【CDについて】
作曲:ジョン・アダムズ
曲名:ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン(4:05)
包帯係(19:19)
悲歌的子守歌 op42 (作曲:ブゾーニ、編曲:アダムズ)(9:27)
シェイカー・ループス(25:28)
演奏:オールソップ指揮、ボーンマス交響楽団、ガン(br)
録音:2003年6月10-11日 イギリス Lighthouse Poole Center for Arts
CD:8.559031(レーベル:NAXOS)
何か、ちょっと目新しい音楽を聴きたくて、中古CD店でNAXOSないかな?と思って探したところ、その店には1枚しかありませんでした。何かNAXOSを1枚買うというのが目的だったので、そのCDを買ってきました(笑)。
【曲の印象について】
ミニマル・ミュージックは、基本的に好きです。現代音楽の中ではとても楽しめる分野で、ずっと聴いていても、不思議と飽きません。
音楽は昔から、繰り返しをうまく使いながら時間の流れを作ってきました。「ボレロ」や、「パシフィック231」、「魔法使いの弟子」など、反復の印象が強い20世紀の作品などを思い浮かべると、その効果はよく分かります。ミニマル音楽には、そのような繰り返しの魅力のエッセンスが詰まっていると思います。
もう一つ、元々私はテクノポップが好きだったので、この音楽には自然に入ることができました。テクノポップ自体がミニマルの影響を受けていると言われますが、クラフトワークとか思い出すと、リズムやパターンの反復という点では、共通した感覚がありますね。という訳でミニマルは、いわゆる「現代音楽」という構えた感じではなくて、もっと身近なものに感じます。
ジョン・アダムスはアメリカの作曲家。東海岸で伝統的な音楽を学んだあと、西海岸を拠点に活動しました。アダムズは、ヨーロッパの伝統音楽を、アメリカのミニマルな語法と結び付け、新しい音楽を作り上げていったのだと思います。
このCDでは、冒頭に「ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン」が配置されています。この曲、いかにもオープニングに相応しい曲で、この曲を聴くと、さぁ楽しい時間が始まるよー、という感じがします。
最後が「シェイカー・ループス」で締められます。シェイカー教という宗教の祈りの印象から着想された曲とのことですが、いかにもミニマルらしい名曲。第一部の鋭角的なリズムで脳内をシェイクされ、第2部の静かな雰囲気の中で、空虚な空間に窓が軋んでいるような雰囲気がとても素晴らしいです。最後までインパクトのあるミニマル・ミュージックが展開し、精神的高揚を体感できるような名曲でした。
間に挟まれた2曲、「包帯係」と、ブゾーニの「悲歌的子守歌」の編曲は、一転して雰囲気が異なり、ヨーロッパの後期ロマン派以降の音楽を感じさせます。
「包帯係」は、南北戦争で傷ついた兵士の看護活動を行ったホイットマンの詩による作品で、現場で見た兵士の死と人間の尊厳を厳かに描いた作品です。
「悲歌的子守歌」はブゾーニの曲をアダムズが編曲したもの。静かな音のうねりを聴きながら、「バーバーのアダージョ」や、アイヴズの「答えのない質問」のような、時間が止まったような音楽を連想しました。この真ん中の2曲は、死のイメージもにじみ出る作品の中に、どこか20世紀の苦悩の中で、平穏を求めるような響きに感じました。
全体を通してみて、ジョン・アダムズは単なるミニマルの作曲家というだけではなく、ヨーロッパの伝統音楽を背景に持ちつつ、その中にアメリカの歴史や社会、文化が深く感じられて、大変面白いCDでした。
【演奏についての感想】
演奏しているオールソップは、NAXOSのアメリカ音楽シリーズの多くを担当しており、バーンスタインの薫陶を受けたアメリカの女性指揮者。アメリカの音楽にはとても造詣が深くて、まさに手の内の曲だと思います。
演奏はとても見通しがよく、適度な先鋭さを持つ、感情過多にならない、きっちりした演奏。特にシェイカー・ループスは原曲が弦楽七重奏の尖った曲であり、のちにアダムズによって弦楽合奏に編曲されたこの曲を演奏するにおいて、オールソップの明晰な演奏はとても合っていると思います。ジョン・アダムスを知る上でも、非常に良い演奏だったと思いました。
オールソップとBBC響による、「ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシーン」。ご機嫌です。
購入:2024/02/18、鑑賞:2026/02/19
過去記事のリンクです。































