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16日の日経平均は大幅反落。米株安やスイス国立銀行による金融措置の影響から急速な円高進行が嫌気された。寄り付きから全面安の展開となり、前場中頃過ぎからは一段安に。日経平均は昨年10月29日以来となる75日線割れが示現し、400円超の下げ幅となった。個別では、スイスフラン急騰による恩恵期待でセイコーHDが続伸。M2HDやマネパGといったFX専業大手がさえない。業種別では33業種すべて下落しており、特に金属製品や空運、化学などの下げが目立つ。

 16日後場寄り付きの東京株式市場で日経平均株価は弱含み、前日比480円程度安い1万6600円台前半で推移している。下げ幅を500円超に拡大する場面もあった。短期間で大きく水準を切り下げたため、損失限定を目的とした売りが先物主導で出た。JPX日経インデックス400と東証株価指数(TOPIX)も後場入り後に一段安になった。

 日経平均オプション2月物のプット(売る権利)では、権利行使価格1万6750円の建玉が比較的多い。相場が同水準を下回ったことでプットの売り方が損失限定を目的とした売りを先物に出し、現物がつれ安した面もある。

 前引け後の東証の立会外で、国内外の大口投資家が複数の銘柄をまとめて売買する「バスケット取引」は約757億円が成立した。持ち高調整が中心で売り買いはほぼ均衡したもようだ。

 12時45分現在の東証1部の売買代金は概算で1兆4661億円、売買高は15億5353万株だった。東証1部の値下がり銘柄数は1760と、前引け時点から増加。値上がりは63、変わらずは37銘柄だった。

16日の東京株式市場で日経平均株価が大幅反落した。前日比の下げ幅は一時400円を超え、心理的な節目である1万7000円を下回った。外国為替市場では円相場が一時1ドル=115円台に上昇した。前日の米株式相場の下落などで投資家心理が悪化し、リスク資産である株式を手放し、「安全通貨」の円を買う動きが広がっている。市場関係者に株式相場や円相場の見通しを聞いた。

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■「下げ余地は限定的、決算受け1万8000円台回復も」

伊藤高志・野村証券エクイティ・マーケット・ストラテジスト

 16日の東京株式市場で日経平均株価の下げ幅が400円を超えた。スイス国立銀行(中央銀行)が通貨フラン相場の対ユーロでの上限を撤廃したのをきっかけに、外国為替市場で円買いが進んだことが日本株売りの背景だ。ただ、材料としては長く意識されるようなものではない。

 株式相場の最近の値動きをみていると、海外の下げを映して安く始まることはあるものの、その後に売りが売りを呼ぶ展開になることはほとんどない。2014年10月末の日銀の追加金融緩和から12月上旬までの上昇局面で買いそびれた一部の投資家の買い需要は依然として残っている。ここからの下げ余地は限定的だ。

 来週から国内企業の2014年10~12月期決算の発表が始まる。実質国内総生産(GDP)が弱かった7~9月期でさえ、2桁台の増益を達成した企業が多かった。10~12月期は業績の好調さが一段と鮮明になるとみられ、決算発表シーズンの終了までに1万8000円台を回復する可能性も十分にある。

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■「円上昇は長続きせず 1万7000円台後半で上値重く」

藤原直樹・しんきんアセットマネジメント投信運用部長

 16日の日経平均株価が一時400円以上下げたのは投資家のリスク回避の売りが出やすくなっているためだ。もともと市場は原油安の進行によるロシアなど産油国経済の不安定化を警戒していた。そこにスイス国立銀行(中央銀行)による通貨フラン相場の対ユーロでの上限撤廃という想定外の事態が起こり、下げが大きくなっているようだ。

 外国為替市場ではフランの上限撤廃をきっかけに円相場が一時、1ドル=115円台まで上げ、株売りの材料となっている。だが、これまでの円安推移につながった日銀の追加金融緩和や、米連邦準備理事会(FRB)の出口戦略といった根本の材料は変わっておらず、円相場の上昇は長続きしないとみている。日経平均は、日銀が追加金融緩和に踏み切った10月31日に付けた1万6413円に近づくにつれて反発力が強まるだろう。

 一方で、1万7000円台後半では上値が重くなる。1万8000円は2016年3月期の1割増益を織り込んだ水準と考えており、さらなる上昇にはより明確な材料が必要となる。1月末ごろから本格化する14年10~12月期決算は来期業績の伸びしろを探る材料として注目している。

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■「円、113円まで上昇余地 115円台で落ち着く」

柴田秀樹・東海東京調査センター金利・為替シニアストラテジスト

 16日は米株安などを受けて日本株が売られて日経平均株価は一時、下げ幅を400円超に広げたが、円の対ドル相場への影響は限られるとみている。1ドル=116円ちょうど前後まで進んだ円高・ドル安水準では、輸入企業による実需の円売り・ドル買いが出ているようだ。年金勢が米国債や海外株への投資を拡大するためにドルの需要を増やしていることも、円相場の重荷となっているようだ。

 他方、ユーロ相場は下押し圧力が強まっている。前日、スイス国立銀行(中央銀行)が自国通貨スイスフランのユーロに対する上限撤廃とマイナス金利幅の拡大を決めたことが要因だ。ユーロの最大の買い手だったのはスイス中銀だ。今後はユーロの買い需要が減るうえ、欧州中央銀行(ECB)が量的緩和を実施するのはほぼ確実との見方が強まっており、ユーロ売りは一段と膨らむだろう。

 スイスフランと同様に「安全通貨」とみられている日本円も買いが入りやすく、円相場は対ドル、ユーロで上昇しやすい地合いだ。ECBの理事会が実施される来週、円は一時的に1ドル=113円まで上昇する可能性はある。ただ、そこまでいけば円は買われすぎ。高値では円売りが強まり、すぐに1ドル=115円台で落ち着くのではないか。