行政不服審査法(保護者の登録・認定) | 子の連れ去り被害に遭わないために。親子断絶防止(共同養育)するために。

子の連れ去り被害に遭わないために。親子断絶防止(共同養育)するために。

有責配偶者による子どもの連れ去りを防止。また親子断絶にならないように法律を学び、より良い世の中に変えていく。共同親権、共同監護、共同養育を大切に。子にとって親という存在は一番の宝物。ツイッター(@hanabizone)でも情報発信中。

▼概要

行政不服審査法とは、行政の決定について一市民が、行政運用の判断が正当な対応であったか、精査にかけることができる手段である。裁判所などは違って司法手続きのような費用は発生しない。また匿名のデータベースとして扱われる。また法に詳しくない一般市民でも申請可能である。審査請求者(申請者)の意見を聴取し、請求点の法的見解を纏めていただくことができる。行政対応可能な弁護士に依頼することもできる。ここでは個人取り組めるように、たとえば保護者登録・認定について記載していく。別居親であっても、子の法定代理人であるわけなのだから、保護者情報は登録できるし、開示や訂正する権限はある。

 

●行政不服審査裁決・答申登録システム(外部サイト)

 

▼前置き

全般的なテンプレートは、●保育の継続の行政不服審査法でも記載した。また虚偽DVなどの支援措置については、●本当のDVと虚偽DVがあるDV支援措置法に記載した。これらから柱の部分を引用して、本ページの「保護者の登録・認定に関する」行政不服審査法を活用していったほうがよい。

 

 

テンプレート行政不服審査法:自治体の運用に問う

審査請求書

 

令和  年  月  日

 

 

**市長   **   殿

 

審査請求人 住所               

                              氏名             

  (連絡先   ‐   ‐     )

 

次のとおり審査請求します。

 

 

1 審査請求に係る処分の内容

令和*年*月*日付の*****決定

 

2 審査請求に係る処分があったことを知った年月日

令和*年*月*日

 

3 審査請求の趣旨

「1の記載の保有個人情報不訂正決定を取り消す」との採決を求める。

 

4 審査請求の理由

 

(1)処分庁は、「訂正請求に関わる保有個人情報の内容は、配偶者が処分庁に対して申請したもので、係る情報は申請書面をもって事実と判断するほかないとし、保有個人情報の内容に誤りはないため不訂正とする」と説明している。しかし審査請求人は、配偶者によって監護することを阻まれているものに起因するものとして説明している。また配偶者の申請書面だけでは事実として判断しえないのであるから、開示請求および訂正したのであって、これを客観的な判断をすることや、あるいは要すれば双方の親から事実の確認をすることができる状態にあった。

 

(2)しかしながら、本件の処分は、以下のとおり規定違反及び不利益となる侵害と思料される。

 

(ア)同意のない子どもの連れ去りがあった上で、子に関係する行政手続きが認められるのであれば、憲法14条(平等原則)、憲法24条(両性の本質的平等)、学校教育法(保護者の定義)などに反するものと解釈する。また憲法98条2項では、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規はこれを誠実に遵守する」と国際協調主義として規定されている。本憲法に関連するところでは、憲法第61条の国会の承認により、子どもの権利条約を締結している。本条約では第7条1項「その父母によって養育される権利を有する。」と明記され、児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする」と解される。したがって明確に子の状況を把握することを妨げることは親子関係性を維持することに違法性がある。

 

(イ)子どもの権利条約第4条によって「締約国は、児童の権利条約において認められる権利の実現のため、すべての適当な立法措置、行政措置その他の措置を講ずるもの」とされており、その条約に従った行政運用でなければならないが、これを満たす現状とはいえず違法性がある。

 

(ウ)児童福祉法1条「全て児童は、児童の権利に関する条約の精神にのっとり、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され、保護されること、その心身の健やかな成長及び発達並びにその自立が図られることその他の福祉を等しく保障される権利を有する。」ということから双方の親から等しく愛されてその生活を保障することが明示的になっている。元の保育状況を把握することで修復に努めるべきところだが、処分庁の判断では、審査請求人にとって今後の生活維持に影響が出るという不利益が生じる。例えそれらの理由が判断の焦点にならなかったとしても、一方の親による他方の同意の得ない行政手続きや行政判断によって、これまでのように同居して家庭教育を受けることができなっていることから、親権、監護権、教育権(教育の自由)を侵害するという違法性がある。

 

(ウ)子どもの権利委員会(CRC)では、第4回・第5回の統合定期報告書に関する総括所見の29項でも述べられている通り、「親からの子どもの最善の利益に合致する場合に、子ども及びその親の意見を聴取した後に行われることを確保すること」として締約国に対して条約に対する措置を明確に促している。2020年7月8日 EU議会・本会議で子どもの連れ去り禁止を日本政府に求める決議案を採択している。2021年9月29日米下院外交人権小委員会での公聴会では、「日本は共同親権の概念を認識していない」との批判をしている。しかし処分庁の判断として、上記に対して合理的ではなく違法性がある。

 

(エ)子どもの教育は、最高裁大法廷昭和51年5月21日判決(旭川学テ判決)「子どもの教育は、子どもが将来一人前の大人となり、共同社会の一員としてその中で生活し、自己の人格を完成、実現していく基礎となる能力を身につけるために必要不可欠な営みであり、それはまた、共同社会の存続と発展のためにも欠くことができないものである。その最も始原的かつ基本的な形態としては、親が子との自然的関係に基づいて子に対して行う養育、監護の一環としてあらわれるものである」としても判示がある。該当の判示は、子の成長と養育に関わる親と子に関する親権及び監護権の維持が尊重されている。つまり親子の関係性は自然的な結びつきがあり、自己充足と自己実現を図ることで自らの人格をも発展させるという関係であることから、憲法13条の幸福追求権としても意義をなすということも十分に考えうる。そして、憲法26条の教育を受ける権利としては、子の学習権を保障するものであり、親が子に義務教育をうけさせることを課すことに加えて、親の子に対する教育権(自然的関係における親が一定の範囲において子に対する教育の自由を有すること)を保障しているため、処分庁の決定には違法性がある。

 

(オ)現行の行政の運用では、子に着眼した視点ではなく、片親の実効上支配を成立させるために先に連れ去ったほうの親を加担し、結果的に子に対する教育への関与について別居親(他方親)を排除することにつながりかねない。ここで正当な理由がない場合については、一方的な連れ去りであると刑法224条の運用として、警察庁が『正当な理由のない限り未成年者略取罪に当たる』と2022年2月3日に明らかにして現場徹底をする方向性となっている。刑法224条としては、未成年者略取誘拐罪として該当する可能性が高く、犯罪とは、一般に「構成要件に該当し,違法かつ有責な行為」であると定義されており、犯罪行為に対する刑罰は人間の生命自由財産を強制的に剥奪するものであることが構成要件になっている。配偶者間における連れ去りについて被害の届出など適切な対応をするように警察庁刑事局捜査第一課長から通達も2023年3月29日になされた。これが、子どもの権利条約35条「締約国は、あらゆる目的のための又はあらゆる形態の児童の誘拐、売春又は取引を防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。」のうち児童誘拐にも当てはまる。このような法体系があるに関わらず、同居親と別居親で異なる権限とみなされる運用となっているのは、違法性と不利益性の両面があるといわざるをえない。なお警視庁の書面は、保護法益と関連し、警察庁が『正当な理由のない限り未成年者略取罪に当たる』としているのは、「未成年者略取罪・未成年者誘拐罪」の保護法益は、未成年者の自由のみならず、保護者の監護権も含まれます(大判 明治43年9月30)」という部分からも、保護法益と保護者としての監護とは同義であり、これを自治体において保護者として同一視されないのであれば、保護法益としても中立性がないということになる。令和3年4月13日では、保護法益が、監護権(子育てにかかわる親の権利と義務)になるということが国の法務委員会でも議事録に記されている。この保護法益についても実効力を失うことなるから、次第に不利益性が大きくなる。

 

(カ)教育的な観点でいえば、学校教育法によりも広義である教育基本法第10条「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」ことや、同条11条「幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は,幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他の適当な方法によって、その振興に努めなければならない。」とされている。類似的な意義として、次世代育成支援対策推進法第3条「次世代育成支援対策は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に,家庭その他の場において,子育ての意義についての理解が深められ、かつ、子育てに伴う喜びが実感されるように配慮して行わなければならない。」とある。学校教育法第43条の規定により、学校運営の状況に関する情報を積極的に提供するものとされており、その上で、学校教育法施行規則(昭和22年文部省令第11号)第67条の規定により、保護者 を含む関係者による評価を受け、その結果を公表するよう努めるものとされている。未就学児ならば、同第38条により幼稚園教育要領「幼稚園は,地域の実態や保護者の要請により教育課程に係る教育時間の終了後等に希望する者を対象に行う教育活動について,学校教育法第22条及び第23条並びにこの章の第1に示す幼稚園教育の基本を踏まえ実施すること」が規定され、さらには小学校教育要領「特に保護者との間で,学級通信や保護者会,家庭訪問などによる相互の交流を通して,児童理解,児童に対する指導の在り方について共通理解をしておく必要がある。」という点を踏まえても、一貫して教育の在り方として保護者との相互連携を図るためにも保護者の認定は必要性があると解される。そして地方自治法244条2項の「普通地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。」とされ、同条3項の「普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。」と明記されていることから、同居親や親権者との関係で不当な差別的取扱いをしてはならない。仮に居住形態のみによって各種申請制度において差別的な扱いを受けることを容認するのであれば、違法性がある。

 

(キ)以下に示すとおり平成24年法改正通知第2の1(3)①によれば、必ずしも児童と同居している必要はなく、また、児童の生計費の負担というような経済的要素は含まないものである。このため、別居していても、子育て意思があって監護していると認められる余地があり、審査請求人が子らを監護していないと断言するためには、これらの事実がないことを確認する必要がある。確認がないという現状であれば、親子関係が認知されず不利益性がある。行政不服データベースの(相模原市:3こ若政 第1724号)によれば「保護者とは、親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを監護する者をいうと規定されている支援法第6条第2項」され、「給付認定保護者は、現に受けている教育・保育給付認定に係る小学校就学前子どもの区分、保育必要量、認定の有効期間、利用者負担額に関する事項を変更する必要があるときは、市町村に対し、教育・保育給付認定の変更の認定を申請することができるとされている支援法第23条第1項、子ども・子育て支援法施行規則 平成26年内閣府令第44号。以下「府令」という。第10条。市町村は、教育・保育給付認定の変更の申請により、給付認定保護者につき、必要があると認めるときは、教育・保育給付認定の変更の認定を行うことができ、支援法第23条第2項)、変更の認定を行ったときは、その結果を当該変更認定に係る給付認定保護者に通知しなければならないとされている 同条第3項、第20条第4項前段 。当該通知は、教育・保育給付認定の通知と同様に、原則として申請のあった日から30日以内にその結果を当該給付認定保護者に通知しなければならず 第23条第3項、第20条第6項 、30日以内に当該申請に対する処分がされないとき等は、当該申請をした保護者は市町村が当該申請を却下したものとみなことができるとされている 第23条第3項、第20条第7項 。」となっていることからみても明らかである。

『▼平成24年法改正通知
「児童手当法の一部を改正する法律等の施行について」(平成24年3月31日付け雇児発0331第1号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知。以下「平成24年法改正通知」という。)第2の1(3)①は、法第4条第1項に規定する監護の意義について、次のとおり述べている。
「① 「監護」とは、児童の生活について通常必要とされる監督、保護を行っていると社会通念上考えられる主観的意思と客観的事実が認められることをいうものである。しかし、必ずしも児童と同居している必要はなく、また、児童の生計費の負担というような経済的要素は含まないものであること。従って、勤務、修学、療養等の事情により、児童と養育者とが起居を共にしていない場合であっても、現に監督、保護を行っていると認められる限りにおいては、「監護」の要件を満たしていると取り扱って差し支えないものであること。

▼平成24年法改正通知第2の1(6)は、法第4条第4項の趣旨及び内容について、次のとおり述べている。
「(6) (4)又は(5)にかかわらず、児童を監護し、かつ、これと生計を同じくするその父若しくは母、未成年後見人又は父母指定者のうちいずれか一の者が当該児童と同居している場合(いずれか一の者が当該児童を監護し、かつこれと生計を同じくするその他の父若しくは母又は父母指定者と生計を同じくしない場合に限る。)は、当該同居している父若しくは母、未成年後見人又は父母指定者によって監護され、かつ、これと生計を同じくするものとみなすこと。すなわち、離婚し、又は離婚協議中である父母が別居しているような場合、当該父母は生計を同じくしないものと考えられ、このような場合は、児童と同居している者が日常生活の主宰者と認められることから、当該同居している者を支給要件に該当する者として取り扱うものであること。なお、仕事上の転勤等で父又は母のいずれかが単身赴任し、児童と別居しているような場合は、別居後も父母は生計を同じくしているものと考えられることから、当該児童と同居している者をもって支給要件に該当する者とするのではなく、児童の生計を維持する程度が高い者をもって支給要件に該当する者として取り扱うものであること。また、法第4条第2項から第4項までの規定の適用は、認定の際提出される認定請求書等に基づき行うこと。』

 

(ク)子ども・子育て支援法(平成24法律第65号)の第6条第2項における「保護者」は「親権を行う者、未成年後見第6条第2項における「保護者」は「親権を行う者、未成年後見人その他の者で、子どもを現に監護する者」とされ、子どもとの同居人その他の者で、子どもを現に監護する者」と定義され、子どもとの同居を要件としておらず、また、婚姻関係の破綻していない一時的な別居、単身赴任等、養育費の不払いの事情のみで、同項の「保護者」に当たらなくなるわけではないとの政府見解(内閣府作成令和2年12月21日付自治体向けFAQ第18版№149)があるとされつつも、審査請求人の保護者としての地位をはく奪した処分は違法である。申請書の様式について支援法第23 条第1項 の規定は、 教育・保育給付認定変更認定申請の申請者を、給付認定を受けている全ての教育・保育給付認定保護者とすることを要請しておらず、上記申請は、教育・保育給付認定保護者のうちいずれかの者が行う申請で足りると解される。しかし、すべての保護者を記載することが求められている。これら経緯については、これまでの行政相談で事前の説明をしているのであるから、配偶者からの申請に不足する点が容易に予見されるし、補正あるいは双方の親から事情を積極的にできるものである。

 

(ケ)地方税法(以下「法」という。)法第23条第1項第9号及び同条第3項並びに法第292条第1項第9号及び同条第3項によれば、扶養親族とは、納税義務者の親族でその納税義務者と「生計を一にする」者のうち、 前年の合計所得金額が38万円以下であるものをいい 、2 以上の納税義務者の扶養親族に該当する者がある場合、これら納税義務者のうちいずれか一の納税義務者の扶養親族にのみ該当するものとみなされる。また、 国税庁所得税基本通達2-47によれば、上記「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではなく、親族間において常に生活費、学資金 、療養費等の送金が行われている場合も含むとされている。本件において審査請求人は、合意なき子の連れ去りにあって日常の起居は共にしていないものの、常に生活費等の送金を行っており、子と「生計を一にする」者といえる。よって子の監護に要する費用(婚姻費用)としても相互扶助している状態にあり、子の監護状況にある。なお地方税法施行令第7条の3の4第2項及び第46条の4第2項は、2以上の納税義務者につき同一人が扶養親族としていずれの納税義務者の扶養親族とするか定められないときは、当該2以上の納税義務者のうち法第32条第1項及び第313条第1項 の前年の総所得金額等の合計額が最も大きいものの扶養親族とすると定めるとされており、引き続き子を遺棄することなく責務を果たしている。以上により、子の監護を現に継続すべき理由が、明確に存在することは明らかであり、保護法益の観点からも不利益性がある。

 

(コ)行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の第27条第1項「自己を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長に対し、当該保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む。以下同じ。)を請求することができる」及び同条2項「未成年者又は成年被後見人の法定代理人は、本人に代わって前項の規定による訂正の請求をすることができる」ことからすると、親子関係を紐づけることにあたって必要な文書の訂正の請求ができ、第29条「行政機関の長は、訂正請求があった場合において、当該訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正をしなければならない」とされていることから、訂正請求が却下されたとしても、本審査請求によって新しく事実や制度を知ることによって訂正請求に必要な情報があるものとして取り扱われなければ、過去の親権の行使に合意のない申請に対して遡及できないことになり、審査請求人としてのいかなる手続きを排除するということになりかねないため、違法性がある。また訂正することにより申請のあった情報を不用意に書き換えることで削除するというものではなく、不足された情報を足すことから、実態にもとづく保護者としての登録について利用目的として合致するものであり、訂正請求自体に合理性があるものと解される。仮に共同親権下において片親のみの保護者の登録ができないという制度であれば、子の養育という権利としての人格的利益の享受の点で差異が生まれることになり、申請の事実を知らない限り、訂正の機会がない。そうすると先に申請したほうが有利という特権制度が生じ、かえって親子断絶するときの手法として用いられてしまうことが容易に推測される。よって子の連れ去りをするときに、保護者としての認定地位を実効上において妨げる手段となりうることから、制度の濫用ともなりうる手段が存在することになるが、特にこれに対処できる行政の仕組みが見当たらないため、不利益性がある。※行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律は、個人情報の保護に関する法律の根幹になった法である。

 

(サ)個人情報保護法として訂正できないという理由と解釈するのは誤りである。この点、個人情報保護委員会(PPC)によれば、「Q9-19 本人から保有個人データの評価が誤っているとして訂正等の請求があった場合には、訂正等に応じなければなりませんか。」「A9-19個人情報保護法では、「保有個人データの内容が事実でないとき」に訂正等を行う義務が生じます。そのため、訂正等の対象が事実ではなく評価に関する情報である場合には、訂正等を行う必要はありません。ただし、評価に関する保有個人データに評価の前提となっている事実も記載されており、それに誤りがある場合においては、その限りにおいて訂正等を行う義務が生じます。」とされている。個人情報の保護に関する法律第1条「行政機関等の事務及び事業の適正かつ円滑な運営を図り、並びに個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであることその他の個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護すること」及び第65条「行政機関の長等は、利用目的の達成に必要な範囲内で、保有個人情報が過去又は現在の事実と合致するよう努めなければならない」ことからすれば、最も子の利益になるように努めるべきである。様々な事実及び関連する法令によって評価・判断すべきところであり、経緯・目的やその性質、利用状況を照らし合わせても、個人情報中の事実と客観的な事実の相違がある点について、その他の法律上の利益が侵害される相当程度の不訂正の理由が明確ではなく、処分庁の判断は合理性があるとまではいえない。

 

(シ)令和2年(ワ)第4920号 損害賠償請求事件によれば、「他方親の同意なき子の連れ去りを違法とする規定、その他原告らが主張する法規制の規定は、今後の国内法の在り方についての一つの選択肢として、議論されるべきものということができる。」と判示されており、単に処分が請求人だけにとどまるだけではないことを鑑みると、通知書面だけでは説明が見当たらない。行政フィードバックするための審議が可能であることを示した判例であるといえる。つまり本決定の説明だけでは、「東京地裁平成29年10月12日判決」のとおり、申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合についても、判例の判断枠組みを踏襲し、「当該処分の根拠法令の規定内容、当該処分に係る審査基準の内容及び公表の有無、当該処分の性質及び内容、当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきである」とされていることから、明白な説明がないものと理解する。

 

(ス)給付認定の申請書においては、一般的に双方の親の情報が記載される。またその際に、就労証明書やマイナンバーカードの提出が求められる。これは双方においてそれぞれの個人情報を一つの様式にまとめて提出することになっている。またこの書式には子の保育に関する手続きとして行政申請するものであり、主目的においては親権行使するための入園・入学手続きそのものである。したがって文章の特徴から捉えても、双方の親が関わっていく情報であり、給付金額においても両方の収入考慮されることから、実務的にみても一人の親が特別に持ち合わせる個人情報の文書とはいえない。仮に給付認定書の変更が提出できないとなれば、それ以外の手続きを失うことになる。そうすると税務上の換算がたとえ異なる認定だとしても訂正できないことになり、本来支払うべき金額は、公的補助金を差し引いているのだから不当な受給を得たとしても合理的に訂正できるものがない。また個人情報保護法は、第90条によって第九十条「何人も、自己を本人とする保有個人情報(次に掲げるものに限る。第九十八条第一項において同じ。)の内容が事実でないと思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む。以下この節において同じ。)を請求することができる。ただし、当該保有個人情報の訂正に関して他の法令の規定により特別の手続が定められているときは、この限りでない。」と記載がある。この法によれば、特別の手続きが定められているときは対象外になると書かれている。しかし処分庁に聞いたところ、訂正の方法は「同居親が認めるかどうかの」の1点であった。このため特別の手続きが定められているとはいえないと解されることから、同条の訂正請求にもとづき適切に申請をしたと解釈している。仮に特別な手続きがあるとすれば、それを具体的に提示していただきたい。それならば同法の解釈により、別の手段が一般論として認められる手続きと解釈できる。そうなると本訂正請求でなく他の手段で代用できるはずである。そうなれば、審査請求自体の理由がなくなるとも予見する。

 

(セ)学校基本法第20条「学齢児童又は学齢生徒を使用する者は、その使用によって、当該学齢児童又は学齢生徒が、義務教育を受けることを妨げてはならない」および第21条「家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと」からすると、幼保連携型は基本的な理念を教育と結び付けていることから、幼児期から青年期までにおける親子関係はさらに子どもの視点とした利益とされなければならないと解される。しかし片親の登録がないとなれば、次第に認知の差が生まれ、疎遠になっていくことは容易に想定しうる。これにより保育および教育機関が、保護者が2名いることを直接認識する機会が困難となり、本来の親子であったとしても第三者として対応を取らざる得ない状況となる。ここで学齢簿は単なる事務要領ではなく学校教育法施行令によって定められているが、処分庁の自治体においては、未就学児における幼児指導要録(最終学年の指導に関する記録)とも紐づけられていることから、教育連携という観点において十分に子どもの基本法の基本的な体系にもとづく第2条1項「新生児期、乳幼児期、学童期及び思春期の各段階を経て、おとなになるまでの心身の発達の過程を通じて切れ目なく行われるこどもの健やかな成長に対する支援」および第5条「こどもの養育については、家庭を基本として行われ、父母その他の保護者が第一義的責任を有する」「家庭での養育が困難なこどもにはできる限り家庭と同様の養育環境を確保すること」という点において十分に合致すべきものである。仮にこの解釈が異なるのであれば、その点を明確にされたいし、その見解が文部科学省およびこども家庭庁にとって真意なのか確認すべき事由になると思慮する。ここで法的根拠とともに保護者登録においては、明らかに登録有無によって取り扱いが異なることが考えられる。むしろ父母のうちどちらか一方で運用上の支障や効力に差がないということであればよいととどめるのであれば、仮に別居親が登録された場合のみにあたっては、弊害となる事由がないとも説明できるとも言い切れるのか釈明を求める。たとえ釈明がないとすれば片親のみの登録でもよいのであれば、同居親と別居親において、具体的な公法上の関係性を定めたといえず、権利を等しく持っていると解釈することができる。ただしその取扱いについては差別的ではなく、同様な運用でなければならない。つまり実効性の観点から、学校教育法に関して同様な保護者として明瞭になるような文書が存在しないとこれを組織上にて解釈することができないため、審査請求の訴えが適切な対応として捉えられるべきであるし、手順が明確になるようにこれを一般化されるべきである。

 

(ソ)保護者は親権者として位置づけでもあるし、そもそも親の権利義務があると解されている。この点は、令和2年(ワ)第26602号損害賠償請求事件(令和5年4月21日判決)「自然的親子関係は、子の立場からみると、親の養育下で自己の人格の形成および発達を図り、人格的成長を遂げて自立に至るという意義を有し、親の立場からみると、自らの下で子を養育することによって、子が人格的形成および発達の過程において親の人格の影響を受けながら人格的に成長することを通じ、親自身の自己実現を図るとともに人格を発展させるという意義を有する」という判示からすると、自然的親子関係をみだらに妨げられてはいけないことについて人格的利益を有するという意義からも、同居親と別居親が同等な保護者関係という地位があるし、同じ教育者という側面を持つ。したがって親子関係の維持及び修復するうえで、結びつきについては運用改善にかかわる時間を要して緩やかな見直しになったとしても、着実に法的保護に関する重要な利益が守られるべきである。子の監護の意思をする高い意欲を示して親子交流が密になるように働きかけていることは既知のとおりである。しかし、処分庁が当初、申請様式から読み取れる部分としては、不確実性や不十分な情報もあったと推測され、保護者認定に至る手続きは正しいと判断せざるえない状況であったかもしれない。他方で、子の監護を審査請求者が放棄したという情報を配偶者から得ていないと思われるし、処分庁においても同居親から説明があったことの話は見つからない。請求人を「保護者」に当たらないとした 処分庁の判断は、その調査又は確認が不十分であるという点において合理性を欠いており、少なくとも不当なものであると言わざるを得ない。ここで結果的に直ちに子の利益が害されるというような状況を回避することを念頭に置かないということが前提であるのあれば、その後、自力的救済として子の監護に影響がでなかったほうが少ないといえるか釈明を求める。

 

(タ)「子ども虐待対応の手引き」厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課によれば、児童虐待防止法の観点より説明があり、別居していても、子どもの所在、動静を知り、その客観的にその監護の状態が継続していると認められ、また、保護者たるべき者が、監護を行う意思があると認められるものでなければならないとのことから、監護意思があって虐待を予防するためには、子の居場所を知る権利がある。逆にいえば、保護者登録がされ子の情報を相互に連携することによって、虐待予防する効果が上がることは明確であるが、これを妨げる不利益性がある。

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/dl/120502_11.pdf

 

(チ)いじめ防止対策推進法第15条2項「学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを防止するため、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、いじめの防止に資する活動であって当該学校に在籍する児童等が自主的に行うものに対する支援、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員に対するいじめを防止することの重要性に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずるもの」とされている。未就学児が、義務教育を受けることになったときから、保護者の認知がなされていることで、国、地方公共団体、学校、地域住民、家庭その他の関係者の連携を図ることが可能である。また重大事態への対処として同法第28条2項「学校の設置者又はその設置する学校は、前項の規定による調査を行ったときは、当該調査に係るいじめを受けた児童等及びその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係等その他の必要な情報を適切に提供する」及び同条3項「学校が調査を行う場合においては、当該学校の設置者は、同項の規定による調査及び前項の規定による情報の提供について必要な指導及び支援を行う」ということから、子のメンタルヘルスへのサポートが強化されることになるが、ところが現に処分庁の方針では、これを妨げている状態にあり、保育・教育機関として対応に差が出ることを容易に予見できることから不利益性がある。

 

(ツ)令和3年(ワ)第11934号 損害賠償請求事件(大阪地裁令和5年7月31日判決)によれば、「子どもの養育は、子どもが将来成熟した大人となり、共同社会の一員としてその中で生活し、自己の人格を完成させ、自己実現を図る基礎となる能力を身に付けるために必要不可欠な営みであり、その最も原初的かつ基本的な形態は、子が親との自然的な関係に基づいて親から受ける養育である。他方、親にとって子を養育することは、子どもがその人格を完成させ、自己実現を図る基礎となる能力を身に付けるための責務であるとどまらず、子との自然的な関係に基づいて自己の人生をどのように築きあげるかという親自身の自己実現ないし自己表現に密接するものである。したがって、国家から不当に介入されることのない自由権としての「子が親に養育される自由」「親が子を養育する自由」は、いずれも個人の人格的生存に不可欠な利益というべきであり、憲法上として保障される人格権の一内容として、憲法13条によって保障されると解するのが相当である」という判示があり、「チルドレン・ファースト」の理念によって親子の権利が各種法規定によって照らし合わせても守れられるべきである。個人情報の訂正の本来の目的は、親子の養育の履行にあたって係る各法令を遵守することにつながる。個人の利益を侵害するおそれがないかという観点で振り返っても、児童が両親に養育され、家庭で育つことが、児童の最善の利益に資するもので、親が子を養育することは、子の利益および人格的な基本権と整合する。したがって個人情報の保護という観点で不訂正となるのは、不自然でもあるし、子の利益や基本的人権においても不利益を及ぼすというほか解釈できない。

 

(テ)「子を養育する意思と能力を有する親が、子を観護する及び養育する権利」があるとした上で、処分庁における理論上の根拠が明らかではない「措定」となっている枠組みだけの記載だけからすると、現状ではただ実態の追従する意識や多様性を想定した運用になっているかどうか煮詰まらなかった過程があったにすぎず、問題がないという認識まで辿り着いたとは到底いえない。反芻となるかもしれないが、保護者地位の調整規定として整備していないことに尽きるのであり、当初、審査請求書に記載した経緯のとおり不利益が起こりうる状態のまま放置されているのである。その結果、審査請求人によるケースではないにしても、このような事態は繰り返されていることは容易に想定できる。そうなると現運用において判然とした内容によって正当性・合理性を定説的に述べられていないのではないかということになる。さもなれば、本件請求について理由の詳細が述べられていないことに照らし合わせれば、当該不利益処分の理由を示さなければならない(行政手続法14条1項)とされることに対して、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名あて人に知らせて不服の申立てに便宜を与える機会を失う。

 

(ト)民法上には親が子を監護する権利を明文化している。双方の親が関わっていくためには保護者の情報が必要ある、しかし実務的にみても一人の親のみが特別に持ち合わせる個人情報の文書とはいえない。仮に両方の保護者の認識が公文書で管理されないとなれば、各種手続き公平性を失うことになる。また個人情報保護法は、第90条によって第九十条「何人も、自己を本人とする保有個人情報(次に掲げるものに限る。第九十八条第一項において同じ。)の内容が事実でないと思料するときは、この法律の定めるところにより、当該保有個人情報を保有する行政機関の長等に対し、当該保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む。以下この節において同じ。)を請求することができる。ただし、当該保有個人情報の訂正に関して他の法令の規定により特別の手続が定められているときは、この限りでない。」と記載がある。この法によれば、特別の手続きが定められているときは対象外になると書かれている。このままであれば訂正の方法はなく、特別の手続きが定められているとはいえないと解されることから、同条の訂正請求にもとづき適切に申請をしたと考えている。仮に特別な手続きがあるとすれば、具体的にその方法について提示を願う。それならば同法の解釈により、別の手段が一般論として認められる手続きと解釈できる余地はある。もしそうなると本訂正請求でなく他の手段で代用できるはずである。そうなれば、審査請求自体の理由がなくなるとも予見する。

 

(ナ)地方自治法[以下、自治法]によれば、自治体(普通地方公共団体)は、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担」い(自治法1条の2第1項)、「地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する」(自治法2条2項)。「市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民」であり(自治法10条1項)、「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う」(自治法10条2項)とされている。すなわち、自治体において税法上の平等性や公共事業としての福祉的なサービスを父母平等にうけることができることから、保有個人情報の内容が「保護者」としての認定地位を欠くものであって、保育や教育に関する役務提供をひとしく受ける権利や、その負担を分任するといった趣旨に反するものであり、違法性がある。

 

(ニ)本来、民法818条第3項によれば、父母の婚姻中は、父母が共同して行うものとされており、配偶者が正当な理由なく勝手に住民票を移動したのは、民法第822条の共同親権者の居所指定権を侵害するものであり、許されない行為である。また一方的に通園先を変更している状況であり、民法第825条においても、父母の一方が、他の一方の意思に反して、共同名義で法律行為をした場合、契約相手方の善意であれば、その効力が妨げられないが、相手方が悪意であったときは、その効力は生じないとされている。したがって事実経過からすると悪意がある親子引き離しによって引き起こされたことに起因するほかならない。そもそも未就学時点における不法的な契約が存在しており、そのまま契約満了によって義務教育に移行していることから、これらに関する契約において審査請求人が一切関われない状況にされていることが続いている。未就学の最終時点である指導要録の情報が学校へ引き継がれるが、そうなると親子存否が明確になっておらず、不利益を受けた状態で運用されており、専ら片親のみの行事予定などの通知がなされておらず、平然と第三者としての扱いを受けたことから、不利益からの回復には、両者がともに親であるという基本的な原点に立ち戻って振り返るべきである。要するに親子の実現に資するものであることを考慮すると、この生活のサポートから成年に達するまでの長期的な教育方針に関する決定に至るまで、様々な判断を適時かつ適切にすることが求められるため、公平性のある取り扱いがなされるべきである。つまり一方のみを親権者として扱うだけで、子の利益を確保するということでは充足されず、父母の関係性によって親子関係が依存するということを避けなければならない。そうすると子の利益を第一とするならば、相互に協力して子の養育に関与して子の養育に関する協議につなげていく機会を増やすことが子の福祉そのものであることから、できる限り公平性な立場である処分庁は、その実効的な親権行使としての保護者の地位を認定していくことによって不利益性を無くすことに結びついていくのである。

 

(ヌ)学校教育法施行令 (昭和二十八年十月三十一日政令第三百四十号)「第3条 市町村の教育委員会は、新たに学齢簿に記載をすべき事項を生じたとき、学齢簿に記載をした事項に変更を生じたとき、又は学齢簿の記載に錯誤若しくは遺漏があるときは、必要な加除訂正を行わなければならない」とされている。それにもかかわらず「住民基本台帳から全ての保護者が判明するものではなく、住民基本台帳における世帯主との続柄などから保護者であると認められる者の氏名を保護者欄に記入することとなる」と観点が存在するとなれば、仮に訂正を行わないでよいと判断したとしても、連絡先が分かれている状態においては双方の保護者の相互連携を欠くことにつながりかねないことになる。たとえば万が一における児童の心身に緊急性があったときに対応ができないのだから不利益性がある。したがってこの不利益性を解消するために、少なくとも保護者情報として管理する公的文書への加筆修正を求めたときに訂正できないというのは、正当性に欠くものといわざるをえない。たしかに生存の事由によっては片親のみの保護者しか実在しないケースもあるが、不当な連れ去りの場合にはこのような立場に該当しない。

 

(ノ)「指導要録や学齢簿は、保護者の存在を認知できる手段」という認識である。この認知がないとすれば、保護者との懇談会などといった場では、児童に関する相談ができる立場とは直ちに学校側へ認識されないため、遠隔育児の能力が低下することにつながりかねない。もし仮に一人親のみの記載でよいということであれば、審査請求人のみの保護者へ変更記載することによって何ら問題がないということではないということをどのように説明できるのであろうか。つまり処分庁としては、審査請求人の氏名のみが記載された指導要録が存在したとしても誤りがないという便宜もしていることになる。そうすると不利益性が生じないだろうか。審査請求人としては、多少なり違和感があるが、この不利益性の認否について釈明を求める。ただし行政運用として不利益性がないと言い切れるのならば、次年度の学齢簿に審査請求人名を記載して誤りがないということが事実をもって弁明書の解釈が正しいと示される可能性もあるし、同様な他の市民におけるケースにおいても他方親の存在を知ることによって物理的に離れた親子の連携が深まることも新たな解として見つかる可能性があることも付言する。

 

(ハ)父母ともに対等な関係性として教育面から培われる文化的な責任に関わりを持つことも、男女共同参画社会基本法第2条(平成11年6月23日施行)「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」として明文化されている。家庭生活における活動と他の活動の両立として、男女が対等な家族の構成員として、互いに協力し、社会の支援も受け、家族としての役割を果たすことが求められている。同法第9条「地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及びその他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。」ことからも、処分庁は単に一方的な親だけに優先となるケースを設けてはならない。

 

(ヒ)学校保健安全法の第8条において「学校においては、児童生徒等の心身の健康に関し、健康相談を行うものとする」ことに支障が出るほか、同第9条「相互に連携して、健康相談又は児童生徒等の健康状態の日常的な観察により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、遅滞なく、当該児童生徒等に対して必要な指導を行うとともに、必要に応じ、その保護者(学校教育法第十六条に規定する保護者をいう。第24条及び第30条において同じ。)に対して必要な助言を行うもの」における法令が履行されず、違法性がある。

 

(フ)義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律における第3条5項において「国、地方公共団体、教育機会の確保等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者の相互の密接な連携の下に行われるようにすること」とされていることから、認知されないことにより、例えばPTAなどの各学校で組織された保護者と教職員による社会教育関係団体に関与できないことになり、違法である。

 

(ヘ)子ども・若者育成支援推進法の第2条4項において「四 子ども・若者育成支援において、家庭、学校、職域、地域その他の社会のあらゆる分野におけるすべての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力しながら一体的に取り組むこと」とされていることから、保護者登録によって認知されないことにより、各々の相互に協力しながら取り組むことができず、違法である。

 

(ホ)子どもの貧困対策の推進に関する法律の第11条において「国及び地方公共団体は、貧困の状況にある子ども及びその保護者に対する生活に関する相談、貧困の状況にある子どもに対する社会との交流の機会の提供その他の貧困の状況にある子どもの生活の安定に資するための支援に関し必要な施策を講ずるものとする」とされていることから、該当するときには支援の必要性そのものを失うという不利益性がある。

 

(マ)東京高裁令和6年2月22日判決『「このように考えると、子が親から養育監護を受け、親と関わることは、子の生存や人格の形成、発達及び成長並びに自立に不可欠であるかをそのうち、それを国から妨げられない自由権は人格権の一種として、憲法13条によって保障されて粘り、かつ、それが私人間の関係で保護される利益も、憲法13条によつて尊重されるべき利益であると解される。さらには、親が子を養育監護し、子と関わることを妨げられないこと(親の子を養育監護等する自由)も、親自身の自己実現及び人格発展に関わる重大なものであるから、人格的な権利利益として、憲法13条によって保障されていると解すべきである(大阪地方裁判所令和3年(ワ)第11934号令和5年7月31日判決参照)』と判示されているとおり、親子の結びつきは養育することが尊重されるものとして示されたことから、これに照らし合わせても処分庁が決定したところにおいて不利益性がある。

 

5 処分庁の教示の有無及びその内容

「この決定に不服があるときは、この決定があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に、**市長に対して審査請求をすることができます。」との教示があった。

 

 

6 その他として、次の書類を提出します。(ある場合)

(1)   添付書類 1通

→個人の経緯を示す添付資料をつける

 
 
「※本文の開示範囲は、行政内関係者のみでお願いします。」と付言した方が望ましい。
 
▼補足
総務省が、行政不服審査法の内容の件数をモニタリングしている分野もある。状況によっては改善がなされる場合があるので、申請すること自体に意義がある。