過敏性腸症候群を東洋医学でみると | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます ニコニコ


昨日、「そもそも過敏性腸症候群って何?」 で、「ガス型」の欄にちょこっと書きましたけど、過敏性腸症候群を東洋医学でみた場合、その基本病証は、肝気鬱結 (かんきうつけつ)です。


肝気鬱結(肝鬱)は、臓腑弁証 による病証名で、これを気血津液弁証 すれば、気滞 となるため、肝鬱気滞と呼ぶこともあります。五臓 が持つ疏泄(そせつ)機能が失調して、気のめぐりに不調が生じた状態です。


肝鬱の最大の原因は、ストレスによる情志の失調 。五臓の中で、肝は真っ先にストレスの影響を受けやすいんです。度胸のない人のことを「肝(きも)が小さい」って、言いますよね?度胸がないのは、ストレスに弱いってことでもありますでしょ?


ストレスを抱えて肝鬱になると、「肝が不調になるとどうなるか?」 とか、「災害時の養生法 その4 肝の手当て」 とかで説明したような状態になります。


そこに怒りが加わると「イキイキ・のびのびが足りな~い」 のように、肝鬱が長引くことでも「突然の発熱、それって知恵熱?」 のように、熱による症状が加わります。これを肝鬱化火とか、肝鬱化熱といいます。


肝鬱の代表的な症状は、東洋医学講座のNo.46 にあるとおり、胸脇部の膨満感や脹痛で、この症状はゲップやオナラで軽減されます。ね?まさに、過敏性腸症候群のガス型でしょ?


肝鬱では、「便秘を東洋医学でみると」 にあるように、気秘を起こすこともあります。気秘の特徴は、すっきり出ないこと。肝鬱が長引いて、熱を持ったとすれば、さらに便秘しやすくなりますから、便秘型といえるかな?


また、東洋医学講座のNo.66 にあるように、「ときに硬く、ときに軟らかい」のは肝鬱が脾に影響した場合で、「排便時に、最初は硬くて、後は軟らかい」のは脾胃が弱っているとき。


肝と は近くにあるため、肝鬱による疏泄失調は、脾に影響しやすい。肝鬱が原因で、脾の状態が悪化したものを、肝気犯脾(かんきはんぴ)といいます。


脾には昇清・運化という機能があり、これが不調になると、便が軟らかくなり、下痢しやすくなるの。結果、肝鬱による便秘に、脾虚 による軟便・下痢が繰り返されることに。これって、混合型よね?


さらに脾虚が悪化したり、もともと体質的に脾胃虚弱だったりすると、おなかがゴロゴロ鳴った後に下痢とか、便に大量の粘液が混じるとかに。これは下痢型ですね?


脾が弱ると痰飲 がたまりやすく、肝鬱によって固まると、梅核気(ばいかくき) になります。なので、過敏性腸症候群のある人は、梅核気にもなりやすいかも?


脾胃は、五臓六腑の表裏関係 にあって、とても密接。肝鬱が脾に影響しやすいってことは、 にも影響しやすい。肝鬱が原因で、胃の状態が悪くなったものを、肝気犯胃(かんきはんい)といいます。


胃には、通降という作用があり、これが不調だと下げるべきものが下がらないため、ゲップや吐き気となります。ここに、肝鬱が肝火となって胃を犯す、あるいはもともと胃熱 があるところに肝鬱が影響すると、胃の灼熱痛や嘔吐、便秘を生じます。


便秘しがちなのに、食欲があって、つい食べ過ぎる。口内炎や口角炎ができやすい。便秘がひどくなると、ゲップがひどくなって、ときに嘔吐してしまう。なんていう場合は、肝気犯胃かもしれません。肝気犯胃も、過敏性腸症候群の便秘型に入れられると思いますが、ちょっと特殊かな?


長引く肝鬱で、脾も胃もともに弱ったとしたら、下痢したり、便秘したり、先に硬い便が出て、後で軟らかい便がでたり…。これも、過敏性腸症候群の特徴を備えてるといえるでしょ?


ということで、過敏性腸症候群を東洋医学でみると、肝気鬱結証と診断できる。となれば、対処法は、災害時の養生法 その4 肝の手当て が参考になりますね。


一天一笑、今日も笑顔でいい1日にしましょう。


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