ユニクロ、2020年に売上5兆円なるか?
ファーストリテイリングが10月9日、国際会計基準を適用して初めての通期業績を発表した。会見に出席した柳井正代表は、「海外各エリアでユニクロを本格的に事業展開していき、新しいグローバルブランドにする」と話し、検討しているインド進出などに言及。デザイン本部を今後3年間でNYに移す計画など、2020年度の連結売上高5兆円達成に向けた取り組みを明らかした。2014年8月期の海外ユニクロ事業は、計画を上回った欧州や中国・台湾が牽引し、大幅な増収増益を達成。2014年に進出したドイツとオーストラリアは「大成功している」といい、今後は欧州主要都市への進出・出店も加速させる。2015年8月期は中国や台湾のグレーターチャイナを中心に200店舗出店し、店舗数は同期末には国内と同等になる計画で、「各国に旗艦店を出店していき、競争力のある商品を拡大していくことで、近い将来に売上高は国内を追い越す」見込みだ。ファーストリテイリングの2014年8月期は、海外ユニクロ事業に加えて、国内のユニクロ事業も利益率が改善。売上高は日本基準で前期比21.0%増の1兆3,829億円、営業利益は同11.8%増の1,486億円(国際基準では1,304億円)を計上した。当期純利益はJ Brand事業の減損損失127億円により同13.6%減の781億円にとどまったが、全体では計画通りに推移。J Brand事業について柳井代表は、「(損失は)一過性のものなので、数年内に取り返すことができる。世界的にジーンズを確立していく上で、ジーンズやカジュアルの発祥であるロスは必要な拠点になる」と話した。同グループの2015年8月期は、売上が国際基準で1兆6,000億円、営業利益は1,800億円を予想。2020年度の連結売上高5兆円に向けて3年後には2兆5,000億円を目標に掲げており、今後3年間でグローバル規模の取り組みを進行する。「ファッションとビジネスが結びつく場所」という考えからデザイン本部はNY、次世代ビジネスの本部はサンフランシスコ、文化情報の発信本部はパリやロンドンに移すことを検討。グローバルクリエイティブ統括に起用するジョン C ジェイのような世界で活躍する人材の獲得や世界最高水準のサプライチェーンの構築を目指す。2005年に事業構造改革を宣言したファーストリテイリングは、2010年の売上高1兆円を目標に、世界一のカジュアル企業グループを目指してきた。新たに掲げた目標は、2020年売上高5兆円、経常利益1兆円。毎年5000億円の売上成長を実現するため、年間売上高20億円の店舗を毎年300店舗出店、毎年1500名のグローバル店長人材を採用して育成すると発表した。柳井社長は目標の達成のためには「全員経営」が不可欠とし、世界中の社員と経営者が理念や価値観を共有することの必要性を強調した。グローバル化を進めるユニクロ事業について柳井社長は、成長センターと位置づけるアジアを中心に世界中へ年間200~300店舗を目標に大量出店すると発表。国内については、銀座・新宿・渋谷・原宿・上野に旗艦店を構え、今後2~3年のうちに1000坪級の超大型店を100店舗、500坪級の大型店を200店舗、300坪級の標準店を500店舗、小型店と駅ナカ店を200店舗の体制を実現するため、スクラップ&ビルドを推進する。また、東京・NY、パリ、上海、シンガポールの世界4都市に地域本部を構え、生産拠点もグローバル化。東南アジアに大規模生産地を開拓し、2020年には年間50億点の生産体制を整える。