▼概要
法律では認められていない婚姻中の通称名(苗字・名字)の変更が、行われているケースがある。子どもにとっては、名前を変えなければならないとすれば、「片方の親に見捨てられたのではないか」、「なぜ大事にしてくれないだろう」と思うこともある。また本心ではなければ、同居親に対しても不信感を持つことがある。子どもの心理的な安定のためにも、まず別居時点では、「氏」を変えないように教育機関などに依頼したほうがよいと思うため、テンプレートを作成した。
申請理由のテンプレートポイント:親子が引き離れない「氏・名」の維持を要望する
申立書
●●県**市役所
***(児童福祉課、子ども育成課、教育委員会など)****
住所 ●●県××市△△
電話番号 ********
氏名 印
令和 *年 *月 *日
拝啓
平素より、**市の行政を支えてくださり、感謝申し上げます。
この度は、「氏名」について本名で呼称するように申し入れます。
一般的に、父母の同意がなく、学校の通称名(苗字)を片親の旧姓名に変えることは不適切であると考えています。来であれば、離婚が成立して裁判所において手続きをすることで認められる手続きです。
未成年者の氏名は、アイデンティティに関するものであるため、極めて重要なものになっています。「名」が子にとって重要なことであることは間違いないのですが、「氏」としても「名」と一体をなし、「氏名」は個人を識別するという重要な機能があります。その人格として尊重される基礎であり、人格の尊重でもある(最高裁昭和58年(オ)第1311号判決)ことから、このような離婚を前提とした旧称名を許可するというのは、公的機関という立場からすると福祉的であるとは言い難い状況です。また子どもの権利条約の第8条では、名前が変えられないことや、それが不当に変えられた場合には修復のための援助を受けることが国として締結されており、憲法でそれらの締結された条約を遵守するようになっています。
戸籍名は、生まれながらにして尊重する名前でもあり、突然、行政運用で表記が変わるとなれば、親子の切り離しと認識することとなり、子どもの成長にとって、心理的に不安になる部分となります。健康保険証、病院の診察券、卒業証書など不整合が出てくるため、成長と共に日常生活おいて混乱を招くことにもなります。また名前を変えられることによって「自分自身が何か悪いことをしたのではないか」、「片親に見捨てられてしまった」という分離不安の意識が高まることになるのは避けられない状況です。戸籍状況が変わっているわけではないので、父母の同意なく本名の記載を変更しないようにお願いします。
本来であれば、夫婦間で円満に解決すべき事由ではございますが、ご負担をお掛けしていることを大変深くお詫び申し上げます。
※本文の開示範囲は、行政内関係者のみでお願いします。
敬具
※必要に応じて、戸籍謄本、身分証明書のコピー、離婚不受理届(一方的な離婚調停では係争理由にならないこと)も同封してもよいかもしれません。
▼行政が却下したときは
●行政不服審査法(基本編)
↓行政に要望を出そう
●【子どもの意見を聞く】子ども手続き代理人_パパもママも子育てに関わってほしい
●行政機関(市役所、区役所、町役場、小学校、中学校、保育園、幼稚園)に相談した情報が守られる権利