マトリックス ~リローデット~(9点) | 日米映画批評 from Hollywood

マトリックス ~リローデット~(9点)

採点:★★★★★★★★★☆
2003年6月9日(映画館)
主演:キアヌ・リーブス
監督:ウォシャウスキー・ブラザー


 待ちに待った「マトリックス 」の続編リローデットが遂に公開された!
 傑作の続編はやはり傑作だった!!

 マトリックスと呼ばれるコンピュータが作り出した仮想現実の世界と実現実の世界で繰り広げられる人間対機械の戦い。革命軍の勇者モーフィアスと、その彼に見出されて救世主として目覚めたネオ、そして一緒にエージェントと戦ったトリニティの3人は前作と同様、いやそれ以上のアクションを見せてくれる。


【一口コメント】
 エンド・ロールの最後にレボリューションズの予告編がありますので、最後まで劇場を出ないで下さい。


【ストーリー】

 人間が住む地底都市ザイオンは72時間で25万のセンティネル軍団(タコのようなマシン)に侵略されてしまう。しかしモーフィアスの信念は変わらずにネオがこの戦いに終わりをもたらしてくれると信じている。そのネオはトリニティの嫌な夢を見続けていて、迷っていた。
 それでもネオは預言者に会うため、再びマトリックスの世界に入り込む。預言者に会い、マトリックスの世界はそれぞれ役割を持ったプログラムが存在しており、キーメーカーというプログラムの存在を聞かされる。それがザイオンを救う鍵であることも。そこに想像を絶する力を手に入れた元エージェント、スミスがやってくる。復讐に燃えるスミスとネオの壮絶なバトルが展開される。

 スミスとの戦いを凌いだネオはキーメーカーを救うためにメロビンジアンという男に会いにいく。キーメーカーをめぐる戦いもすさまじい。ネオとスミスの戦いと並ぶこの作品の見せ場といえる。特に高速道路でのカー・チェイスは素晴らしい。今までのどのカー・チェイスとも違い、素晴らしい出来になっている。
 なんとかキーメーカーを救出したネオたちはザイオンを救うため、マトリックスのメイン・コンピュータに乗り込むための作戦を立て、それを実行に移すが、ある失敗により、ネオの悪夢が現実のものへと近づいていく。その中でネオはマトリックスの開発者に会い、究極の選択を迫られる・・・。

【感想】

 まず、前作同様オープニングはトリニティの見せ場。中途半端な終わり方だと思っていたら、後半へとつながる伏線であった。前作もそうだったが、今までにない撮影技法によるアクションの派手さにともすれば薄れてしまいがちだが、この作品の素晴らしさはそれだけなく、今までにない考え方をわかりやすく描いた脚本もこの作品を傑作にしている一要素である。
 脚本の素晴らしさは最後の方にも見られる。ネオがソースに行くかマトリックスに戻るかの選択を迫られるシーン。マトリックスの開発者とのやり取りはこの作品の脚本のレベルの高さを物語っている。前作のモーフィアスがネオにマトリックスの概要を説明するシーンに似ていると言えるのではないだろうか?


 前作公開から4年の年月が経ち、その4年の間に多くのCMや映画が真似をした"ブレッド・タイム"、そして"ワイヤー・アクション"といった今までの映画の歴史を変えた撮影手法を更に超越した"ヴァーチャル・シネマト・グラフィ"という新しい撮影技法も登場している。
 ネオとスミスのバトルで使われているのだが、人間を丸ごとCGで描いてしまうというもの。この技術によって100人のスミスがスクリーン上を暴れ回るのである。

 そして高速道路でのカー・チェイス。これに関しては見てもらうのが一番だろう。この一連のアクションの締めくくりとも言える2台のトラックの衝突シーンは前作のヘリコプターがビルに衝突するシーンと"ブレッド・タイム"を合体させた感じで、前作の技術もより一層発展した形で活用されている。
 もうひとつ、これは日本のアニメの影響を受けているなと思ったのが、モーフィアスが日本刀のような刀で走ってくる車を斬ってしまうシーン。まさに五右衛門!!と思わずにはいられない。かっこいい!と思いつつ、それと同時に空飛ぶネオを思い浮かべながら、これなら「
ドラゴン・ボール」の実写版も期待できるなと思える今作のアクション・シーンでした。

 何はともあれ、11月公開の「
マトリックス~レボリューションズ~ 」ではどんな驚きとかっこよさを見せてくれるのか非常に楽しみな終わり方です。あと半年、胸躍らせながら公開を待ちたいと思います。