【スパイス初心者専用】 スパイス活用の基本的な考え方 ※こっそり加筆 | C.I.L.

【スパイス初心者専用】 スパイス活用の基本的な考え方 ※こっそり加筆

これまでに何回もさだおの謎の上達具合と共にスパイス料理のレシピを連載してきましたが、今回は 「これから始めよう!」 という方や、「始めてみたけど何すりゃいいかわかんね」 という初心者に向けて、なるべく簡単に


こう考えると楽


という考え方の部分をお伝えいたします。


よって、すでにスパイス料理を日常の食生活に取り入れている方は、いまさら私ごときが偉そうにツベコベ言う事もないのでスルーしてください。

今回のはあくまで 「最初の一歩を踏み出し易くしてスパイス仲間を増やしたい」 ってだけの記事ですので。(ただ間違った事を書いちゃってたらツッコミお願い!)

※より深い理解を得たい場合は、それこそ香取薫先生のようなちゃんとした研究家の本 を読むなり、レクチャーを受けるなりしてね!


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「スパイスに対する考え方」


スパイス料理を作るからといって、何も特別な技法や道具が必要なわけじゃありません。はじめは日頃とあまり変わらない調理方法で料理を作り、「結果的にスパイスの香りが上手に加わればそれでいい」 くらいに考えてしまって構わないと思います。

インド人が家庭でやっていることなんですから、「日本人だから」 「文化が違うから」 と必要以上に難しく考えてはいけません。そうするとただハードルだけが高くなってしまって面倒くさいと感じてしまいます。(これが最大の敵)

インド人に味噌醤油を渡したからって、いきなり絶品和食が作れるわけないじゃん?

それと同じで、まずは 「普通に使う調味料のひとつだ」 程度に考えて種類・香り・簡単な効能を覚え、いつも通りのスタンスで食事を作ればいいのです。風邪っぽい時には長ネギを多めに使おうとか、健康のために納豆を食べておこうとか、胃腸が弱いからヨーグルトを毎日摂ろうとか、スパイスの摂取方法もそれらと同様に考えてください。

ただし "スパイスの香りをより効率よく引き出すための手順""効能に関する注意点" が存在しますから、それだけはしっかり基本を覚えないといけません。特に人体に及ぼす影響については、正しく知っておかないと "健康食のはずのスパイス料理を食べれば食べるほど体調が悪化する" おそれもあります。



「基本となる手順」


・油溶性と水溶性
スパイスは種類によって油に溶けるものと水に溶けるものに分かれます。基本的に油に溶け出すタイプのものは香りを何らかのオイルに移してから他の具材を炒める(または焼く) などし、水に溶けるものはそれよりも後に足すという流れになります。

またスパイスの中には念入りに熱を入れないと嫌な臭いが残るもの (例えばターメリック) や、逆に少しでも焦がすととんでもなく苦くなるもの (例えばフェヌグリーク) がありますので、それらを使う場合は手順に気を遣う必要があります。

ただし使用頻度の高いスパイスで注意が必要なのはターメリックくらいだと思いますので、「ターメリックは油に混ぜ込んで念入りに熱を入れれば苦味や臭みが抜ける」 とだけ覚えておけばなんとかなります。

全体的な流れや油溶性・水溶性の判断方法については、「ホールスパイス(種状のスパイス=粉以外のスパイス) は油に直接入れて、粉になっているスパイスはある程度調理が進んだ段階で入れる」 と覚えておけば問題ないでしょう。(例外はありますがこう覚えておけば致命的な失敗はないはず)


・調理手順
さて、より効率よくスパイスを取り入れるための知識を身に付けるために、次に基本となる調理手順を覚えましょう。

「本格インド料理を正式な調理法で作りたい!」 というわけでないならば、「これだけ覚えておけば何とかなるよ」 というザックリとした基本形が存在します。

1.何らかの油を底の深いフライパンか鍋に敷き、中火程度で温める(サラダ油が無難)
2.油が温まったら種状のスパイス(ホールスパイス) を必要量入れる
3.充分に熱してスパイスの香りを立たせ、なおかつ焦げ付く前にみじん切りの玉ねぎを入れてスパイスと絡める(クミンやマスタードなどは丁度いい頃合いでパチパチ弾けるので目安になる)
4.玉ねぎが透き通ってしんなりするまで炒め、必要ならばニンニクやショウガも入れる

ここまででとりあえずのベースが出来上がります。ホールスパイスはどういう香りを付けたいかで選べば問題ありませんが、はじめはクミンやマスタードシードなどの 「オーソドックスで邪魔をしないもの」 から練習してください。クセの強いスパイスは、場合によっては他のスパイスの香りや具材の風味と喧嘩してしまいます。

後は何を作りたいかによって使う材料や手順が変化しますが、最も一般的な 「日本人が考えるインドっぽいカレー」 を作る場合はおおよそ下記のような流れになります。


5.ターメリックを入れて残っている油と絡めていく
6.火を通す必要がある具材を入れて炒める
7.コリアンダー・クミン・カルダモン・シナモンなどの香りを出すパウダースパイスと、唐辛子粉やブラックペッパーといった辛味(刺激) を出すスパイスを入れる
8.ざく切りにした生トマトかトマト缶を入れて火を通す(粘度が出るまでしっかり火を通す)
9.必要ならば分量分の水を入れて少し煮込む
10.塩で味を調整し、最後にガラムマサラを振りかけて香りを強調したら完成(※スパイスの中には火を入れ続けると香りが飛ぶものがあるので、最後に補強してやる必要がある)

具材の選び方を間違えず、火の通し方や塩味の付け方を (常識の範囲内で) ミスしなければ、これだけで格好が付きます。

ただしスパイスは旨味を出すものではなく、あくまで香りを出すものですから、旨味が足りない場合は具材に工夫したり、最後の手段として (9) の部分で旨味調味料を入れてしまうという方法が考えられます。

インド料理の専門家(シェフ) は旨味調味料を使うことを嫌がり、私も調味料に頼りすぎる事には反対しますが、素人料理なら多少入れたって問題ないでしょう。失敗して捨てるよりマシです。

ただこの手順のように玉ねぎとトマト(+メイン具材) を適量入れれば、それだけでしっかりと旨味を出せます。もし味が薄っぺらくなってしまった場合は、調味料がどうの以前に何か他の原因があると考えた方がいいと思います。(火の通し方とか具材のバランスとか)

またパウダースパイスはホールスパイスの時と同様に、具材の香りと喧嘩しないものを選んでください。ただし 「スパイスは何種類も使えばいいというわけじゃない」 という点にだけ注意が必要です。スパイスは香りを組み立てる(=調和させる) ことが基本ですが、中には相性の悪い香りもあるため、何でもかんでも入れてしまうと単に食べづらい味になってしまうのです。(次項で詳しく説明します)

次にメイン食材についてですが、肉や魚を別のフライパンで焼いておけば (6) と (9) の部分にかかる時間を短縮できるので、台所に余裕があるならフライパン2つで作る方が楽です。別工程でメイン食材に必要なだけ火を通してしまうならば、(6) を抜いて (8) と (9) の間で合わせると丁度いいでしょう。

簡単に言うと、まずは前半部分でスパイスの香りの移った油を作り、そこにみじん切りの玉ねぎを混ぜて "ツナギ" にし、後はそれを他の具材と絡めつつ適度に火を通せばいいだけなのです。

本当に基本はこれだけで、後は知識と経験が貯まってから応用するなり、より本格的なインド料理を覚えるなりすればいいでしょう。

スパイス料理をなるべく短時間で覚えるためのコツは 「難しく考えないでハードルを下げる」 ことです。



「香りの組み合わせ方」

先ほど少し触れたように、スパイスは種類を使えばいいという訳ではありません。よくある 「○○種類のスパイスをブレンド!」 という謳い文句は、初心者の場合は忘れた方が失敗が減ります。(そもそもこの記事は初心者向けという点にご注意ください)

・よく考えずにスパイスを混ぜ合わせると食べづらくなる
・スパイスの種類を増やせば増やすほど角が取れた香りになる
・とんがった風味にしたい場合は使う種類をなるべく減らす

この3点は特に勘違いされている方が多いと思われます。

スパイスの香りは、似て非なる香りと合わさる事によって特徴が弱まり、結果的に角が取れてしまいます。


よってスパイスを何種類も混ぜ合わせ、それらの相性が悪くなく、全体的に食べやすい風味に調ったとしても、それぞれの特徴的な香りが目立たなくなるだけなのです。

ただし慣れてくると だからこその複雑さに心がときめく のですが、その楽しみはビギナーを脱却するまで取っておきましょう。いきなりブレンド研究から始めると少々問題があります。(後述)

日本人が感じる 「スパイシー!」 というのは、主に唐辛子とペッパーの刺激で出されたものですので、とんがった味が好きな場合は唐辛子やペッパーを多めにして、香りを出すスパイスは厳選してください。おそらくそれで求めている刺激的な味に近くなると思います。

逆にマイルドな風味が良いならば、相性の良いスパイスを何種類も混ぜ合わせ、唐辛子やペッパーを控えた方がいいでしょう。

しかしはじめは各スパイスの香りや、火を通した場合にどういう風味に変化するのかといった点から学ばねばなりません。スパイスをそのまま嗅いだ時と、料理となった時の香りとが違う場合があるからです。そのため 最初からブレンド前提で始めるとスパイス個々に対する知識が中々蓄積されない ので、まずは少数のスパイスを使いこなすところから始めた方がいいと思います。

基本的には 【クミン・コリアンダー・ターメリック】 で香りを出し、【唐辛子・ペッパー】 で刺激を付ければ、インド料理っぽい風味が作れます。ひとまずそれで作ってみて、「他のスパイスも使ってより複雑に絡み合った香りを作りたい!」 と思うようになったら、その時は専門家の書いたレシピ本を買って深遠なるスパイス世界に旅立ってください。たぶんシャバに戻ってこれなくなります。



「こんなんでいいんだスパイス料理」

上記のような基本的な手順や知識を覚えたら、後は自由気ままにスパイスで香りをつけまくるだけ。ハンバーグや肉じゃがや焼き魚といったどこの家庭でも作る日本の家庭料理が、ちょっと一手間かけるだけで 「インド文化圏にこういうのありそう!」 というスパイス料理に化けてくれます。

下記はスパイスがより身近に感じられる超お手軽レシピ(及び考え方) です。


・アルゴビは早い話がスパイス風味の塩肉じゃがだろ?
私が少し前にアップしたアルゴビのレシピ をご覧ください。アルゴビとは 「アル=じゃがいも」 と 「ゴビ=カリフラワー」 のカレーで、名前からして 「肉とじゃが」 に近いです。作り方も最初に具材を油で炒めて、最後に調味料で味を調えるところまで一緒です。これらの手順の中にスパイスを混ぜ込む一手間を加えれば、「肉じゃがっぽいお惣菜を作ってたらアルゴビっぽい何かが出来た」 という感動的な結末を迎えられます。


・焼き魚にスパイスで香りを付けようと思ったらバングラ風カレーになった
以前紹介した鯖カレー の時はパンチホロン(数種類のホールスパイスがブレンドされたもの) を使いましたが、なければクミンシードや手元にあるホールスパイスだけでも何とかなります。レシピはとても簡単で、上で説明した油にスパイスの香りを移して刻み玉ねぎと絡めたものに、ターメリックと唐辛子粉を混ぜます。次に別のフライパンで焼いた魚(鯖や秋刀魚がおいしい) と、刻んだ生トマトかトマト缶を入れて、トマトが程良く崩れるくらいに火を入れたら塩で味を調えて完成。これだけで鯖や秋刀魚の青臭さとスパイスの香りが絶妙に混ざり合った絶品魚カレーの出来上がり。塩焼きやバターソテーだけじゃ飽きちゃうなって時にぜひ。(ちなみにバングラデシュの川魚カレーはこれに似た手順で作ります)


・ヨーグルトとスパイスと適当な野菜でインド式の付け合せが火も使わず作れる件
インド式カレーによく合う付け合せに、ライタというヨーグルトを使ったお惣菜があります。これはプレーンヨーグルトに刻んだ玉ねぎ(赤タマネギ推奨) とキュウリを入れ、そこにクミン・黒胡椒・唐辛子粉と塩を混ぜ込めばそれらしい物が出来てしまいます。辛味が苦手なら唐辛子粉の代わりにパプリカ粉でも入れて彩りを加えときゃいいです。ちょっと気を遣いたいならば、少量の油で種状のクミンを炒めてからヨーグルトに混ぜるとか、サワークリームをちょっと入れてみるなどするとより美味しくなります。


・マサラティー(チャイ) は市販のティーパックとちょっとのスパイスだけで出来る
マサラティーが大好きという人も多いかと思いますが、こんなもん店で何百円も出して飲むことないです。家で1杯数十円程度でそれらしいスパイスティーが作れます。まず鍋に牛乳を入れて火にかけ、そこに市販のティーパックを入れます。濃い方が美味しいので安売りのパックを2~3個入れちゃいましょう。温まってきたらシナモン・カルダモン・クローブのパウダーをちょっぴりずつ入れて好みの香りに調節し、最後に砂糖で好みの甘さにしたら完成。各スパイスは小さじどころか耳かきで何杯程度の量しか使わないし、これなら気軽に毎日スパイスを摂取できるし、とってもオススメ。本格的に作りたい場合は茶葉を使って煮出す方法でも構いませんが、私は貧乏性なのでこの廉価版で満足できます。

ついでに最後のマサラティーだけ写真でご紹介。(実は記事を書きながら作ってました)


C.I.L(Charismatic Itabashi Lover)
用意する物は、カップ2杯分程度の牛乳、市販のティーパック2~3個、シナモンチップ少々、カルダモンパウダー小さじ4分の1、クローブ耳かき2~3杯、以上。


C.I.L(Charismatic Itabashi Lover)
牛乳あっためる。
ティーパック入れる。
スパイスぶち込む。
色が出るまで煮る。
好みで甘くする。


C.I.L(Charismatic Itabashi Lover)
カップにこして注ぐ。


C.I.L(Charismatic Itabashi Lover)
うめえ。


このように、スパイスなんて分量と手順さえわかっていれば誰でも簡単に使えます。

どうでしょう?ハードル下がってきましたか?

最初はこんな適当な作り方でも構わないので、まずはスパイスに対する 「難しそう」 というイメージをなくす事が先決です。

スパイスの扱いに慣れてきたら、しっかりした理論を持っている専門家の本を買うなどして、より本格的な料理をより正式な手順で作れるようになればいいんです。


で、そうした基礎の学び方とステップアップに役立つのがこの本。

たった5つのスパイスで!インド家庭料理「カレーとサブジ」

香取薫先生の書いたレシピ本なんですが、この本の素晴らしいところは比較的簡単に手に入る5種類のスパイスを使って、本格的なインド料理が作れてしまう点にあります。

また覚えやすいように最初は 「クミンシードだけ!」 といった具合にごく少量のスパイスを使うところから始まり、そこから段々と使うスパイスの種類が増えていくので、簡単に基礎知識や注意点が学べてしまうという親切設計。

最初に載っているクミンだけを使ったジャガイモのお惣菜を作れるようになれば、とりあえずスパイスを使う際の基本中の基本が身に付くはずなので、後は徐々に具材とスパイスを増やしていけばいいだけです。

今回私が書いているような我流要素の強い適当な作り方だと深くまで理解することが出来ませんから、出来ればこの本だけでも手元に置いておくと本当に理解力に雲泥の差が出ます。



「最後に」

「本格的なインド料理を!」 と意気込んでいる人には聞かせられない台詞ですが、私のように 「日本人が日常の生活にスパイスを取り入れられるようになったらハッピーやん?」 程度の考えしか持っていない人間にとって、大事なのは 「スパイスは遊び道具である」 という気楽でポジティブな思考を持つことです。

「正式な手法・知識」 は間違えてはいけない基本にあたる場合が多いので無視できませんが、それと同じくらい重要なのは 「楽しく遊びながら覚えること」 だと思います。

例えば油を使うお惣菜を作る時に 「この油にスパイスの香りを移したらどんな味になるんだろう?」 とか、「普通に肉魚を焼くだけじゃ面白くないからスパイス風味にしてみよう」 といったように、気軽に実験がてらやってみる程度のスタートでも構わないのです。

むしろそういうスタートの方がインド料理に縛られず、「冷蔵庫のお掃除にスパイスで有り合わせ料理!」 「その日の特売品だけで1品!」 といった具合に即物的なメリットが得られるかもしれません。

ただし、それでも最低限の基礎知識は必要で、いきなり手順も基本も無視して 「えええ?」 という事をやってしまうと単なるインチキ料理にしかならず、自己流が過ぎてスパイスを使う意味がないという状況にもなり兼ねません。

なので、せっかくスパイスの使い方を覚えようとするなら、最初はネットでいいので基本を調べて学び、ある程度慣れてきたら好き勝手にアレンジするという流れが良いでしょう。(一番いいのは専門家の本を買うことですが)

またスパイスの中にはナツメグのように 「大量に摂取すると幻覚を見るよ?」 という強い効能を持つものがあります。さらに人それぞれ血圧も心臓の強さも胃腸の状態も違いますが、スパイスは漢方薬の原料ですから、そうした部分に作用してしまうものも多くあるのです。したがって間違った方法で大量に使うと何があるかわからないため、健康に直結するという意味でも正しい基礎知識は絶対に必要となります。


・個々のスパイスに対して正しい知識を身に付ける
・スパイスの香りや効能を効率よく引き出す手順を覚える
・スパイスを使って楽しく遊びながら色々やってみる

この3点に注意すれば、いつの間にか自然と 「日常の食卓に美味しいスパイス料理が並ぶ」 事になるのではないかと。

特にその日の特売品だけであれこれ作れるようになると、ほんのちょっとの食費で美味しいスパイス料理が食べられる夢のような暮らしが出来ますので、まずはそういう 「下心」 を満たすために頑張ってみましょう。一度覚えてしまうと本当に便利です。

また、私のように半年で90kgあった体重が75kgにまで減るなんてミラクルが起きるかもしれませんから、ますます夢が広がりまくります。(自慢じゃないですが外食が減っただけで特に運動なんかしてません)



■最低限揃えておきたいスパイスと効果・注意点

※薬用として使う場合の効能も書いていますが、使い過ぎは逆効果だという点だけは注意してください。あくまで 「美味しい料理を食べると同時に、健康にも少し良い影響があったらいいな」 程度に考えるべきです。

またこれらは私がネットで適当に調べたものをまとめた内容ですので、鵜呑みにせずご自分でも調べてみてください。



<ホールスパイス=主に種状のスパイス>

・クミンシード
インド料理以外にもトルコ料理やメキシコ料理にも使われる香り高いスパイス。カレーの特徴的な風味はこれによるところが大きい。また爽やかな香りからお菓子にも使える。
[薬用としての効果=食欲増進・消化促進・生理不順・解毒(下痢や腹痛等)]

・マスタードシード
厳密に言うとあのマスタードの原料になる種とは微妙に品種が違うが、香り自体は似た部分がある。熱する事でほんのり甘味や香ばしさが出る。また丁度いいタイミングで弾けるのでスパイスの香りを油に移す際の目安として便利。
[薬用としての効果=血行促進・打ち身・胸や腰の痛み・痛風]

・シナモン
様々な国で使われているスパイスで、特に甘味との相性がいい。親しみある存在だが実は効能が強く、カレー1皿分の摂取でもちょっとした心がけをした方がいい。
[薬用としての効果=血行促進・体温や循環調整・発汗作用・歯痛の緩和・筋肉弛緩効果]
※身体が温まる効果や発汗作用が強いため、夏場の摂取には少し注意が必要。また体内の循環にも影響を及ぼすので、摂取後すぐのマッサージなどは避けた方がいいらしい。

・ベイリーフ(ローレル・月桂樹)
日本人でもカレーやシチューを作る際に使うので馴染みがあるはず。爽やかでお上品な香りがあるので、肉や魚などのニオイ消しに利用するケースが多い。
[薬用としての効果=鎮静やリラックス作用・消化吸収の促進・肌荒れ予防・発毛促進・冷え性やリウマチの緩和]



<パウダースパイス=粉状のスパイス>

・ターメリック(ウコン)
そのままでは独特の土臭さや苦味があるので、調理手順の最初の方で念入りに油に混ぜて熱を入れる必要がある。その手順さえ経れば、色合いだけじゃなく香り全体の底上げをしてくれる縁の下の力持ち。パウダースパイスでも油によく溶けるという点に注意。
[薬用としての効果=胆汁の分泌促進・肝機能改善・抗酸化作用・殺菌効果・皮膚炎・止血効果]

・コリアンダー
いわゆるシャンツァイ・パクチーと呼ばれる香草の種をパウダー状にしたもの。他のスパイスの香りとバッティングし難い特徴があるため、使用頻度がやたらと高い。また種の状態ならば好き嫌いのわかれる "あの香り" はないので安心して使うべし。
[薬用としての効果=消化促進・食欲増進・鎮痛・血液浄化・発汗作用(デトックス効果)]
※薬効とは離れてしまうが防腐・ニオイ消しの効果もある。

・唐辛子粉
レッドペッパー・チリペッパー・カイエンペッパーなどとも呼ばれ、非常に辛味が強い。しかし味自体にはクセがないので、辛味を調節したい場合はこの量を増減させればいい。脂肪燃焼作用や発汗作用が高いためダイエットに効果あり。
[薬用としての効果=発汗作用・食欲増進・脂肪燃焼・体温調節・免疫力向上・老化防止・抗酸化作用・生理痛の緩和]
※刺激が強いため摂取し過ぎると胃炎・腸炎などの原因になる。また食べた翌日のお尻に大ダメージを受ける事も激辛フードマニアの間では有名。身体を温め発汗作用も強いため、夏場の摂取には水分補給を忘れずに。

・カルダモン
カレーやスパイス料理以外にも、お茶・お菓子・ジャムと意外と幅広く使えるスパイス。マサラティーの時に名前を出したがクローブの落ち着いた甘い香りと相性がいい。爽やか系の強い香りがするため、入れすぎると薬臭くなるので注意が必要。
[薬用としての効果=強壮効果・消臭効果・脂肪分解・消化促進・体温調整]
※体温を下げる働きがあると言われているため、冷え性の人は注意が必要かも。

・ナツメグ
ハンバーグを作る際などに使っている家庭も多いはず。甘味のある香りで消臭効果が高く、火を通す事で香ばしさが引き立つ。そのため下ごしらえ段階で肉に加えてそのまま火にかけるといい。ただし香りの相性が悪いスパイスもあるため使用の際には注意が必要。
[薬用としての効果=冷え性・整腸作用・下痢や腹痛の緩和と予防・不眠症]
※大量に摂取すると嘔吐・麻痺・幻覚作用といったステキすぎる副作用が現れる。5g以上の摂取で危険ゾーンと言われているので使用量には本気で注意すべし



<特に親しみのあるスパイス>

・ペッパー(胡椒)
大航海時代にはこれが原因で戦争が巻き起こったほど重要なスパイス。特徴的な刺激ある香りで、日本人が思うスパイシーさに最も近い風味だと思われる。粉でも粒でも使うが刺激(=辛味) が強いので使い過ぎには注意。唐辛子ほどではないがダイエット効果も見込める。
[薬用としての効果=消化促進・食欲増進・血液循環の促進・新陳代謝の活性化]


・ガーリック(にんにく)
臭いが気になるものの、使わない日本人はいないんじゃないかと思うほど食卓に欠かせない食材。スパイスとしても効果が強く、後述する生姜と並んで日本人にとって最も身近なスパイスかもしれない。また日本人が思うカレー粉の香りは、主にクミン・コリアンダー・ターメリック・ガーリックの4つのパウダースパイスで近いものが再現できる。
[薬用としての効果=殺菌や除菌効果・糖分代謝の活性化・新陳代謝の促進・血圧やコレステロールの低下・風邪や扁桃腺にも効果]


・ジンジャー(生姜)
あらゆる国で使われているメジャーな食材。日本でも古くから 「風邪には生姜」 と言われていたくらい強い効能で知られている。日本では摩り下ろして薬味にしたり何かに漬け込んで食べたりするが、スパイスとしても効果が大きい。
[薬用としての効果=殺菌作用による食中毒防止・抗酸化作用・解熱作用・食欲増進・消化促進・神経痛の緩和・血行促進・筋肉痛の緩和]
※効果が強いため妊娠中の摂取は避けた方が安全。


※スパイスと体温変化について
インド式のスパイス料理は身体を温めると思われがちです。しかし実際は一時的に 「カ~ッ!」 と身体が温まって代謝が良くなり汗も出ますが、汗をかいた後は 「ス~~ッ」 と冷えていきます。夏場にカレーを食べるというのは、我慢大会的な意味合い以外に、身体を冷やす効果を狙っている面もあるのです。もし身体の冷えを抑えたいなら、スパイスよりむしろ塩の方が温まります。

ただしこれはインド式(もしくは暑い国) のレシピでスパイスを摂取した場合に限り、使用する量によっては保温効果や体温上昇効果が、体温を下げる効果に勝る場合もあります。

この辺は素人の私が口を挟める話ではないので、詳しくは複数の専門家のサイトや論文を見て回って調べてみてください。(専門家の間でも言う事が違ってたりして混乱できます!)
参考例1
参考例2

これから冬を迎えますが、基本的に身体を温めたい場合は温かい食べ物を食べ、気持ち塩分を多めにするという昔ながらの方法が無難なようです。

またスパイスもレシピ集にあるような常識的な量を使うようにし、勝手な判断で一度に大量摂取するのはやめましょう。

「とにかくスパイスをジャンジャン入れればいい!」 という考え方は、素人の生兵法になって危険ですので注意してください。(生姜なんか解熱作用があるのに体温が上がるとも言われてるし、素人にはよくわからん!)



<ミックス系スパイス>
※使い方に少し注意が必要なので別枠にしました

・ガラムマサラ(パウダースパイス)
予め使用頻度の高いスパイスを混ぜ合わせておいたもの。日本でも大手メーカーから瓶詰めにされて発売されているのでスーパーで普通に買えます。先に書いたようにスパイスの中には火を入れ続けると香りが飛ぶ(潜る) ものもあるので、主に調理の仕上げに香りの補填で振り掛けて使います。(ガラムマサラを入れてからはあまり火を入れない)

しかし物によっては中にターメリックが入っている場合があり、そうしたガラムマサラはターメリックの苦味や臭みを抜き切れないため、調理の仕上げに入れることは出来ません。買う前に原材料名をよく読むか、輸入食材店の場合は店員さんに原材料を聞いて確認を。

また市販のカレー粉の場合も同様で、ターメリックで黄色く着色されているカレー粉はどういう工程で作られた物かわからないため、もし使うなら油に混ぜてしっかり熱を通した方が無難です。(スパイスに慣れれば香りを嗅げば後入れ可能なカレー粉かどうかわかります。S&Bの赤缶なんかは平気だった覚えがあるけど私の記憶はいい加減なので鵜呑みにしないで)


・パンチホロン(ホールスパイス)
予め数種類のホールスパイスを同量ずつ混ぜ合わせたもの。これは油に入れるととても強い香りが立つため、お手軽にスパイシーな料理が作れるという利点があります。

しかし逆に香りが強すぎるので、何を作ってもパンチホロン風味になってしまい、他のスパイスの香りが潰れまくるという難点も。もし使う場合は青魚や肉などの臭みの強い食材に対して小さじ1杯弱程度だけとか、シンプルなサブジ(お惣菜) にパンチホロンだけ使って、他のスパイスは使わないといった加減が必要です。

基本はお好みでということになりますが、あればとても便利なので、安く買えるなら常備しておきたいスパイスではあります。



この他にもフェンネル・フェヌグリーク・クローブ・アニスシード・ヒーング・チャートマサラ……など、あると便利なスパイスは色々とありますが、まずはこの辺りから揃えてみてください。

またスパイスというよりハーブとして有名なものもありますので、ついでにそれらについても勉強しておくと家で各国料理が作れるようになります。



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■番外編 「正しい板橋区の歩き方」 シリーズ
正しい板橋区の歩き方 大山編その1
正しい板橋区の歩き方 大山編その2
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正しい板橋区の歩き方 区役所前編 その1
正しい板橋区の歩き方 志村坂上編
正しい板橋区の歩き方 小竹向原編その1
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正しい板橋区の歩き方 突発徒歩デート編その2
正しい板橋区の歩き方 突発徒歩デート編その3
正しい板橋区の歩き方 ぶらり東武東上線の旅 その1
正しい板橋区の歩き方 JR板橋駅編その1



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