【マンガ感想】
『ラストイニング 20巻 (神尾 龍, 中原 裕)』
神尾 龍
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【あらすじ】
汗と涙ぁ…そんなモンいらねぇ! かつて名門、今は弱小の私立彩珠学院高校野球部にやってきた問題児監督・鳩ヶ谷圭輔が、硬直しきった高校球界の常識を変える!!
高校野球マンガの傑作であり、監督マンガの代表格。
学校の経営方針で、もし今夏にある県大会で優勝し甲子園に出場できなければ、
私立彩珠学院高校の野球部は廃部となってしまうという状況の中、
彩学のOBであり詐欺師であった主人公・鳩ヶ谷圭輔が監督に就任する。
「今後一切、下手な奴と口をきくな!!」
「下手は伝染る!!」
というような過激な発言やハッタリを繰り返しながらも、
「ひとつひとつのプレーを大切にな」
「じっくりしっかりミス無くやろう!」
「派手なことや特別なことをする必要は無ない!」
「出来ることを確実にやろう!」
という発言で、選手達や保護者達を自分のペースに巻き込んでいく。
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ここからは20巻の感想。
20巻では、準決勝であたる『安政高校』との試合までのインターバルを描きつつも、
以前より描かれてきた『久保マサル』による恐喝事件がやっと終了しました。
今巻の注目点は、やはり『明石』と『八潮』とのカラオケ店での会話シーンでしょう。
この会話シーンで、『明石』によるピッチャー論が具体的に描かれることによって、
『八潮』自身が持つキャッチャー論と大きく対立することとなりました。
『明石』のピッチャー論を具体的に書くと、“ピッチャーの得意なパターンで投げる”ことでして、
キャッチャーからあれやこれやと指示や命令されることを嫌うというピッチャー論です。
そのため、どんな場面であろうと、投げる球・投球パターンはすでに決まっており、
キャッチャーはただピッチャーが考えるパターン通りにサインを出し、ちゃんと捕球してくれるだけの
存在であれば良いという、自らの投球に絶対の自信を持っている『明石』らしいピッチャー論なのです。
(例えば、そのパターンをわざと崩して裏をかこうというセコイ作戦を行うことは絶対にありません)
『投球パターンが決まっているピッチャー論』
と書くと、ある意味、無茶苦茶なピッチャー論に見えるわけですが、この『明石』に関しては、
投球パターンがバレてしまっても力で抑えることの出来る超高校級の投手でして、
甲子園に出てくるような強豪校が相手でない限り、そうそう打たれることはありません。
日高は“勝たせたいピッチャー”
明石は”勝たせるピッチャー”
この言葉の通り、『明石』はチームを引っ張っていく投手でして、
唯我独尊・一匹狼・傭兵など、彼を象徴する言葉がこれからも多く登場してくるのだと思います。
ちなみに、次に当たる『安政高校』の投手・『新谷』はこの『明石タイプ』の投手だそうです。
つまり、準決勝は、対『明石』への前哨戦という感じになるのでしょうか?
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【総評】
今巻は、試合シーンは無し。
そのため、かなり地味な印象を受けましたが、『久保マサル』による恐喝事件も終わりましたし、
次巻からは、試合だけに集中できる状況になるのだと思います。
点数的には
90点
です。
では、ここまで。