【夕顔56-3】古文単語「見得」の「得」☆
源氏物語イラスト訳の重要古語です
古文単語でよく出題されるのは、
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…受験生世代はほぼほぼ使わない語。
…ですが、今回の古語は、
辞書に載ってないドッキング古語☆
はい、ではいってみましょぉ~♪
٩(๑•̀∇•́๑)و
【今回の源氏物語】
「もし、見たまへ得ることもやはべると、はかなきついで作り出でて、消息など遣はしたりき。…」
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今回出てきた古文単語
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■【もし】…仮に。万一。ひょっとしたら
■【見たまへ得】…発見申し上げうる
※【たまへ】…ハ行下二段動詞「たまふ」の連用形
→謙譲の補助動詞(惟光⇒夕顔の女)
■【も】…添加の係助詞
■【や】…疑問の係助詞
■【はべる】…ラ変動詞「はべり」の連体形
※【はべり】…「あり」の丁寧(惟光⇒光源氏)
■【と】…引用の格助詞
■【はかなき】…ク活用形容詞「はかなし」の連体形
※【はかなし】…ちょっとした
■【ついで】…機会
■【作り出づ】…作り出す
■【て】…単純接続の接続助詞
■【消息(せうそこ)】…手紙
■【など】…婉曲の副助詞
■【遣(つか)はす】…送る。やる
■【たり】…完了の助動詞「たり」の連用形
■【き】…過去の助動詞「き」の終止形
◇ 単語の意味と文法的説明です。
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今回の古文単語 「見得」 ☆
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「もし、見たまへ得ることもやはべると、はかなきついで作り出でて、消息など遣はしたりき。…」
問)傍線部の意味ととして最も適当なものを選べ。
1.仮に、見られることがあってもしかたがない
2.もし、お会いできなかったらどうしましょう
3.もしかしたらお会いできるかもしれない
4.万一、発見できなかったらどうしましょう
5.ひょっとしたら発見申し上げられることがございますやも
「見たまへ得」なんて、
ついぞ見たことがない組み合わせですよね~;;
(;゚;∀;゚;)
ちなみにこの「たまへ」は、
「得る」という用言につながっているので連用形
…ならば、四段ではなく、下二段活用ですね。
ってことは、
「たまへ」は謙譲の補助動詞ですね!
さて。
今回は、その「たまへ」を取りはらった、
「見―得」という複合動詞の説明でございます☆
「見る」も「得る」も、
現在でもよく使う動詞ですが、
この組み合わせは、あんまり見ないですね~;
ヽ(*'0'*)ツ
「得(う)」は、
語幹と語尾の区別のない、
ア行下二段活用動詞です。
基本は、
「手に入れる」「ゲットする」
といった他動詞ですが、
今回は、「見る」のあとに続く形で、
複合動詞の意でとらえると訳しやすいと思います。
♥-(´ε`● )
【得(う)】
【補助動詞:ア行下二段活用】
…~することができる
*学研全訳古語辞典(Weblio古語辞典)より
つまり、
「見得」=「見ることができる」
を基本とし、
何を見るのかによって、
幅広い解釈を要するパターンとなっているんです。
*゚Д゚)*゚д゚)*゚Д゚)
今回の「見る」は、
「発見する」ぐらいの訳が適当かな?
1.仮に、見られる(△)ことがあってもしかたがない(△)
2.もし、お会いできなかったら(×)どうしましょう
3.もしかしたらお会い(△)できるかもしれない
4.万一、発見できなかった(×)らどうしましょう
5.ひょっとしたら発見申し上げられることがございますやも
選択肢3が見分けにくいですが…
あとのつながりを考えると、
身分の低い惟光が、光源氏のお目当ての夕顔に
「会う」という解釈をするよりも、
光源氏のために、お目当ての夕顔に関する何かを
「見る」「確かめる」という解釈のほうが適当だと思います。
正解……5
「もし、見たまへ得ることもやはべると、はかなきついで作り出でて、消息など遣はしたりき。…」
● 過去記事リンク
■も
■はべり
■はかなし
■ついで
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