮の体が本性である竜に変化します、キョーコの体は蓮の背に、キョーコは黄竜である天帝と蒼い薔薇の精が結ばれ生を受けました、竜である蓮と相性が良いのです、精の気をなくしているのに、まるで宝玉の如き気を発し、神仙がみればその眩さに目がくらむほどでした。

蓮は、赤子だったキョーコを知っています。竜王である蓮は天帝の甥でもあるのです、天帝の后である青薔薇の精の胸に抱かれ、輝く幼子、天帝はご機嫌伺いに来た青竜で竜王の蓮に言いました。

「おい蓮、竜王の后が誕生したぞ」

「まだ赤子ではありませんか」

「次代の天帝は、竜王であるお前と私の娘であるキョーコとの間に生まれる吾子でなければならない」

「伯父上、何ですかそれは、生まれたばかりなのに許嫁を決めちゃっていいんですか?」

「じゃあ他の四神でいいかな」

「だ、だめです。俺がなります」

蓮の指を小さな赤子のキョーコが掴み離しません、蓮がにっこりほほ笑むと、赤子はにこにこと笑います。

「大きくなったら、僕のお嫁さんになるんだよ」

竜王の花嫁となるはずだった赤子は、17年前に亡国の神獣により天から連れ出された。

蓮は、許嫁であるキョーコを探していた、やっと見つけた少女には、心に想うひとがいた。

はらはらと涙を零す可憐な少女をこのまま竜宮へ攫って行こうかと、蓮はふと思った。

「青竜さま、世界とはこんなに美しいのですか?」

「え、キョーコはあの王宮から出たことがなかったのだね。天と地を治める者たちが理をまもり良い治世をしいているから、世界は美しいのだよ」

「蒼い空が水に映っている、あれが海なのですね」

「ああ、私の住む竜宮は、あの青い海の底にある。寄ってみるかい?」

「いえ、わたくしは、早くあの方に逢いたいのです。久遠さまの住むという・・藩は遠いのですか?」

「王宮への帰路の途中で竜宮へ招待してあげよう、・・藩は、見えて来たよ」

久遠の故郷は、海沿いのLMEの東端にある王国の要の場所です。穏やかな気候、豊な海が恵みを与え、栄えていました。

青竜が藩主の宮城の上空へ、だが、目に見えない昏い気が宮城全体を覆っています。

その気がキョーコの気を吸い、蓮の背中でキョーコは意識を失いました。

「キョ、キョーコ!」


Kierkegaard
(お話の元の落書きを掲載、絵コンテだったり、絵を描いて話を作ってます、浮かんだ場面を絵にするのは楽しいのである)

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