お灸っていいよね | 春月の『ちょこっと健康術』

春月の『ちょこっと健康術』

おてがるに、かんたんに、てまひまかけずにできる。そんな春月流の「ちょこっと健康術」。
体験して「いい!」というものを中心にご紹介します。
「いいかも?」というものをお持ち帰りくださいませ。

おはようございます ニコニコ


自宅の改築をすることになり、現在、大々的にお片づけ真っ最中。そんな中で、先日、とある文献研究論文のコピー発見。他にもいろいろ見つけては、つい読みふけったりするので、お片づけが進みません(笑)。


そのとき見つけたのは、関西医療大学の戸田静男先生の「本草綱目における艾火に関する一考察」という論文。鍼灸師としても、かなりマニアックですけど、たぶん『養生訓』がらみでコピーを残したんじゃないかなぁ…。今となっては、その理由は記憶のかなたですけど(笑)。


『養生訓』では、益軒先生、鍼については「鍼の効用」 だけなのに対し、お灸についてはたくさんのことを書かれています。しかも、「灸の効用」 はもちろんのこと、「小児への灸」 とか「病人に灸をするとき」 なんていうのから、「艾しゅの大きさ」「もぐさの作り方」「もぐさの名産地」 まで、取り上げ方が実に幅広い。


そんな中で、「灸に使う火」 という一項がありまして、それを記事にしたときに調べてもわからなかったことが、戸田先生の論文に載ってたんです。


益軒先生は、艾(もぐさ)に火をつけるときに、「香油をぬった紙燭(ししょく)」を使うといい、「松、橘(たちばな)、柏(かしわ)、枳(からたち)、楡(にれ)、棗(なつめ)、桑(くわ)、竹など八木の火はよくない」と書かれてました。その八木がよくない理由がわからなかったのよね。


戸田先生によると、李時珍の『本草綱目』 の火部に、「八木(松、柏、桑、柘、棗、橘、楡、竹)の火は用いてはいけない」とあり、それは↓以下のような理由によるとか。


① 松火 … いえがたい

② 柏火 …  を傷めて多汗となる

③ 桑火 … 肌肉 を傷める

④ 柘火 … 気脈を傷める

⑤ 棗火 … 内を傷めて吐血する

⑥ 橘火 … 営衛経絡 を傷める

⑦ 楡火 …  を傷めて を失う

⑧ 竹火 …  を傷めて目を損なう


さてさて、ここでまたひとつ疑問が。益軒先生は、「灸に使う火」 にも書いたように、『明堂灸経』にある八木をそのまま引用したらしいのですが、『本草綱目』と異なる木が1本あるんですね。それは枳(からたち)と柘(つげ)。字は酷似してるけど、別物ですよね。


国会図書館の『本草綱目』 をみると、確かに「柘」と見えます。昔は、書き写しが繰り返されてたワケですから、どっちかがどこかで書き間違えられた可能性もなきにしもあらず…。まぁ、どっちにしろ、使っちゃいけない木なんだから、どっちでもいいんですけどね。


東洋医学講座のNo.80 にあるとおり、お灸には艾(もぐさ)を使います。でもって、艾はヨモギからつくる。『本草綱目』の火部には、本草学的に使われた火が11種載っているんですが、その中で艾火、つまりお灸は、百病によいとされております。


本草学的にみてもお灸は百病を治す、これを現代的に言いかえれば、薬学的にもお灸はいろんな病気に効くんだよ~と言ってるワケだ。やっぱり、お灸はいいわ~。


「安産と冷え解消のお灸」 をはじめとして、母乳の出をよくする にも逆子 にも、出産に関連することでは、お灸をよく使います。また、食中り にも、必ずといっていいほど、鍼よりお灸です。筋緊張の痛み緩和 に知熱灸もいいし、疲労回復・ストレス緩和に棒灸 もいい。


関東でも、関西や四国みたいに、もっと盛んにならないかなぁ~。一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。


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