【LPについて】
作曲:ダンツィ
曲名:木管五重奏曲変ロ長調 op56-1 (13:45)
作曲:カール・シュターミッツ
曲名:木管四重奏曲変ホ長調 op8-2 (9:59)
オーボエ、クラリネット、ホルン、ファゴットのための
作曲:ライヒャ
曲名:木管五重奏曲ハ長調 op91-2 (26:19)
演奏:ベルリン・フィルハーモニー管楽アンサンブル
ゴールウェイ(fl)、コッホ(ob)、ライスター(cl)、ピースク(fg)、ザイフェルト(hr)
録音:1970年6月3-5日 ベルリン Ufaスタジオ
LP:MG 2280(レーベル:DG、発売:ポリドール)
パリ・オリンピックが始まりました。開会式はしっかり録画して見ましたが、今まで体験したことのないような、素晴らしく感動的な演出でした。今後こういったスタイルが取り入れられていくとすれば、開会式のハードルが相当上がったような気がします。次回は、ハリウッドのあるロサンゼルス。どうなるのでしょう✨。
さて、その開会式の前に、近くのBookOffでLPを1枚買ってきました。オリンピックとは全く関係ありません(笑)。以前に店頭で見て気になっていたのですが、ついつい買ってしまいました。500円です。
【曲と演奏について】
まずは、A面から。ダンツィは、ベートーヴェンとほぼ同世代にドイツで活躍した音楽家であり、活動の振出はマンハイムからである。父は宮廷楽団の名手で、彼自身も宮廷楽団に所属している。ダンツィはベートーヴェンの音楽に多大な関心を寄せつつも、モーツァルトを敬愛し、ウェーバーを指導したと言われている。一方、カール・シュターミッツは、マンハイム楽派の最も栄えた時代に、宮廷楽団の中核的人物として、その最盛期を過ごしている。マンハイムに就職活動のために訪れたモーツァルトも、マンハイムの管楽器編成の影響から、交響曲31番「パリ」を作曲している。
そのような背景もあってか、この2曲は似た雰囲気を醸し出している。それぞれ4楽章、3楽章の交響曲的な構成ではあるが、性格的には、ディヴェルティメント的な雰囲気が強い。そして、各木管楽器の特徴が活かされ、次々と対等に受け継がれていく音色を聴いているのがとても楽しいものであった。
当時のマンハイムの楽団の演奏水準の高さと、その木管の演奏技術から着想を得て様々な名曲を生み出されたモーツァルトの名曲の数々。こういった歴史を考えつつ、ベルリン・フィルの名手たちによる匠の技を味わうのも素晴らしいことだと思う。
カール・シュターミッツの木管四重奏曲op8-2より、第二楽章
美しいメロディでした。
これは、このLPと同じ音源ですね。
カール・シュターミッツの四重奏曲 op8-2全曲です。
B面はライヒャの曲が一曲収録されている。ライヒャはべートーヴェンと同年生まれて、活躍はロマン派の時代に少しかかるようになる。一時期、ボンの宮廷楽団にフルート奏者として所属しており、その時この楽団にヴィオラ奏者として所属していたベートーヴェンと親交を結んでいる。楽団解散後しばらくして、パリに出て作曲活動を始め、その後はベートーヴェンたちとも親交を保ちながら、パリ音楽院の教授として名だたる作曲家たちを育てている。
ライヒャは、管楽五重奏曲を24曲残している。ライヒャ自身フルートとクラリネットに精通しており、この分野の作品においては重要な位置を占めている。またライヒャはチェコ出身で、ドイツ、フランスで活躍した作曲家であり、それらの地域の様々な流行要素なども織り込まれているのだろう。ちなみにカール・シュターミッツも、ライヒャ同様にチェコ系の人物であった。
曲自体は、A面の二曲と比べると、ずっと規模も大きくなり、構成感もしっかりしたものになっている。それぞれの楽器の特色や音色が緻密に組み合わされ、聴いていても大変面白い。
第一楽章は、ソナタ形式。快活な第一主題と、ロマン的な第二主題の対比が、いかにもという感じがするものの、面白く感じる。その後、いろいろな楽器で展開していく充実した内容である。
第一楽章:アルベルト・シュヴァイツァー五重奏団による録音。cpoに全集を録音しています。
第三楽章は、ちょっとスケルツォっぽいメヌエットになる。この冒頭に各パートがそれぞれの音色で登場するフレーズが楽しい。それぞれのパートが次々と活躍していくので、木管五重奏を聴く楽しさが存分に味わえるのではないかと思った。
第三楽章のメヌエット:これも、このLPと同じ音源だと思います。
という形で、あちこちで楽しませてくれながら、しっかりと構成された4楽章構成で締められる、大変面白い曲であった。
【まとめ】
BookOffで見つけたLPということで、内容は半信半疑で聴いていたのですが、大変面白いアルバムでした。その後、この音源もCD化もされていますが、それは少し他の録音が付加されているので、オリジナルのカプリングで聴けるこのLPは、それなりに良かったと思います。
演奏メンバーは、当時それぞれソロでも第一線で活躍されていたベルリンフィルの名手たちで、素晴らしい演奏がきかれました。いい録音だと思います。
購入:2024/07/26、鑑賞:2024/07/26
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