おはようございます
宿題おかたづけ第3弾です(笑)。『養生訓』の「食べ合わせてはいけないもの」 について、1回だけ「豚の生姜焼きでシミが増える?」 を書いておりますが、そこで止まっておりました。やれやれ。頭の片隅に残ってはいるんですよ、ちゃんとね。でも、ほかに興味が向いてしまうと、後回しになって、やがて忘れる(笑)。
『養生訓』にあった食べ合わせの根拠が、いったいどこにあるのか、あらためて調べてみました。益軒先生はそれとは書いていらっしゃいませんが、どうやら李時珍(り・じちん)の『本草綱目(ほんぞうこうもく)』から引用されているようです。
李時珍は、『養生訓』の中で、「よその土地での飲食」 、「茶の効用」 、「酒は天の美禄」 に登場しています。中国明代の医家で、『本草綱目』27冊52巻を書き残しました。本草は薬草や薬材であり、本草学は今の薬学に相当します。
『本草綱目』は、草や樹木、虫、魚、鳥、獣、鉱物から人に由来するものまで、幅広くカバーしています。朝鮮半島や日本に伝わっただけでなく、ドイツ語やフランス語、ロシア語にまで翻訳されているとか。ちなみに人に由来するものには、髪やひげ、爪、骨、血、母乳、汗など35種類があげられています。
インターネットで検索したところ、国立国会図書館の電子展示で『本草綱目』を見ることができました(ご興味のあるかたはこちら→「本草綱目 各巻総目次」 )。
その『本草綱目』第50巻獣部の最初が豕(豚)で、食べ合わせについての記述もありました。何しろ漢文なので、正しく読めているかどうか、正直にいって自信がありませんが、抜粋すると↓こうなります。
① 烏梅(うばい)・桔梗(ききょう)・黄連(おうれん)・胡連(これん)を一緒にとると下痢しやすい。
② 生姜を合わせて食べるとシミになりやすい。
③ 蕎麦を合わせて食べると髪の毛が抜けやすく風病を患いやすい。
④ 牛肉を合わせて食べると虫がわきやすい。
⑤ 羊のレバー、鶏の卵、小鮒、豆黄を合わせて食べると気が滞る。
⑥ すっぽんを合わせて食べると食傷(食当たり)を起こす。
①の烏梅・桔梗・黄連・胡連はいずれも生薬。烏梅は梅の未熟な果実を燻製にしたもので、咳止めや整腸に使われます。桔梗は根を乾燥させて咳止めや去痰の薬に、黄連も根を乾燥させて整腸剤や消炎剤になります。
②は「豚の生姜焼きでシミが増える?」 で取り上げたもの。国会図書館収蔵の『本草綱目』には「合生姜食生面黙發風」と書かれています。「合生姜食」はすっきり4文字で「生姜を合わせて食せば」と訳せます。ところが「生面黙發風」が5文字、どこで区切って読めばいいのか。っていうより、もしかして誤字?
この疑問、「足が教えてくれること No.6 リンパ」 で足療師さんとしてご紹介した足つぼ・整体師…李哲 さん、中医薬大学を卒業されている中国の方なので、相談にのっていただきました。李さん、ありがとうございました。
『本草綱目』には「生面發風」と書かれているものもあるそうで、これなら「顔面に風を発し生じる」と訳せます。そして、風は内風(→東洋医学講座のNo.52 )で、それが顔面に生じるとシミができる。もともと気血の調和ができてなくて、風を生じやすい状態ならば、気をつけたほうがよさそう。
とはいえ、管理栄養士ハイジ さんからの「豚の生姜焼きでシミが増える?」 へのコメントによると、現代の栄養学的には推奨される組み合わせだそうです。古典に書かれていることがすべて正しいとは限りませんし、ホントにシミができやすいのかどうか、豚の生姜焼きが好物で毎日食べるという方がいらしたら、ぜひご連絡ください(笑)。
『東方栄養新書』によると、豚肉との相性がよくないものは、
① うずら肉 … 顔の皮膚が黒くなる
② ふな、えび … 気滞を起こす
③ そば … 脱毛
④ 大豆、わらび、ゆりね、梅、生姜 … 皮膚に悪い
とのことです。
一天一笑、今日もいい1日にしましょう。
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