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午後の東京株式相場はやや下げ幅を広げ、午前の安値(1万7801円)を下抜けた。約5年ぶりの安値を付けた国際原油市況、円安進行の一服を材料に持ち高調整の売りが優勢、前日までの7連騰の反動もある。週末には株価指数先物・オプションの特別清算値(SQ)算出を控え、これに絡む先物売りも出やすい。
業種別では、鉱業や商社など資源関連、電機や機械、精密機器など輸出関連、証券や保険などの金融株と幅広く安い。東証1部33業種中、食料品を除く32業種が下げている。
9日午前の東京株式市場で日経平均株価は反落し、前日比57円安の1万7877円で終えた。前日の欧米株安や円安一服をきっかけに、利益確定を目的とした売りが広がった。その後は例によって日銀の上場投資信託(ETF)買いの思惑を支えに下げ渋ったが、投資家は一段の上値追いに慎重になっているとの指摘もある。
日経平均は前日まで7日続伸した後に反落したとはいえ、きょうも底堅さが目立つ相場だった。100円超下げて始まったものの、その後は43円安の水準まで下げ幅を縮める場面があった。意識されたのは日銀のETF買いだ。

もっとも株価は「日銀頼み」の様相が強く、日銀以外に目立った買い手は乏しい。みずほ証券の中村克彦シニアテクニカルアナリストは、株価と売買代金の「逆行現象」に着目する。

日銀が追加の金融緩和策を決めた10月31日以降、日経平均は上昇基調。11月末から前日にかけては7日連続で年初来高値を更新した。

にも関わらず、東証1部の売買代金は伸び悩んでいる。ここ最近の商いは2兆円を少し上回る程度。きょうも前引け時点で1兆245億円にとどまった。日銀の追加緩和を受けて一時は5兆円を上回っていたのと比べると、減少傾向だ。中村氏によると「株価と売買代金の逆行現象は株価の高値圏でみられる特徴の1つ」。市場参加者が上値追いに慎重となり、積極的な売買を手控えているとの見方ができるという。

逆行現象が顕著だったのは89年のバブル末期。当時は「株式や不動産の買い占めで流通量が減り、株価が上昇する一方で売買代金が明確に減っていった」(DZHフィナンシャルリサーチの東野幸利日本株情報部部長)。足元はこの頃ほど本格的ではないものの、7年4カ月ぶりの高値更新を目前にして投資家の短期的な気迷いがうかがえる「ミニ逆行現象」と言える。

投資家の慎重姿勢が晴れるのはいつか。カギになるのは今週末に迫った衆院選だ。東海東京調査センターの隅谷俊夫チーフストラテジストは「(今後の相場展開は)外国人投資家の出方次第」としたうえで、「選挙で自民党が圧勝すれば本格的に買いを入れてくる」とみる。外国人投資家は13年に日本株を15兆1100億円買い越した。12年は2兆8200億円だった。今年は11月まで6500億円しか買っていない。

振り返ると12年12月の総選挙の際も、株価が本格的に上昇したのは自民・公明両党が圧勝し、安倍晋三政権が正式に発足した後だった。1万8000円の節目を抜けそうで抜けられないでいる日経平均。年末にかけて上昇基調を強める「掉尾(とうび)の一振」に向けた足場固めということだろうか。