日米映画批評 from Hollywood

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October 28, 2018

オズランド 笑顔の魔法おしえます。 (5点)

テーマ:ドラマ

採点:★★★★★☆☆☆☆☆
2018年10月27日(映画館)
主演:波瑠、西島 秀俊
監督:波多野 貴文

 

 少し前までヤングジャンプで連載されていた漫画が原作と思いきや、小説が原作でそこからメディアミックスで広がった作品。知人から無料のムビチケを頂いたので、映画館を訪れた。 

【一口コメント】
 映画よりもTVドラマに向いていると感じた珍しい作品です。

 

【ストーリー】
 恋人と同じ職場である超一流のホテルチェーンに就職した波平は、グループ傘下の熊本にある遊園地・グリーンランドに配属されてしまう。そこで数々の企画を成功させ、"魔法使い"と呼ばれる小塚と出会う。
 1年を通してMVPに選出された社員は東京に転勤できる制度があることを知り、彼の近くで生活するため東京に戻ることを目標に頑張る波平だったが、何かにつけて自分の力不足を痛感。自分のことを学歴採用だと思っていた波平だったが、実は同期の吉村が東大卒だったことを知り、さらにショックを受ける。
 しかし小塚の指示を受けながら様々な失敗や成功を重ねていく中で、少しずつ仕事の楽しさややりがいに気付いていく。そしてある日、吉村と2人で小塚の退職願を見つけてしまう―――。

【感想】
 見終わった直後・・・というか見ている最中から感じていたのが、「
ハッピーフライト」に似ているなぁ~という雰囲気。
 仕事場の裏側が見えるという意味では航空業界の裏側が見える「ハッピーフライト」のテーマパーク版であるとも言えるこの作品。テーマパークで収集されたゴミの分別シーン、迷子を捜す時の無線連絡によるチームワーク、お客の前では走らない、緊急車両は園内に入れないなどの従業員が守るべき五か条、そして"虹の彼方"や"ゴールドナイン"といった隠語など業界あるあるを垣間見ることができるという意味では面白かった。
 しかし「
ハッピーフライト」と比べると1つ1つの笑いの質が低かった。

 キャストとしてはトコトン明るい上司を演じた西島秀俊が凄かった。というのも今までTVや映画で見てきた西島秀俊の役柄はどちらかというと真面目かどこか陰のある役どころが多かったから。トコトン明るいだけでなく、その裏に緻密な計算が仕込まれている。例えば波平にゴミ拾いをさせる意味であったり、無茶苦茶なことをいうアイドルとそのマネージャーに対する対応を波平に任せたり、"魔法使い"と呼ばれる彼の凄さを見せるシーンがいくつかある。それをあの爽やかな笑顔で嫌味なく伝える西島秀俊の新境地を見た気がした。
 個人的には小塚の過去をもっと掘り下げて欲しかったと思う。その方が作品としてももっと深みが増したはず。

 一方で新卒の波平を演じた波瑠も、仕事ができないのに頭でっかちで、社会や仕事を甘く見ているイマドキの大学卒1年目っぽさを上手く演じている。「私の経歴を見て採用してくれたんじゃ・・・?」と言う台詞が彼女のエリート意識を表現する典型的な言葉となっている。ただしこちらも彼氏が熊本に訪ねてきた際の気持ちの変化についてはもう少し掘り下げて欲しかった。
 そして元彼役の中村倫也もドラマではダメ男を演じることが多かったが、この作品では冒頭凄く良い男を演じていると思っていたら、熊本に来てからはいつも通りの安定の演技でした。
 この2人のバランスは非常に良かった。前半は中村が大人な男性、波瑠がダメな女性だったのが、後半2人の立場が入れ替わるという設定は面白かった。

 ストーリーとしては若者が社会に出て、人との関わりの中で成長していく物語となっていて、学生よりも社会人数年目が共感できる作りになっている。言い換えればこの作品ならではの「おぉ、なるほど!」的なポイントはあまりない。もちろん業界特有のあるあるネタは上述した通りあるのだが、それって他の業界でも同じであって、人間の成長物語としてとらえた時に他作品と比べた場合の「ここがこの作品は良かったよね!」というポイントがない。
 小塚の過去がもっと掘り下げられていたら、もしかしたらそのポイントになり得たのではないだろうか?

 そしてクライマックスの空中のCG合成感がひどかった。CGの技術は論外で、そのCGを使わざるを得ない設定を変えることができただけに残念。空中で波平と小塚が近づく場面があるのだが、その直後に地上で近づく場面も描かれており、空中で作品全体のクオリティを下げるほどの低レベルなCGを使ってまで、空中で2人の接近を描く必要があったのか?甚だ疑問の残るシーンだった。
 もう1つ夢を与える遊園地を舞台とした職業映画でありながら、偽物とはいえ爆弾騒ぎを2回も描くというのもどうなんだろう?夢を与える職場で働く職員であれば、他の方法を考えるべきではないだろうか?ましてや企画を担当している人間なわけだし・・・。

 全体的には映画にするほどの内容だったか?というのが正直な感想。
 TVのスペシャルドラマでも良かったんじゃないか?何ならTVドラマで10話前後で1人1人の登場人物を丁寧に描いた方が作品としてはもっと面白い作品になったのではないか?と感じた珍しい作品です。

August 18, 2018

ミッション:インポッシブル フォール・アウト (9点)

テーマ:ドラマ

採点:★★★★★★★★★☆
2018年8月13日(映画館)
主演:トム・クルーズ、レベッカ・ファーガソン、ヘンリー・カヴィル、アレック・ボールドウィン、ヴィング・レイムス、サイモン・ペグ
監督:クリストファー・マッカリー

 

 テレビで前作が公開されていたこと、アメリカで「シリーズ史上最高の完成度!」という評判を得ていたこともあり、映画館へ足を運んだ。

【一口コメント】
 「シリーズ史上最高の完成度!」、その名に恥じない傑作であり、シリーズの集大成と言うべき作品です!!

 

【ストーリー】

 IMFエージェントのイーサン・ハントと彼のチームは、盗まれた3つのプルトニウムの回収を目前に、仲間の命が危険にさらされ、プルトニウムを奪われてしまう―――。
 この事件の裏側には、シンジケートの生き残り勢力アポストルが関連していて、奪われたプルトニウムを追う手掛かりはジョン・ラークという男の名前と彼が接触しているホワイト・ウィドウという女の存在のみ。さらにイーサンの動きを不服とするCIAは、ウォーカーというエージェントを監視役に同行させることをプルトニウム追跡の条件とする。
 ホワイト・ウィドウに接触することに成功したイーサンだったが、任務遂行のために収監中の敵であるソロモン・レーンの脱走に手を貸すことになる―――。

【感想】
 「シリーズ史上最高の完成度!」というアメリカでの評判通り、素晴らしい作品だった。
 IMF、CIA、アポストル、そしてジョン・ラークという4つ巴の略奪戦。しかもジョン・ラークは名前しかわからないという最後の最後までどんでん返しが期待される設定。そしてプルトニウムが3つあり、最後の最後は車やバイクではなく、ヘリ・チェイスという状況で相手のヘリからコントローラーを奪うという"不可能な作戦"が待ち構える。
 脚本家はクライマックスのこの設定(飛行中のヘリを追跡しながら、相手のヘリからどうやってコントローラーを奪うのか?)を考えただけでもすごい!と思ったのだが、よくよく考えてみれば、
パート3で風力発電用のプロペラの間を縫ってのヘリ・チェイス・シーンへのセルフ・オマージュとも言える。
 セルフ・オマージュと言えば、
パート2のオープニングで見せたロック・クライミングも活かされている。

 

 そして今作はパート4から始まった3部作の完結編とも言える位置づけの作品で、パート4パート5で散りばめられていた伏線を見事に回収して、見事な大団円を迎えている。
 中でも「イーサン・ハントとは何者なのか?」、そして「イーサンの愛する女性とは?」の2つのテーマについては深く掘り下げられている。
 1つ目の「イーサン・ハントとは何者なのか?」というテーマ。頭脳明晰、運動神経も抜群の超優秀なスパイでありながら、メンタルに弱さを抱えているイーサン。敵の手に落ちたルーサー、パラシュート降下で気を失ったウォーカー、殺されてしまうハンリー長官・・・と、イーサンが大切に思う人物が幾度となく危機に陥るたびにイーサンのメンタル以外での強さが描かれる。その一方でイーサンの弱さも描かれている。「大勢の命より目の前で失われそうな一つの命を救い出すことを優先する」というスパイとしてはNGな判断をしてしまうイーサン。例えばパリでレーン略奪の際に警官隊を皆殺しにしないように独断で作戦を変える機転の良さ=強さを描くと同時に、非常になり切れない=弱さも描いている。その弱さを最も象徴するのが、偶然出くわした婦人警官に対する対応。普通のスパイ映画なら問答無用で殺害されるであろうキャラクターに対しても非情になり切れないイーサンの弱さが描かれたシーンだった。こうして何度も何度もイーサンの苦悩を描いていくことで、2つ目のテーマがより際立つことになる―――。
 その2つ目の「イーサンの愛する女性とは?」については、今作が夢オチで始まったことに象徴され、ラストシーンで1つの答えを提示することで、パート3、パート4、そして今作と登場したジュリア、そしてパート5と今作に登場したイルサの2人のヒロインに対しても1つの答えを提示したように思える。そして、その2人のことをルーサーが「イーサンが愛した2人の女性」という直接的な言葉で表現するシーンまで登場する。そしてラストシーンでのジュリアとイーサンの会話が、あまりにも悲惨な過去を送ってきた2人の最後の会話としてはあまりにも切なすぎるのだが、イーサンが最後に見せた笑顔によってすべてが救われた気になってしまったのは自分だけだろうか?
 こうして幾度もの苦境と2人の女性を通して、イーサン・ハントという人間の内面をここまで深く描いたのはシリーズ通して初めてであり、それこそがこの作品をシリーズ最高傑作にしている最大の要因だろう。

 もちろんイーサン以外にもパート1から連続で出演し続けているルーサーとの強い絆であったり、パート3から出演しているベンジー、前作から続投したイルサとハンリー長官にもそれぞれに見せ場が用意されていて、その1人1人に"人間"イーサンとの直接の絡みが描かれているあたりも今作の脚本が非常に良くできていると感じられる理由だろう。

 

 またシリーズお約束のバイクのチェイスもシリーズ最高の出来。凱旋門をはじめとする様々な観光地を含めたパリ市街地で敵に追いかけられながら、ギリギリのところで交わしていき、最後の最後、パリならではの放射状の道路で四方八方から敵が迫りくる中、敵を撒いたあの演出はしびれた!!
 そしてジョン・ラークを出し抜くシーンの演出もスパイ映画ならではの渋さが光る演出で、これまたシリーズ史上最高の敵の出し抜き方だった。
前作であれば、ここで話は終わるところだったが、今作はここからさらにアクション的にもサスペンス的にももう一山あるのが、シリーズ史上最高傑作になっている第二の要因。今までのシリーズも何度も山場があったが、今作はその数が今まで以上に多いと感じた。
 それでいて、
パート3から加わったベンジーが良い意味で笑いのアクセントになっていて、アクション続きで緊張しっぱなしというわけでもなく、緊張の中にも笑いが上手く織り込まれているのも相変わらず上手い。例えばロンドンの街でイーサンをタブレットでナビゲートしながら、上下が逆だったり、3Dではなく、2Dで見ていたり・・・といった場面はその典型的なシーン。
 スパイ映画らしい演出という意味でも、物語序盤のカギを握るある人物がいる部屋が一瞬で変わってしまう演出なんかは、お見事!!またトイレでの1対2での肉弾戦も
パート2のジョン・ウー以来の派手な演出だった。それでいて一般客が入り込んできた際にイルサの返しが上手かったりするあたりはセンスの良さが光っていた。
 こういった一連の流れを踏まえると、この作品はシリーズの集大成と言っても過言ではない!!

 これでおそらく4~6の3部作は完結となると思われるが、次回作はどうなるのだろうか?現時点ではまだ次回作の話はないみたいだが、あるとすればどんな展開になるのだろうか?
 またアクションについてもどうなるのだろうか?パート2では断崖絶壁を登り、パート3では巨大プロペラの間をヘリ・チェイスし、パート4ではドバイの高層ビルにへばりつき、パート5では飛行機に掴まったまま離陸し、そして今作では上空8,000mからスカイダイビングしたり・・・。毎作観客の想像を超えるアクションを見せてくれたトム・クルーズ。今回はついに足を骨折してしまった彼だが、パート7では一体どんなアクションに挑むのか?
 いろんな意味で次回作が楽しみな作品です!!

August 18, 2018

ミッション:インポッシブル ローグ・ネイション (8点)

テーマ:ドラマ

採点:★★★★★★★★☆☆
2018年7月29日(テレビ)
主演:トム・クルーズ、ジェレミー・レナー、レベッカ・ファーガソン、アレック・ボールドウィン、ヴィング・レイムス、サイモン・ペグ
監督:クリストファー・マッカリー

 

 劇場で見逃していたが、何度か機内で鑑賞し、第6弾公開前にテレビで改めて鑑賞。

【一口コメント】
 シリーズ史上最高の"渋さ"を味わえる大人な作品です。

 

【ストーリー】
 多国籍犯罪組織"シンジケート"を追っていたIMFエージェントのイーサン・ハントはロンドンで敵の罠にかかり、拘束されてしまう。拷問を受ける際中、イルサという女性によって救出されたイーサン。その頃、アメリカではIMFが解体され、CIAに吸収される事態が発生。その影響で、イーサンはCIAによって国際手配されてしまう!!
 それでもイーサンは単独で"シンジゲート"の調査を続ける中、イルサと再会する。彼女はイギリスMI6の諜報員で、"シンジゲート"に潜入捜査をしていたのだった。彼女から、ボスであるソロモン・レーンの極秘情報が入力されたデータファイルが、モロッコの発電所の地下に眠っていることを知らされる。しかしその施設に潜り込むには何重にも仕掛けられたトラップを乗り越える必要があった!!

【感想】
 渋い、渋すぎる!!
 予告編などで散々見た軍用機のドアにへばりついたまま離陸するシーンがオープニングで見られる。アクション的にはここが一番の見せ場だが、
前作で見せたドバイの世界一高いビルの壁面にへばりつくほどのインパクトはない。その後もパリ・オペラ座での上下する板の上での空中格闘シーンやモロッコでのカーチェイスとバイクチェイスなど、いくつかアクション・シーンはあるものの、今作はアクションよりも心理的な駆け引きに重きを置いたような内容で、見せ方によっては派手に見えるアクションでさえも、心理的駆け引きを際立たせるために、敢えて抑えた演出をしているかのようにさえ、感じた。中でもオペラ座の格闘シーンはオペラ公演中ということもあり、音声も抑えた演出になっていて、格闘シーンでありながら、芸術作品のようでさえある。

 

 そんな渋さを象徴しているのが、ラスト・シーン。いよいよソロモン・レーンを捕まえるのだが、その方法がオープニングとつながっていて、静かながらもイーサン流"目には目を、歯に歯を!"を感じるシーンとなっている。
 オープニング直後、いつものミッション伝達のところからいきなり敵に乗っ取られているという設定も渋い。そしてオーストリア首相が暗殺され、イギリス首相まで拉致される―――というトンデモ設定も今までにないスケール感を醸しだすのに一役買っている。
 更に「非常事態には非常手段を!」という台詞をイーサンとCIA長官が時を隔てて使うシーンも渋い。なんというか、子供にはわからない、大人ならではの渋さがそこかしこで光る作品に仕上がっているのだ。

 そんな今作を象徴している存在がイルサという女性。祖国を追われた・・・というよりは祖国から裏切られた女スパイであるという心理的な不安を抱えながらも、イーサンとの騙しあいで勝ち続け、最後の最後はイーサンとがっつりと手を組んでいる。所属する国も組織も異なるが、見方によっては女性版イーサンという位置づけにも映る。そしてそのように演出されている。そんなもう1人の自分と関わることでイーサンの内面を描くような描写も見られる。
 そういう意味で、このイルサという女性スパイの存在は、この作品にとって欠かせないスパイスになっている。

 しかし、この作品の裏の見せ場とも言うべき、モロッコの水中金庫についてはやや興醒めしたのも事実。
 難攻不落な場所から重要なものを盗み出すというのはこのシリーズのお約束なのだが、なぜモロッコなのか?という意味付けが薄い。というのは、ものすごく厳重な警備体制なのだが、なぜモロッコにそれが作られたのか?という説明がないので、わざわざこんな場所に作る必要があるのか?という疑念が湧いてしまったから。
 また水中に潜るにあたり、金属探知機があるので、ボンベが使えない・・・という設定もどうだろう?金属以外の物質でボンベを作ることくらい、IMFのメンバーであれば大して難しいことのようには思えないし、何ならその直前にイルサがプールでハイテクな水着を着ているシーンまで描いていたのに・・・。

 そして見た目は全く同じ二枚のカードを入れ替える必要があり、途中で落としてしまい、どっちがどっちか?がわからなくなるシーンまで描いておきながら、何も迷うことなく、正しいカードを挿入してしまう。正しく挿入するなら落とさずにそのまま入れて、落とすならそこにもう少しハラハラ感を煽る演出を入れるなど工夫が欲しかった。
 IMFが自作自演をしている疑惑でCIAに吸収される形で解体される設定など、作品全体を通して見た時の脚本の上手さはあるのだが、こうした細かい部分は非常にもったいない。

 またスパイ映画としては今回、新しいスパイグッズが登場しなかったのも寂しい。前作ではクレムリンに潜入した際にスクリーンに通路を投射するグッズがあったり、ドバイでの交渉時に使用された、瞬きで目で見たものを別室で印刷するグッズなど、スパイ映画ならではの新アイテムがあったが、今作は目新しいものがなかった。

 とはいえ、欠点らしい欠点はこのモロッコの水中シーンとスパイグッズのみで、それ以外は今までのシリーズの中でも群を抜いて渋さを追求した作品になっており、アクション・シーンしかり、心理的駆け引きしかり、そして大人ならではの台詞しかり、最初の軍用機のドアにしがみつきながら離陸するシーンを除けば最後まで、いろんな"渋さ"を楽しめる大人な作品でした。

July 29, 2018

ジュラシック・ワールド/炎の王国 (6点)

テーマ:ドラマ

採点:★★★★★★☆☆☆☆
2018年7月21日(映画館)
主演:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード
監督:J・A・バヨナ

 

 前作から3年が経ち、公開前に各種番組でこの映画を取り扱っているわけではないものの、恐竜に関する番組が多かったこと、そして何より恐竜大好きなこともあり、見に行った作品。

【一口コメント】
 良くも悪くも新シリーズのパート2として正当な続編、かつ前シリーズのパート2「
ロスト・ワールド」の正当な続編です。

 

【ストーリー】

 大人気テーマパーク「ジュラシック・ワールド」で惨劇が起きてから3年。島の火山に、噴火の兆候が見られるようになり、恐竜たちを見殺しにするのか、救うべきなのか?アメリカの議会で議論が展開されるが、最終的には民事不介入の方針を取り、国としては見殺しの結論に至る。
 かつてのテーマパークの責任者で、現在は恐竜保護団体の責任者であるクレアは故ジョン・ハモンドの元ビジネスパートナーであったベンジャミン・ロックウッドを訪ね、彼の支援・サポートを取り付ける。
 そして元恐竜監視員のオーウェン・グレイディを雇い、彼ら探検隊がイスラ・ヌブラル島に向かうが、遂に火山が噴火してしまう―――!! 

 

【感想】

 いきなりだが、結論。良くも悪くも新シリーズのパート2として正当な続編であり、かつ前シリーズのパート2にあたる「ロスト・ワールド」の正当な続編です。

 まず新シリーズの続編という意味で、今作でも前作のインドミナスに続き、遺伝子操作により存在しなかった恐竜を生み出している。それを戦争兵器として活用しようというところまで話は広がっている。
 また作品は2部構成になっていて、前半はジュラシック・ワールドのあったイスラ・ヌブラル島から恐竜を救出する話、後半は北カリフォルニアの大富豪の家で行われる恐竜オークションとそこで暴れる恐竜の話、ときっちりと分かれていて、「
ロスト・ワールド」で見られたのと同じ構図で描かれている。 
 これが正直、悪い方に転んだ。いわゆる既視感に襲われてしまった。「どこかで見たことあるなぁ」から始まり、「またこの展開かよ!?」に至る、悪循環にはまったのだ。
 もちろん今作ならではの展開として、アメリカという国家を巻き込んで、滅びゆく恐竜を救うかどうか?の一大論争まで広がる展開がある。そして国家としては助けないという結論に至ったものの、一部の富裕層のための恐竜オークションという斬新な展開まで用意されている。しかし、物語の大筋は前後半に分かれて、最後は結局恐竜が暴れて、人間では制御できないという結果が待っている・・・。
 また前半の方が盛り上がってしまい、後半の終わり方には物足りなさが残るのも事実。前半の最後、島から離れる船から見る島のシーンが良すぎるだけに、前後半の落差が気になる。特に噴火の影響で煙の中に消えていく首長竜の演出は感動的ですらあった・・・。それが映画の中盤に来てしまったが故に後半のクライマックスがいまいち盛り上がりに欠けてしまったのだ・・・。

 

 とはいえ、3部作の2作目ということでパート3に期待が持てる展開があったのも事実。
 終盤に明かされる某登場人物の誕生の秘密は、このシリーズの根幹に関わる鍵となるような設定で、そんな人物が取った最後の行動には賛否両論があると思われる。これでシリーズ完結だとしたら、個人的には否定派だが、パート3につながる設定と考えれば賛成派になる。
 そしてその最後の行動の結果、エンドロールの後に描かれたパート3の展開を妄想させるシークエンスが良い。エッフェル塔のてっぺんに翼竜が・・・、舞台はパリか?と思ったら、ラスベガスの方のエッフェル塔という二重の驚きと共に、原題の「Fallen Kingdom」=「堕ちた王国」の二重の意味(恐竜王国の滅亡と人間王国の滅亡)にも気づかされるという秀逸な終わり方になっている。
 それを踏まえて考えると邦題の「炎の王国」はトンでも設定なタイトルだ・・・。
 そのパート3の展開としては「
猿の惑星」のような展開を期待してしまう・・・。

 一方で、演出として良いシーンがたくさんあったのも事実。
 上述したが、前半の最後は本当に良かった。今までのシリーズの中で一番と言っても過言ではない。また後半のクライマックスとも言える一連の屋根の上の戦い、そしてその結末に至るまでの流れも今までのシリーズにオマージュを捧げる演出となっていて良かった。こういったパニック物の定石ともいえるライトが付いたら目の前に現れる演出だったり、子供に悲鳴を上げさせる演出などはもちろん、ブルーとインドラプトルの最後の最後の結末は前シリーズのパート1の最後、旗が落ちてくる中で佇むティラノサウルスに通じる少しやり過ぎて笑えるもののハリウッド映画ならではの格好良さがあった。
 また恐竜同士の輸血という設定は、科学的にどうなのか?はわからないが、あまりにも斬新な設定で、実際に輸血するまでの一連のシーンも含めて、楽しめた。

 

 そしてこのシリーズを語る上で欠かせない"遺伝子操作"については、シリーズの中でも最も深く議論されている。
 人間が科学を駆使した結果、自分たちが制御できない問題(恐竜の暴走)に出くわすという、今の森林伐採や砂漠化、そして地球温暖化問題などを暗に揶揄している。遺伝子操作という意味ではクローン牛やクローン羊などが話題になったりもするが、遺伝子操作ではないものの、それに近い例としてダックスフントのように人間の手によって交配された結果生まれた動物もいる。その象徴として恐竜が描かれているのだが、人間が勝手に作り出した生物が行き場を失い、最後には見捨てられてしまうというのが前半のイスラ・ヌブラル島で描かれていて、そのクライマックスとして上述した煙に消える首長竜のシーンになっているわけだ。
 そして前シリーズから登場しているマルコム博士がアメリカ議会で語るシーンが最初から最後までずっと描かれいてることが大きい。その中でも最後の最後に「Welcome to Jurrassic World!」というセリフを語り、上述のFallen Kingdomの二重の意味を伝えるあたりの脚本にはしびれました。

 明らかにダメだった点を最後に書いておきたい。
 まずはこの作品の敵ともいうべきインドラプトルが圧倒的な強さではないところ。前作ではインドミナスが体温調整や変色機能も備えた大型肉食恐竜としてティラノサウルスとガチンコで戦う面白さがあったが、インドラプトルはどちらかというと暗殺者といった感じで、圧倒的なパワーではなく、頭脳を駆使した戦い方をするタイプで、大きさも確かに後半の舞台となるお城で戦うにはちょうど良いサイズではあるものの、このシリーズの看板を背負うにはちょっと役不足だった感は否めない。

 何はともあれ、3部作の中間作として次作につながる様々な前振りはしてあるので、最終作を楽しみにしたい。

May 20, 2018

レディ・プレイヤー 1/Ready Player One(9点)

テーマ:ドラマ

採点:★★★★★★★★★☆
2018年5月12日(映画館)
主演:タイ・シェリダン、オリヴィア・クック、ベン・メンデルソーン
監督:スティーブン・スピルバーグ

 

 映画館で予告編を見た時にスピルバーグ久々のエンタメSF作品というだけでテンション上がったが、スクリーンにデロリアンとガンダムが登場した時に「これ絶対見よう!」と決めていた作品。

【一口コメント】
 スタジオの垣根を超えただけでなく、日米国境を超えたスピルバーグ版オールスター映画です。

 

【ストーリー】
 2045年。環境汚染や気候変動など、様々な要因が重なり、世界は荒廃していた。そんな中地球人は"オアシス"という仮想現実の世界で日々を送るようになっていた。
 オアシスでは創始者ハリデーの遺言により、勝者にはオアシスの所有権と5000億ドルにも及ぶ遺産が授与されるゲームが開催され、1つのゲームをクリアする度に手に入る鍵を3つ集めるゲームに挑んでいた。
 オハイオ州のスラムに住む若者ワッツもオアシス内で鍵を集めようとしてゲームに参加していたが、ゲームにはオアシスの管理権を欲する世界2位の大企業IOI社の社長ソレントが送りこんだ参加者もいた。ワッツは第一の関門を突破する。しかしその影響で現実世界のワッツにも危険が及び、レジスタンスのアルテミスやオンライン仲間たちとともにソレントの陰謀に立ち向かっていく―――。

【感想】
 「スピルバーグ以外の監督では実現しえなかったオールスター映画」、これがこの映画を見終わった後の感想。「
バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのデロリアンや我が国のアニメ・ガンダムは予告編で見て知っていたが、「シャイニング」、「ジュラシック・パーク」、「トランスフォーマー」シリーズ、「キングコング」、「バットマン」、「スター・ウォーズ」のミレニアムファルコン、「チャイルドプレイ」のチャッキー、「ロボコップ」、そして我が国日本の「AKIRA」のバイクや「ゴジラ」シリーズ、更に「ストリート・ファイター」の波動拳など、自身の監督作以外の作品を登場させるだけでも凄いのだが、この作品がワーナー・ブラザース作品でありながら、ワーナー以外のスタジオ作品もある。更に日本のアニメやゲームも登場しており、スタジオの枠だけでなく、国境をも超えたスーパー・スター総集結の作品となっているのだ。
 1つ1つの作品の版権管理の問題があり、DCやマーベルなど同じ会社がすべての権利を保持していない限り、こうしたオール・スター映画を撮るのは非常に難しいはず。しかしそれをスピルバーグが監督するということで多くの版権元がGoサインを出して、この作品がスクリーンにやってきたのではないだろうか?そんなことが実現できる監督はスピルバーグしかいないであろう。

 それでは、作品の中身について語るとしよう。
 正直、冒頭の説明台詞がやや長い。ゲームに疎い観客に説明しなければならないという部分もあるのである程度は仕方ないのだが、スピルバーグなら台詞ではなく、映像で見せることもできたのではないか?という風に感じた。
 というのは現実世界であるプレハブ小屋を縦に積んだ塔のような建物でスラムの世界観を映像で見せている一方で、仮想現実世界であるオアシスは映像ではなく、言葉で説明しているため、2つの世界観を2つの表現方法で説明するというやり方に少し違和感を覚えた・・・。

 そして冒頭の説明に続く、謎解きパートはスピルバーグらしいといえばスピルバーグらしいが、サスペンス映画やコナン映画を見てきたせいもあってか、やや物足りなさを感じる。
 3つのゲームが用意されていて、1つ1つに謎解きがあるのだが、1つ目のゲームは無理ゲーをいかにしてクリアするか?ということでわかってしまえばとても簡単なトリック。2つ目は逆に難しすぎて、ある種のマニアである主人公以外には絶対に解けないレベルの難問。3つ目が唯一TVゲームならでは!って感じの謎解きでしっくりくる内容。
 1つ1つの謎のバランスが悪く、1つの作品に詰め込む内容としてはどうなんだろう?と感じた。


 ここまでの冒頭の長い説明台詞と謎解きのバランスの悪さは全体を通して大きなマイナス要素ではあるが、それ以外の部分はプラス要因ばかり。特にラストのスター・キャラクター達の大決戦パートは、アニメが好きでTVゲームで遊んだことがある日本人なら大興奮間違いなしの盛り上がり。
 まずは予告編にも登場するガンダム。この作品はシリーズがたくさん出ているが、今作に登場するのはオリジナルのRX-78-2ということもあり、個人的にはハリウッド作品、しかもスピルバーグが、日本を代表するロボットをどうやって描くのか?というのを楽しみにしていていたのだが、正直予告編で見た時に一瞬映るくらいかな?と思ってもいた。
 しかし見てみたら、クライマックスで文字通りの大活躍。しかもガンダムが戦う相手も日本を代表するキャラクターということでスピルバーグの日本愛が感じられるクライマックスとなっている。

 またキューブリック監督作品である「
シャイニング」の世界観をVRで体験できるというのも、「A.I.」でキューブリックの脚本を映画化したスピルバーグならではの演出と言える。
 ただしキューブリック作品と言えば「
2001年宇宙の旅」や「時計仕掛けのオレンジ」が代表作として語られるものの、スピルバーグ作品の「E.T.」、「ジュラシック・パーク」などと比べると映画好きを除いた一般の知名度は低いこともあり、果たしてどれだけの人がこの「シャイニング」を知っているのか?と思う部分もあったが、そこはさすがスピルバーグ、「シャイニング」を見たことがない人でも楽しめるように笑いを入れたり、主人公たちにほのめかさせるなどいろいろな方法を駆使している。

 そして映画だけでなく、TVゲームやアニメも扱っていて、さらに最近のVRやネット対戦ゲームなどの要素も組み込まれていて、作品で描かれている2045年が現在の2018年から10年後か20年後には実現されていてもおかしくないと感じさせるだけのリアリティがそこにはあった。
 仮想現実の世界と現実世界を行ったり来たりしたり、2つの世界で主人公が危機にさらされるというコンセプトは「
マトリックス」シリーズそのもので、アイアン・ジャイアントが「ターミネーター2」のクライマックスよろしく溶岩に溶けていくシーンなどのオマージュが散りばめられているあたりも、自身で映画マニアと語るスピルバーグらしい。

 そして主要キャストに有名俳優を使っていないというのも過去のスピルバーグの有名作品に共通している。トム・ハンクスやトム・クルーズといった世界的に名の知られた俳優を使った作品も多いのだが、例えば「
E.T.」や「ジュラシック・パーク」などの子供が登場し、かつ世界的に大ヒットした作品では有名俳優を使っていないことが多く、この作品においても同じことが起こっている。昔と違うのは出演俳優の国籍が多種多様になったということだろうか?
 またこの作品はストーリー上、現実世界の自分と仮想現実世界のアバターが異なっているというのが実はキモになっていて、無名俳優を使っている理由がここでも生きてくる。SNSやオンラインゲームなどでは当たり前のアバター設定だが、それを70歳を過ぎたスピルバーグが描いているというのもまた面白い。

 最後の最後に、めちゃくちゃ個人的な意見ですが、カー・レースのシーンで「デロリアンが走っている!」。もうこれだけで満足でした。
 冒頭の長い説明台詞と、謎解きのマイナス要素を後半で完全に払しょくした作品でした。

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